ビットコイン暴落の主犯のひとつ・ヘッジファンドによるキャッシュ・アンド・キャリー取引の解消について

最近ビットコインETFから大規模な資金流出が起こっていましたが、その主要な犯人がキャッシュ・アンド・キャリー取引をしていたヘッジファンドだったって話です。(彼らが最近流出させた額は10億~45億ドルと推測されています)

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ビットコインが下落している理由は最近までトランプ関税とされてきましたが、アナリストはこの暴落はトランプ大統領の関税だけではなく、ヘッジファンドのキャッシュ・アンド・キャリー取引(アービトラージ)の解消も大きく関わっている可能性があると指摘しています。

ヘッジファンドは低リスクのキャッシュ・アンド・キャリー取引(アービトラージ)にブラックロックのビットコインETFとCME(シカゴ・マーカンタイル取引所)ビットコイン先物を利用していましたが、この戦略の崩壊により大規模な売りが引き起こされたと。

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平たく言うと、ヘッジファンドはビットコインETFを買いながら、CMEビットコイン先物をショートして取引所間の価格差を利用して安定して利ざやを稼いでいましたが、最近のビットコイン価格下落により利ざやが出なくなり、一度ブラックロックETFを売り払いビットコインを暴落させたって話です。

最近、ビットコインETFの流出がビットコイン価格下落の主要な要因になっているとお見せしていましたが、そのビットコインETFから資金を流出させていた主な犯人がキャッシュ・アンド・キャリー取引を実施していたヘッジファンドだったと。

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2月24日~26日に異常な額の資金流出が起きていますが、このあたりにキャッシュ・アンド・キャリー取引解消が影響していると思われます。

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BitMEXの共同設立者で仮想通貨アナリストのカイル・シャス氏は進行中のビットコインの暴落はキャッシュ・アンド・キャリー取引の解消によるものだと言っています。

ヘッジファンドがビットコインのスポットETF(上場投資信託)とCME先物を含む低リスクの裁定取引を活用していたが価格が一定水準を下回り、キャッシュ・アンド・キャリー取引で利益が出なくなった為にビットコインETFの売却を始めたと説明。

カイル・シャス「ビットコインが暴落している。何故か不思議に思うよね?これはさ、ビットコインの価格安定に役立っていたキャッシュ・アンド・キャリー取引が今や解消されつつある事が影響してると思うんだ。IBIT(ブラックロックのビットコインETF)保有者の多くは、短期米国債よりも高く低リスクの利回り(年間約5.68%の収益)を得る為に、IBITを購入しながらCMEビットコイン先物をショートしているヘッジファンドだ。連中は利益が出なくなった為に手仕舞いを始めている」

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IBIT(ブラックロックのビットコインETF)投資家の多くはヘッジファンドであり、ビットコインキャッシュ・アンド・キャリー取引の利回り(ベーシス・スプレッドと呼ばれる)が出なくなったので、これらのファンドはIBITを売却し、CME先物を買い戻すだろう。これらのファンドは利益を上げていましたが、利回りが米国債利回りレベルに下落した事を踏まえると、これを解消して利益を実現するだろう。その規模を考えるとビットコインは再び7万ドルまで下落する可能性がある」と語っています。

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ビットコインのキャッシュ・アンド・キャリーをヘッジファンドが辞めたトリガー価格は92000ドルを下回ってからに設定されているように見えます。

91000ドルを下回った際のブラックロックIBITの様子を見てみましょう。

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ブラックロックIBIT⇩

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91000ドルを下回った際に激しく流出している事が分かります。2024.11.27の92000ドルの水準で下げ止まった際は流出があまり見られませんでした。

アナリストによると、一部のファンドはキャッシュ・アンド・キャリー取引でレバレッジを利用して2桁の収益を上げていたそうです。

しかし、この取引は現在崩壊しつつあり、市場から大量の流動性が引き出され、ビットコインの価格は急落しています。
キャッシュ・アンド・キャリー取引の崩壊により、過去1週間で19億ドル(2820億円)以上のビットコインが売却されましたが、これはヘッジファンドがポジションを解消した事で、CMEの未決済建玉が大幅に減少した事を意味し、数日間でビットコインの価格が2桁レベルで下落する原因にもなりました

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シャス氏によると、ヘッジファンドはビットコインの長期的な価格上昇に賭けた事は一度もないとの事です。ただ安全な利益を求めて裁定取引を利用してリスクのない利回りを稼いでいた。しかし、取引が停止した今、ヘッジファンドは急速に流動性を引き出し、ビットコインの売りを激化させています。

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キャッシュ・アンド・キャリーの解消が明らかになる前、多くのトレーダーはトランプ大統領の強引な関税を非難していた。最近のBybitへの北朝鮮によるハッキングも投資家心理の悪化の一因となっていました。最近では、EUに対する関税が市場の不安をかき立て遂にキャッシュ・アンド・キャリーの解消トリガー価格に達したのです。

アナリストの見解が正しいとすれば、ビットコインは更に下げる可能性があります。
平均価格は65,296ドルで676万のアドレスが約264万のビットコインを保有しており、最悪ここまで落ちる可能性。

そうは言っても、65296ドルへの下落は勘弁してもらいたいもの。今年は上昇を見込んでいますが、ここまで下落するとそのシナリオが崩れるからです。

理由は現在続いてる可能性がある上昇トレンド(エリオット波動の①~⑤)が崩れるからです。

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エリオット波動推進波の中で④波が①波の高値を割り込むことはなく、割り込めば崩れます。

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ビットコインの場合、割ってはならないのは①の高値73800ドルです。

ビットコインのキャッシュ&キャリー取引について

キャッシュ・アンド・キャリー取引とは、現物市場(スポット市場)と先物市場の価格差を利用して利益を得る裁定取引(アービトラージ)の一種です。この取引は、特に価格差が大きい場合に有効で、リスクを抑えながら利益を狙う戦略として知られています。

ビットコイン ETF 資金の少なくとも 25%はアービトラージ取引に関連しており、最大 55% の ETF 資金流入がアービトラージに注目するヘッジファンドから来ている可能性があるようです。長期投資家からではありません。

12 月の連邦準備制度理事会の公開市場委員会の会議以降、アービトラージの収益機会が大幅に減少し、取引量が減少した為、ヘッジファンドはポジションを解消し、ビットコイン ETF からの資金流出が記録的なものとなりました。

キャッシュ・アンド・キャリー取引の仕組み

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現物の購入(キャッシュ部分)

投資家は、現物市場で資産(例:ビットコインや株式、商品など)を購入します。

先物の売却(キャリー部分

同時に、先物市場で同じ資産を将来の価格で売る契約(先物売り)を行います。

価格差による利益確

現物価格(スポット価格)と先物価格の差(コンタンゴ:先物価格が現物価格より高い状態)を利用して、価格差が収束するタイミングで利益を得ます。

具体例

例えば、ビットコイン(BTC)の現物価格が30,000ドル、先物価格が31,000ドルだとします。

この場合、次のように取引を行います。
現物市場でビットコインを30,000ドルで購入。先物市場で31,000ドルで売却契約を締結。将来、先物契約が満期を迎えたとき、先物価格と現物価格は一致する傾向があります。この時、現物を売却して先物契約を履行する事で、1,000ドル(31,000ドル - 30,000ドル)の利益を得る事ができます。

メリット

リスクが低い:価格差を利用する裁定取引である為、価格変動リスクが限定的。

確定利益:先物価格と現物価格の差が収束する事でほぼ確実に利益を得られる。

デメリットは資金拘束:現物購入に資金が必要であり、先物取引の証拠金も必要。

価格差の縮小:市場の効率化が進むと現物と先物の価格差が小さくなり利益が減少する。最近のビットコイン市場ではキャッシュ・アンド・キャリー取引が広く行われていますが、これらのポジションが一斉に解消されると、現物市場での売り圧力が高まり、価格が急落する事があります。この為、価格変動の要因として注目されています。

スポット市場と先物市場の価格差(コンタンゴ)

キャッシュ・アンド・キャリー取引は、現物価格と先物価格の差(コンタンゴ)を利用する為、この価格差が取引規模に影響を与えます。
通常、ビットコイン先物市場では、先物価格が現物価格を年率5~15%程度上回る事が多いです(市場が強気の場合は更に高くなる事も)。

この価格差が大きいほど、キャッシュ・アンド・キャリー取引が活発化し、規模が拡大します。


CME(シカゴ・マーカンタイル取引所)でのキャッシュ・アンド・キャリー取引

主に機関投資家が利用する取引所で、オープンインタレストは約20~30億ドル規模でキャッシュ・アンド・キャリー取引が多く行われているとされる。

Binance、Bybit、OKXなどの仮想通貨取引所でのキャッシュ・アンド・キャリー取引

個人投資家やプロップトレーダーが多く利用し、オープンインタレストは70~100億ドル規模。キャッシュ・アンド・キャリー取引の割合はCMEより低いと考えられるが、全体の規模は大きい。

推定されるキャッシュ・アンド・キャリー取引の規模

先物市場全体のオープンインタレストが100億~150億ドルと仮定し、そのうち10~30%がキャッシュ・アンド・キャリー取引に関連している場合、規模は10億~45億ドル程度と推測されます。ただし、市場の状況(コンタンゴの幅やボラティリティ)によって、この規模は大きく変動します。

ゴールドマンサックスは機関投資家の65%が今後12か月以内に仮想通貨の保有を維持または増加させると予想

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世界最大の資産運用会社であるブラックロックがモデルポートフォリオ事業全体で「iShares Bitcoin Trust ETF(IBIT)」に資金を配分する事を許可したのに象徴されますが、機関投資家はビットコイン価格の上昇に強気です。

ブラックロックのモデルポートフォリオ事業は、投資家(主に金融アドバイザーや機関投資家)に対して、資産配分のテンプレートや推奨ポートフォリオを提供するサービスです。これらのポートフォリオは、株式、債券、コモディティ、ETFなど、様々な資産クラスを組み合わせて構成されています。

ゴールドマン・サックスは今週金曜日の顧客向けメモで、世界中のトップヘッジファンドマネージャーを対象にした同社の最新第4四半期のデジタル資産調査から得られた重要なポイントを要約し、機関投資家の暗号通貨感情に関する新たな洞察を提供しました。

  • 62%が仮想通貨または仮想通貨にリンクされた商品を(直接的または間接的に)取引している
  • 65%が今後12か月以内に暗号資産の保有を維持または増加させると予想
  • 50%は、スポット仮想通貨取引の相手を選ぶ際に相手方リスクが最も重要であると考えている。

機関投資家のビットコイン価格上昇への心理状態が改善した状態でビットコイン価格が92000ドル付近まで戻ると、ビットコインのキャッシュ&キャリー取引が再開され再びビットコインETFに急激な資金流入が発生し、価格の暴騰が起きる可能性があります。