ゴールドマンサックスが指摘する現在の米国株式市場に悪影響を与えている5つの要因

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⇧S&P500の様子。

先週はトランプ関税などの地政学的およびマクロ経済的なニュースが次々と報道され、更にテクニカル面でも状況が悪化した為、米国の株価にとって6カ月間で最悪の週となりました。日経平均とビットコインも米国株価に連動しますので、結局これは日本の投資家にとっても重要です。

ゴールドマンサックスが挙げる、相場が恐れるべき5つの理由は次の通りです。

①経済成長への懸念:雇用者数減少+やISM製造業景況感指数後退によるGDP予想大幅引き下げが先行き不透明感を齎しています。更には甚大な関税の影響。

昨夜発表された雇用統計もマーケットの予想を下回りました。

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失業率はマスクのDOGEが連邦職員の大幅削減をしていますが、市場の予想を下回っていました。

GSは経済指標の継続的な悪化を懸念しています。

DeepSeekをきっかけとした中国企業が開発した安売りAIが台頭:米国のAI産業が競争激化の影響を受けています。これによりAI関連企業の株価が下落傾向にあります。

③世界環境の変化:ドイツとフランスの長期国債利回りが急上昇しており、インフレ懸念や市場の不安定さが反映されつつあります。また、中国ではJD.comやAlibaba(BABA)といった大手企業が、AI分野での進展(QwQ-32BというAIモデル)を背景に再び注目を集めています。これにより、米国マーケットから中国マーケットへ資金が流れ米国株には不利。

④米国株がテクニカル面で弱い:S&P500が 200 日移動平均(DMA)の価格 5732 に接近している。(GSは200DMA下抜けを警戒しています)

S&P500⇩

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S&P500先物⇩

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S&P500先物は一足先に200DMAを下抜けしてしまっています。

CTA(商品投資顧問: 投資家の資金を運用し、特に先物やオプションなどのデリバティブ商品に投資する専門家やファンド)が先週、米国株式デルタを約600億ドル、S&P500を約300億ドル売却。CTAはデルタポジションとS&P 500に関連するポジションを減少させました。これは市場の動向やリスク管理の一環として行われた可能性があります。

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先週モルガン・スタンレーがS&P500指数で重要なCTAトリガーレベル(6045ドル)を下抜けした事で、今後1週間から1ヶ月の間に最大580億ドル(8.5兆円位)の売却が予測され、パニック売りが始まる可能性があると警告を発していました。※CTAとは資産価格の勢いをみながら先物市場でのロング・ショートベットを通じて運用する商品投資顧問業者で、トリガーシグナルを使用して自動売買を行うことが一般的です。トリガーシグナルは、特定の市場条件や指標に基づいて取引を行うためのシグナルであり、これに基づいてプログラムされたアルゴリズムが自動的に売買を実行している様です。

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なので、S&P500のターゲット水準を価格が割ったので自動的にプログラムが売却を始めた可能性があります。

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自動売買アルゴリズムが発動する価格を覚えておくと、リスク回避に役立ちますね。

資産運用会社は銘柄によるリスクを着実に減らし、今週の後半には、より安定的な収益が見込めるディフェンシブ銘柄(生活必需品、通信会社、保険会社など)への投資を増やし始めています。

これは、市場の状況が悪化する可能性を予想して、より安全な資産に資金を移動させる、典型的なリスクオフの動きと考えられます。

  • ヘルスケアのみが今週プラス: ヘルスケアセクターは、今週、価値が上昇した唯一のセクターでした。他のすべてのセクターは下落しました。
  • 金融部門はひどい状況でした: 金融セクターは、今週、特にパフォーマンスが悪かった。
  • 激しく売られた業界: テクノロジー、金融、一般消費財セクターで売りの圧力が特に強かった。
  • 買いが集まった業界: 通信サービスセクターで買いの圧力が特に強かった。
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・S&P500にとって良いニュースもあります。

ゴールドマンサックスのトレーディング部門が言うには、CTA(商品投資顧問、トレンドフォロー型の投資戦略をとる投資家グループ)が先週、大量のポジションを売却したが、短期的には来週までにほぼ終わる可能性が高いと指摘しています。

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つまり、現在の市場の急落を引き起こした主な原因であるCTAからの大量の売り圧力が、もう直ぐ収まるかもしれないという事です。そうなると、今度は企業による自社株買いが、この急落の流れを変える力があるかどうかが重要になってきます。現在、自社株買いは1日あたり約50億ドルのペースで行われているとの事。

GSが言う様に来週からS&P500が持ち直せるか様子を見ていきましょう。

S&P500が持ち直せば、日経先物も合わせて上昇しますしね。

※トランプがまた関税の話を持ち出したり、とっても悪い指標が出たりしなければですが・・・

最近気になるのは米国がスタグフレーションのような状態になってきている事です。

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今週のマクロデータ(赤)では経済成長悪化が注目され、不安を強めましたが、同時にインフレ不安(緑)が再び大幅に高まっています。スタグフレーションがが警戒されている様です。

こちらはトランプ一時政権時代のS&P500の値動き(緑)と現在の値動き(赤)を重ねたもの。

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第一次トランプ貿易戦争中の 2018-19 年の S&P 500 と、第 2 次トランプ貿易戦争中の 2025 年の S&P 500 。こうなれば有難いのですが・・・(^_^;)