世界25か国で実施されているオンライン消費者調査「YouGov 」による、「ヨーロッパ諸国の人々は2024年の米国大統領選挙で誰に勝利して欲しいと思っているのか」という世論調査結果を見ていきましょう。
調査対象となった国々で高く支持されていたのはハリス候補者でした。デンマーク人はハリスの勝利を望む傾向が最も強く支持票81%である一方、イタリア人は46%で最も低くなっています。ただし、それでもイタリア人のトランプ氏支持票24%を大きく上回っています。
英国では民主党候補の勝利を望む人が61%で、共和党候補の勝利を望む人は16%という結果です。
左派的なドイツでの世論調査結果が酷いのは分かりますが、フランスのルペンの国民連合の支持者ですらハリス支持が多いのが不可思議です。
ハリスの政策は欧州の保守派が最も嫌う不法移民受け入れ、詐欺的な気候変動政策推進、食料品の価格統制といった統制経済的な政策、緊縮政策などですがそれを理解した上での支持なのか、整合性が取れません。
欧州の世論に詳しい人にとって、YouGovのこの調査結果は驚くようなものではなく、今回対象となった殆どの国では、2020年の米国大統領選挙前の世論調査と非常に似た結果が出ており、スウェーデンでは4年前と比べて民主党支持が高まり、イタリアではハリスを支持する人が減少。
また、ハリスへの支持は当然ながら党派によって異なっていて、左派政党に投票したヨーロッパ人の間で最も高く、中道右派政党の支持者にとってもハリス氏は依然として支持率の高い候補者です。
例えば、ドイツではドイツキリスト教民主同盟(CDU)の有権者の78%、スペインでは国民党(PP)の有権者の66%、イギリスでは保守党の有権者の58%がハリスを選んでしまっています。
それにしてもデンマークは異常です。
フランスのルペン支持者は流石に他国よりは高いですね。それでもハリス支持の方が優勢。
ドイツで最近躍進目覚ましいAfDや、イタリアのメローニ首相率いる政党「イタリアの同胞(FdI)」ではトランプ支持が優勢です。
欧州は何故カマラ・ハリス民主党を支持するのか?情弱なのか?
おそらく一般大衆が民主党支持の理由は、各国主要メディアの報道による影響が大きいのだと思われます。
ここで今、広がりつつあるヨーロッパ保守派の見方を紹介します⇩
No, Trump’s Win Is Not a “Nightmare” for Europeans
現在のヨーロッパの状況について、ロンドンのタイムズ紙のコラムニストを務めたミック・ヒューム氏は以下の様に記しています。
ドナルド・トランプが第47代アメリカ合衆国大統領に選出された事に対し、ほとんどのヨーロッパの指導者達はショックと恐怖のどん底にいる。
かつてトランプ大統領を 「女性嫌いで、ネオナチに共感する社会病質者 」と呼んだイギリスの労働党新外務大臣、デイヴィッド・ラミー(現在の英国外務大臣はとんでもない人物ですね)のような狂気的な見解を、おそらく多くのヨーロッパの人々が内心では共有している。
EU上層部が愛読している『ポリティコ』の選挙前の見出しは「ポピュリストの元大統領の復活は ヨーロッパの悪夢になる」だった。
しかし、EUの左派・リベラルの政治家やメディアのエリート達がトランプの勝利に恐怖を感じていたとしても、トランプの勝利はヨーロッパの人々にとって悪夢ではない。
実際、ブリュッセル(欧州委員会、欧州議会、欧州理事会といったEUの機関が置かれており、EUの中心の政治都市としての顔を持つ地)の外では、ハンガリーのオルバン首相が民主党のカマラ・ハリス候補に対するトランプの鮮やかな逆転勝利を称賛したように、何百万というヨーロッパの人々が今回のトランプ勝利を心から喜んでいる。
何よりもまず、トランプの当選は反民主主義的な行動を繰り返してきた米国体制側(民主党政権の事)に対する、民衆による民主主義の勝利を意味する。
米国体制側(民主党政権)はアメリカ人がトランプに投票するという民主的な選択肢を潰す為に、裁判所にトランプが選挙に立候補する事さえ禁止するよう要求した。彼らは気難しいジョー・バイデンを民主党の候補から外し、それまで誰も投票しなかったハリス(ハリスは大統領候補になるまで副大統領としての支持率が世論調査で歴代最低レベルでした)に代えた。
大統領選挙戦を通じて、彼らはトランプを 「ファシスト」「ナチス」「権威主義的ポピュリスト」「民主主義そのものへの脅威 」と中傷した。これらの侮辱はすべてトランプを支持する有権者を嘲笑い、貶める事が本当の目的だった。
現代政治を司るこうしたエリート主義者たちは、民主主義を封じ込め制限することで「民主主義を守っている」と偽りの主張をすることさえできる。※カマラハリスや日本のメディアが良くトランプの勝利は民主主義の敗北だと言っていますね。
彼らは古代アテネ人が定義した民主主義の2つの古典的要素、すなわち「デモス(人民)」と「クラトス(権力)」を対立するものとしてとらえ、一方を他方から可能な限り遠ざけることを目指しているようだ。
※「民主主義」の語源は、ギリシャ語の「デモス(人民)」です。
民主党は以前バイデン大統領が「トランプ支持者はゴミだ」と発言した事を、言い間違いだと言い逃れようとしている。実際には、2016年の選挙でヒラリー・クリントンがトランプ支持者を「嘆かわしい者たち」と貶める発言をした事に遡るが、それは多くのアメリカ人有権者に対する体制側の見方と完全に一致していた。民主主義に対する真の脅威は、下ではなく上からやってくるという事実を認識するのに、民主党のこうした言動自体がそれを物語っている。
民主党政権が敵意をむき出しにし、マスコミが平気で嘘をつくのを目の当たりにして、トランプは「民主主義に対する真の脅威は、下ではなく上から来るものだ」と主張したのである。
オバマ大統領以下、民主党や主要メディアの多くが「アメリカのマイノリティと女性は混血の女性ハリスに投票すべき」との流れを作った。そのため、マイノリティグループや若者の間でトランプ支持が急増し、以前の規模を遥かに超える民衆民主主義運動が境界線を越えて人々を団結させた。
リベラルな既存の権力に対抗するトランプの勝利は、世界的なポピュリストの反乱(ドイツやイタリア等ヨーロッパでの保守勢力躍進)の最新の象徴である。
欧州の選挙では、国民主権主義政党への支持の波が押し寄せている。そして今、100年以上前に民主的な運動としてのポピュリズムを誕生させた米国が、民主主義的なポピュリズムの衝動に陥っている。
これは始まりに過ぎない。
何百万人もの人々が「もうたくさんだ」と意思表示する中で、西側諸国全体の政治がひっくり返ろうとしている。
これは、欧州の人々が変化を求めてさらに前進するきっかけになるはずだ。
しかしこれからが熾烈な戦いの始まりだ。すでに、リベラル・エリートたちがトランプ政権が発足する前に政権転覆を図ろうとしている。
トランプをホワイトハウスに返り咲かせたポピュリストの反乱は、民主主義にデモを取り戻すことで、西欧社会の未来への大きな希望を象徴していることを否定できない。
欧州の世論にはこれから変化が激しく起こってくる可能性がある、と言っていますね。
冒頭でお見せしたYouGovの世論調査は表層しか表してい無い、という事になります。継続して今後の変化を見ていく必要があります。