外務省は今年の「外交青書」を昨日の閣議で発表しました。
全部で376ページもあるので目を通すのは大変ですが、去年の各国の状況が分かりやすく取り纏められているのでチェックする価値はあります。
内容としては、2023年版報告書ではロシアの侵攻を国際秩序の基盤を揺るがす無謀な行為と非難し、この問題は世界のどの国や地域にとっても「他人事」ではないと強調しています。
ロシアと中国の軍隊が日本付近で共同活動を続けており、そのペースは以前より頻繁になっているとも指摘。
ウクライナ情勢を受け、いわゆる「グローバルサウス」の存在感が増している為、日本はこのグループを構成する新興国や途上国との関わりを強めていくとしています。
※こうした方針のもと、岸田首相、ゴールデンウィークにアフリカ4カ国を訪問へと言う報道も出てきています。
日本が停滞しているロシアとの平和条約交渉については、現状では交渉の見通しを語れる状況ではないとしていますが、北方領土問題を解決し、ロシアと平和条約を締結するという日本の立場に変わりはないとしており、元島民による北方領土訪問やその他の交流事業を再開する事は優先課題の一つであるとしている。
中国については、日中関係を "重要な二国間関係 "としながらも、中国の対外的な態度や軍事的な動きを挙げ、法の支配に基づく国際秩序の強化という点で、中国が「最大の戦略的課題」になっているとも述べている。日本が中国に対処する際には、同盟国や志を同じくする国々と協力すべきとしています。
この外務省の「外交青書」に対してロシアは反発。
ロシアのペスコフ大統領報道官は11日、北方領土を「ロシアに不法占拠されている」と明記した日本の外交青書について「受け入れられない」と批判し、「クリル諸島(北方領土と千島列島)はロシア固有の領土だ」と述べた。
ロシアメディアはこの様に報道しています。
同時に「青書」では、日本が「ロシアと平和条約を締結する」事も追求する意向であることを記していますが、2023年2月、ロシア外務省のマリア・ザハロワ報道官は、日本との平和条約締結の話題はロシアにとって閉ざされたものだと強調した。
「公然と非友好的な立場をとり、わが国の利益を害そうとする国家と二国間関係の基本文書の締結を議論することは不可能であるため、平和条約に関する日本との交渉を継続するつもりはない。」
2022年4月、日本の外務省は外交年次報告書「青書」で、数年ぶりに南クリル諸島(北方領土の事)をロシアによる「不法占拠」された領土と位置付けた。
これに対し、ペスコフ大統領報道官は、クリル諸島を「不可侵のロシア領」と呼んだ。同氏によると、現状では平和条約締結交渉の継続について日本と話し合うのは難しいとのことだ。
ロシア外務省は、2022年3月にロシアは日本との平和条約交渉を放棄したと発表しています。その時、日本の当局が意図的に「互恵的な協力と善隣関係を発展させるのではなく、反ロシア的なコース」を選択したのだと指摘した。
外務省の「外交青書」で「中国の政策を国際秩序に対する最大の戦略的挑戦」と呼んだ事に対して中国側の報道。
青書によると、ロシアとウクライナの戦争や中国の台頭などで「国際社会は歴史の転換点にある」とされ、中国とロシアの軍事協力が進む傾向に深い懸念を表明している。
中国については、日中関係の重要性を強調しつつ、台湾への武力行使を排除しない中国の外交姿勢や軍事的動きは、法の支配に基づく国際秩序の強化にとって「史上最大の戦略的挑戦」であるとして、中国を「安全保障上の強い懸念」とした2022年版ブルーブックよりさらに強い表現で明言しています。
日本が国境付近での中国軍とロシア軍の共同作戦を深刻に懸念していると主張したことに対し、中国外務省の王文彬報道官は11月11日、「中露の軍事協力は第三者を対象とせず、いかなる国の脅威にもなっておらず、他国が何かを言う筋合いでもない」と述べた。 中国側は日本側に対し、地域の緊張を誇張する誤った慣行を正し、中国と建設的で安定した関係を築くという声明を真に実践するよう促した。