https://youtu.be/uYPbbksJxIg
映画『オッペンハイマー』が7月19日米公開となり話題となっています。日本での公開は未定。
この男は我々日本人にとって許しがたい仇の様な人間ですが、現在どのように米国人を始め海外が見るのか興味深くもあります。
オッペンハイマーは第二次世界大戦中にマンハッタン計画を指揮した人物で、原子爆弾の製造に成功しました。
ニューメキシコ州で核実験が行われ、その爆弾が1945年8月6日と9日、米国民主党が日本の広島と長崎に投下。日本人10万人以上が死亡しましたが、原爆を設計したロスアラモス研究所の所長オッペンハイマーは米国政府に原爆投下しないよう懇願する原子力科学者らの請願を握り潰していました。
原爆投下の3週間前、レオ・シラードを始めとするマンハッタン計画に携わった70人の科学者達はトルーマン大統領宛ての嘆願書に署名し、自分達が開発に携わった原爆の投下を再考するよう嘆願しました。
理由は原爆は戦争を終わらせるだろうが、日本がこの兵器について知らされ、降伏する機会を与えられるまでは「日本に対するこのような攻撃は正当化できない」と彼らは感じていたからだとされています。
主にシカゴ気象研究所とテネシー州オークリッジのプロジェクトに参加した70人の科学者が署名しました。
オッペンハイマーは部下にこの嘆願書を配布しないように説得し、結局トルーマンは原爆投下を命令する前に、この請願書を実際には見ていなかったとの事です。
マンハッタン計画の科学者達からの日本への原爆投下中止を求める嘆願書の全文
アメリカ合衆国大統領への請願書
1945年7月17日
アメリカ国民が知らない発見が、近い将来この国の福祉に影響を及ぼすかもしれません。
原子力の解放が達成されており、それは原爆を陸軍の手に委ねる事を意味します。
総司令官であるあなた(トルーマンの事)の手には、対日戦争の現段階において原爆の使用を許可するかどうかの運命的な決断が委ねられています。
私達科学者は原子力の分野で研究を続けてきました。
つい最近まで私達は米国がこの戦争中に原子爆弾による攻撃を受けるかもしれない事、また、米国の唯一の防衛手段は、同じ手段による反撃にあるかもしれない事を恐れなければなりませんでした。
今日、ナチスドイツの敗北により、この危険は回避されました。
戦争は速やかに成功裏に終結させなければならず、原爆による攻撃は効果的な戦法となり得ます。
しかし、少なくとも、戦後に日本に課される条件が詳細に公表され、日本が降伏する機会が与えられる迄は、日本に対するそのような攻撃(原爆を使った攻撃)は正当化されないと考えます。
戦後に日本に課される条件が詳細に公表され、日本人が祖国において平和の追求に専念する生活を期待できると保証された上で、それでも日本が降伏を拒否するならば、状況によっては、わが国は原爆の使用に頼らざるを得なくなるかもしれない。
しかし、原爆の投下はそれに伴う道義的責任を真剣に考慮することなく、いつでもとるべきものではありません。
原子力の開発は各国に新たな破壊手段を提供します。
我々が使える原子爆弾はその第一歩にすぎない。
したがって、新たに解放された原子力による破壊の力を破壊の目的に使用する前例を作った国は、想像を絶する規模の荒廃の時代への扉を開く責任を負わなければならないかもしれません。
もし、戦後、敵対する大国がこうした新たな破壊手段を無制限に所有できるような状況が世界に広がる事が許されるなら、米国の都市はもちろん、他の国々の都市も、突然の消滅の危険にさらされ続けることになります。
このような世界情勢の到来を阻止する為には米国の道徳的、物質的なあらゆる資源を動員しなければならないかもしれません。
現在、このような事態の防止は原子力の分野でリードしている米国の厳粛な責任であります。
この原爆におけるリードが米国に与える物質的な強さは、自制の義務をもたらします。
もし、この義務に違反するような事があれば、われわれの道徳的な立場は、世界の目にも、私達アメリカ人自身の目にも弱く映るようになるでしょう。
そうなれば、解き放たれた破壊の力を制御下に置くという我々アメリカの責任を果たすことは、より困難になります。
第一に、あなたが最高司令官としての権限を行使し、日本に課される条件が詳細に公表される事、日本がその条件を知って降伏を拒否しない限り、米国はこの戦争において原爆の使用に訴えてはならないと裁定することです。
第二に、原爆を使用するか否かの問題が、この請願書に提示された考慮事項と、それに関連する他のすべての道義的責任に照らして、あなたによって決定される事を要求します。