中国が去年末成立させた予備役動員法によって、今年3/1以降、徴兵が開始される可能性があります 

 

 

 

この法令に合わせたかのように、今年1月から北京や四川など各地で国防動員事務所が続々オープン 

 

2023.2.7

Photo Ivan Belokon

· China News

 

中国で予備役動員法が去年12月30日全人代で可決され、3/1から施行される事となりました。これにより予備兵の徴集をいつでも開始できる状態となった。

中国は徴兵制を敷いていますが、今までは志願者だけで新兵枠が満たされ、1949年中華人民共和国が成立してから強制的な徴兵は行われていませんでした。

しかし、今回の法改正で強制的に徴兵が開始出来る状態が整えられたのです。

予備役動員法が可決され3月1日から施行される事が発表された後、今年の年始から中国全土で次々と国防動員事務所が開設されています。

もし、予備役動員法が名目上のものであれば、こんなに国防動員事務所を開設する必要はないでしょう。

おそらく来月以降、予備兵を徴集し軍備増強を行うつもりではないかと推察しております。

ここではその様子を紹介します。

 

全人代による予備役動員法の告知⇩

broken image

中国予備役動員法(中华人民共和国预备役人员法)とは?

(2022年12月30日、第13期全国人民代表大会常務委員会第38回会議にて採択)

要点だけお見せします。

第1条 本法は憲法及び中華人民共和国国防法、兵役法に基づき、予備人員制度を改善しその任務と使命の効果的な遂行を確保し、国防軍建設を強化する為に制定された。

第2条 本法にいう予備役とは、法律に従って兵役義務を履行し、人民解放軍の現役部隊または予備役部隊に予備役として入隊する国民をいう。

予備役は国の軍隊の一員であり、戦時には現役部隊の重要な補充要員である。

broken image

第3条 予備役の仕事は中国共産党の指導を堅持し、習近平の強兵思想と新時代の戦略的軍事政策を実行し、戦争の準備を行う事。

第 7 条  政府機関、団体、企業、機関、役所は予備役人員の職務遂行を支援し、補佐しなければならない。

関係部門および個人は、国家機密、軍事機密、予備役の業務上知り得た個人情報などの秘密を守り、他人に開示してはならない。

第21条  県級以上の地方政府の兵役機関は、軍に迅速かつ正確にその行政区の予備役に登録された市民の情報を提供し、候補者の政治的評価と身体検査を行う事。

第24条 予備役の教育及び訓練は、大学における教育、訓練実習及び職業訓練の結合を重視し、国家及び軍隊の教育及び訓練制度に統合されるものとする。

第36条 国が動員令を発した後、部隊は上官の命令に従って召集される予備役に対して速やかに召集通知を出し、予備役の登録を行った県、自治県、市区の人民政府の軍務機関およびその部隊に通知しなければならない。

予備役は召集通知を受けた後、所定の時刻に所定の場所に要件に従って出頭しなければならない。

第 58 条  予備役に登録された国民が予備役への参加を拒否した場合は処罰する。

第 65 条 この法律は2023 年 3 月 1 日から施行する。

今回の法改正により予備役の年齢が引き上げられ、既に退職した一部の退役軍人(60歳未満)が、再び予備役の登録範囲に含まれる可能性があります。

この中国予備役動員法は去年から習近平が主張している人民解放軍を世界クラスの軍隊に押し上げるた為の新時代の国防軍建設の一環であるように見えます。

broken image

中国予備役動員法が3月1日に施工される事に先立ち、中国全土で続々開設される国防動員事務所

2022.12.28、北京国防動員局設立

broken image

北京国防動員局は北京市政府が北京市での国防動員体制を整備し、動員能力を向上させる為に立ち上げられました。

中国共産党第 20 回全国代表大会で提唱された「国防動員の強化と予備軍の構築」という主要な戦略を加速させる。

2023年1月11日 北京市朝陽区国防動員事務所が正式に発足

broken image

 

2023年1月11日 黒竜江省ハルビン市国防動員事務所開設

国防動員の仕事を加速させると発表。

broken image

2022年12月30日、河北省秦皇島市国防動員事務所が開設

broken image

2022年12月30日 安徽省馬鞍山市玉山区が国防動員事務所開設

国防動員システムを改善し、「国防動員の強化と予備軍の構築」の為に国防動員能力を向上させる

broken image

 

2023.1.10 湖北省咸寧市国防動員事務所を開所

broken image

内モンゴル自治区包頭市で国防動員事務所が開所

包頭国防動員局によると、国防動員は国防建設の重要な部分であり、国が平時から戦時への移行を迅速に実現するための基本的な手段であり、戦時における軍事物資と民生用を確保するための主要な手段との事。

broken image

これ以外にも複数のエリアで国防動員事務所が開設されています。

1月10日、広東省连州市の国防動員事務所が開所。

1月12日午前、武漢市の国防動員事務所で落成式が行われた。

1月13日、湖北省宜昌市の国防動員事務所が開所した。

1月13日、内モンゴル自治区锡林郭勒盟の国防動員事務所が開所した。

1月16日、北京市门头沟区の国防動員事務所が開所した。

1月17日、北京昌平区国防動員事務所が設立。

1月22日、潮州市潮安区が国防動員事務所を設立。

1月29日、四川省自贡市国防動員事務所が開所。

この様に最近、地方政府は「国防動員事務所」を次々と設置し、人民解放軍はいわゆる「戦争型国防動員の新しい形」を構築したいと宣言しています。

この動きに対し、CIA長官は「中国共産党の台湾に対する野望を甘く見てはいけない」と警告した。

中国共産党の運営する解放军报は1月31日、国防動員は常に戦争の為に存在し、戦争の準備をし、実戦を重視すると報道し、いわゆる「戦争型国防動員」の構築が急務だとする記事を掲載しました。

以上の状態を合わせてみると、中国は現在中国予備役動員法の施行に先立ち国防動員事務所を各地に開設し、法律が発動したらこれらの国防動員事務所を通じて予備役徴兵を行うつもりだと思われます。

中国予備役動員法は中国共産党第 20 回全国代表大会で提唱された「国防動員の強化と予備軍の構築」という主要戦略を具体的に達成する為に施行されると見て間違いないでしょう。

日本ではあまり触れられていませんが、この動きをCIAも捕捉し警告を発しており、3/1以降、日本としても注視しておくべき状態です。

参考:解放軍日報「戦争志向の国防動員を構築する為の実際的な道筋を探る」

broken image