給与上昇率が30年止まり、賃金が上がらないので消費も増えない悪循環の日本

 

日本物価上昇率と日本賃金上昇率は相関関係にあると思われます

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こちらは厚労省作成の1989年から2018年までの平均給与の推移です。

他国の平均給与が上昇し、物価も上がる中、気づけば日本人の平均給与はバブル崩壊後からなんと30年程度増えていません。なぜこの様な状況が続いたのでしょうか?

その原因の一つに物価が上がらない事があると考えられます。給与上昇率が頭打ちで消費者が余計な支出を控えていますので物価が上がらないのも当たり前です。少子高齢化も原因の一つなのはありますが、それだけが理由ではないと思われます。

日本の物価上昇率⇩

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☝※出典 ありがとう投信株式会社ファンドマネージャー 真木喬敏氏作成 https://www.google.com/amp/s/www.39asset.co.jp/blog/amp/2018/10/000844.html

日本賃金上昇率⇩

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※出典 内閣官房 新しい資本主義実現本部事務局  https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/atarashii_sihonsyugi/kaigi/dai3/shiryou1.pdf

欧米の1人あたり実質賃金は1991年から2019年にかけて、英国は1.48倍、米国は1.41倍、フランスとドイツは1.34倍に上昇しそれに合わせて物価も上昇しているように見えます。日本はほぼ据え置き。

日本物価上昇率と日本賃金上昇率は相関関係にあると思われます。

次は世界各国の家計消費推移を見てみましょう。⇩

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我が国ほとんど増えてない。アメリカを筆頭に欧米は賃金上昇、物価上昇に伴い増えています。これがGDPを押し上げています。

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日本国民の給与上昇が止まった結果、従業員(消費者)が支出を増やせなくなり、経済が成長せず、GDPも成長しない。

上の実質GDP成長率における消費の寄与度の国際比較を見ると、日本と欧米は政府消費支出はほとんど変わらない。違うのは家計消費支出です。

日本企業は従業員の給与を増やし、人に投資する余力すら失ってしまったのでしょうか?

2000年度から2020年度にかけての大企業と中小企業の財務の動向⇩

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 人件費は2000年から据え置き、内部留保と配当金などが爆発的に増えている事が分かります。配当金は+483%、内部留保は+175%。現預金もため込んでおり2000年と2020年を比較した際の現預金の額は約50%上昇しています。

中小企業も同じような状態です。

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日本企業の従業員への人材投資⇩

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 日本企業の人材投資は欧米に比べて比較にならないレベルで少なく、米国などの20分の1です。

つまり、利益を出しても労働者に還元せず、溜め込んでいる状態と言えます。
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/atarashii_sihonsyugi/kaigi/dai3/shiryou1.pdf

これでは国内消費は盛り上がりませんね。

大企業が人に金を使わなくなり、消費者がデフレマインドになった流れ

長引く消費低迷やデフレの原因のひとつはグローバル化

日本の世帯所得が減った原因は、日本社会が製造業がベースでありグローバル化による価格競争で製造業は生き残りの為に給与をコスト削減したこと。

世帯当たりの所得推移を見ると1990年代より減少しています。
共働きにしなければ2000年以前の収入が得られない状態に。

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何故そうなったのか?
グローバル化により日本人従業員にバブル時の様に給料を上げる必要がなくなった事が一因です。

企業のグローバル化は従業員への利益配分を抑制しました。

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日本企業の進出先1位は中国で、現在全体の約43%が中国で2000年から爆増。

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日本人従業員に利益を還元せずに、中国に利益を流し込んでいる状態ですね。

国内では価格競争により利益が増えないので賃金を上げられず、賃金が上がらないので消費も増えない悪循環(デフレ)に入った

日本企業の国内売上高は全体で1500兆円程度で1990年のバブル崩壊以降停滞していますが
中国メインの現地法人の売上高は300兆円以上で右肩上がり、国内投資も減少しました

海外進出企業は無理に従業員に支払う必要性がないので利益の内部留保・自社株買いが過去最高に

しかし従業員=日本国内消費者
彼等が潤っていないので消費が行われない

消費が行われず需要減少

国内の物価は上がらず、生産性も上がらないのでデフレが続く

生活苦の世帯が更に増加した

日本は企業の他国への進出は世界2位の規模ですが、他国企業の日本への進出が殆ど無い歪なグローバリズム国となった
中国等での企業活動に付随するGDP、雇用、税収は中国のものですが
他国企業による日本での雇用、生産活動、日本への納税は殆どありません

GDPが上がらないのは当然で
企業の多国籍化によるグローバル収支で見ると大きく赤字となった
https://monoist.itmedia.co.jp/mn/articles/2109/06/news001_4.html

国内で利益が増えないので賃金を上げられず、賃金が上がらないので消費も増えない悪循環です。
日本の個人消費は下がり続けています。

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https://www5.cao.go.jp/keizai3/2018/0125nk/n18_2_2.html

こうして見ていくと、日本の物価が上昇しない原因は、根本的には日本人の安売り正義の風潮が原因ではなく
経済構造が物価が上がらない形となっているようにも思えます。

どシンプルに言えば「そもそも金を株等に溜め込み従業員(消費者)に渡してないのに物が買われる訳ないだろ」です。

金を出し惜しみ国が傾くレベルになると困ります。政府に対しては皆さん盛んに責めますが、企業に対しては誰もあまり触れませんのでここで指摘してみました。脱炭素だのデジタル化だのそんなものより先にここ(日本だけ従業員に投資しない)を改善しないと何も始まらない気がします。