30人以上の中国人博士課程の学生が、高等教育を受ける為にスウェーデンに向かう過程で、中国共産党に忠誠を誓う契約書に署名させられていた事が明らかになった。

 

スウェーデンの新聞「Dagens Nyheter」は先週、入手した文書を引用して報道、複数のスウェーデンの大学もすぐに学生の書類をチェックし始めた 

2023.1.22

Photo lunduniversity

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⇧中国政府が留学生に署名させていた「援助出国留学協定書」

中国人博士課程の学生は中国教育部が運営する中国奨学金委員会(CSC)を通じて、スウェーデンの名門ルンド大学に留学。

スウェーデン紙の報道によると、30人以上の中国人博士課程の学生たちはスウェーデンに向かう過程で、中国共産党に忠誠を誓う契約書に署名させられていた事が明らかになりました。

「政権の利益に奉仕する事」「当局の意に反する活動には決して参加しない事」という書類にサインさせられ、彼らは共産党指導者に忠実である事が留学の条件となっていました。

この奨学金委員会は、世界中の大学との国際交流を支援しています。スウェーデンだけの事例ではなくこれはどこの国に対しても言える事かもしれません。※日本の日本学生支援機構もこの中国CSCとの覚書を結んでおりますので他人事ではありませんね。

契約書に違反すれば、故郷の家族に被害が及ぶ可能性

報告書によると、スウェーデンの中国人博士課程の学生の家族も契約の一部に組み込まれている可能性があるという。

もし、学生が規定を守らなければ、中国の故郷の家族は「国家に金銭的な負債」を抱えることになりかねない。

更に、スウェーデンに在籍する学生が教育を修了しなかった場合、家族が損害賠償責任を負うという契約にもサインさせられたとされている。保証人は学生が留学中、長期間中国から離れる事ができない。

この問題が明るみに出たきっかけは?

スウェーデンのルンド大学に在籍していた中国人留学生が、学業不振を理由に進学を断られた事がきっかけで、この問題が明るみになったとの事。その学生は、この契約が母国の家族に迷惑をかける事になるかもしれないと心配になり、相談して発覚した。

この事件の後、ルンド大学が同校の別の学生に書類を尋ねたところ、彼らも中国政府からの同じ手紙を持っていた事が判明。

この手紙に関する報道はスウェーデンで広がり始め、他のスウェーデンの大学も直ぐに学生の書類をチェックし始めた。報告書に名前が挙がっている大学には、ストックホルムの公立大学カロリンスカ研究所ウプサラ大学、ストックホルム王立工科大学などがある。

スウェーデンのトップ大学の一つであるカロリンスカ研究所は、中国政府の奨学金制度で30人以上の中国人留学生を受け入れており、今回の事案発覚で「当分の間、我々はCSCを通じてこれ以上研究生を受け入れない事にした」と述べています。

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Radio Free Asiaはこの事件についてこのように報道しています⇩

数万人の学生が海外渡航前に北京への忠誠を誓っている

スウェーデンの2大学が中国奨学金委員会との提携を解消、メディア報道で騒動に発展した。

政府の奨学金で海外に留学している数万人の中国人学生が、海外の大学に到着する前に中国共産党への忠誠を誓う文書に署名し、契約を破った場合は資金返済を強制される可能性のある保証人を立てるよう要求されている事が明らかになった。

スウェーデンのDagens Nyheter紙は1月13日、同国に到着した30人の博士課程の学生が、海外滞在中の政府への忠誠を誓い、滞在中に中国の利益の為に尽くす事を要求する契約書に署名したと報じた。

ラジオ・フリー・アジアが公開されている文書を調査したところ、この慣行は10年以上に渡って静かに続いており、契約書と関連規則のいくつかのバージョンがオンラインで自由に閲覧できた。

「留学中は、責任感と命令に従う能力を磨き、自国の利益や国家安全保障を損なうような活動をしてはならない」

「母国と学校の名誉を意識的に守り、中国と留学先の国の法律を遵守しなければならない」と契約書には書かれている。

また、学生が現地の中国大使館に報告しないなど、契約条件を破った場合に備えて、学生は2名の保証人の名前を提出し、書類に署名してもらわなければならない事が、文書で明らかにされています。

無許可で奨学金を辞めようとしたり、「極めて悪い行いをした」者、あるいは無許可で失踪したり他の国や学校に移った者は、保証人が資金の約3分の1を返済する事になるという。

中国は、2021年度、27,000人の学生を公費で海外留学させると述べていた。また、公開されている別の文書によると、彼らの奨学金は、留学終了後に「帰国して国の為に尽くす」という誓約を含む、党への忠誠を完全に条件とするものであった。

在英国中国大使館のウェブサイトに掲載された2021年度奨学金選考ガイドラインによると、海外の機関から資金援助を受けている者、または他国に永住権を持つ者は自動的に失格となる。

応募者は「中国共産党の指導を支持し......正しい世界観と価値観を持ち、国に奉仕する義務感を持つ」事を示せなければならないと、同文書は述べている。

「申請者の政治思想、その教師の道徳、行動、学習方法などを厳しくチェックする 」とし、国家予算の受給者には、契約違反の補償 を含む「契約管理方式」も設けるとしています。

こうした状況の為、有識者はこの契約を「悪魔に魂を売るようなものだ」と例えている。

中国奨学金委員会の奨学金を受けている中国人留学生の家族は人質となる運命にある。民主主義国の大学は、中国奨学金委員会のような組織との協力を拒否すべきです。さもなければ、人質を取る共犯者になってしまうでしょう。」等と指摘されており、これはスウェーデン以外の国の大学についても言える事です。

このスキャンダルはすでにスウェーデンで反響を呼び、ウプサラ大学とルンド大学は中国奨学金委員会との協力を打ち切ると発表し、王立工科大学もこの件について同委員会と「協議中」であると述べている。