ドイツでクーデター未遂 

 

ドイツ連邦検察局がクーデターを狙った通称「ライヒ(帝国)市民」を約3000人の保安要員を動員し逮捕

 

ライヒ市民は武力によって連邦共和国に「暫定政府」を樹立しようとしたとドイツ主要メディアで大々的に報道されています

2022.12.7

 

Photo tagesschau.de

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ドイツ連邦共和国、歴史上最大級の対テロ作戦。

本日ドイツで大規模な捜査が行われ多数の逮捕者が出ています。ドイツ連邦検察庁は12月7日、過激派が武力による国家転覆を企んだとして3000人以上の警備員とともに、過激派ネットワーク「ライヒ市民」のメンバー約50人の自宅と敷地を捜索。

武力によってドイツに「暫定政府」を樹立しようとした容疑でライヒ市民の家宅捜索が行われた。

ドイツ連邦検察庁は約50人の男女がドイツ連邦共和国を廃止し、1871年のドイツ帝国をモデルにした国家を樹立するためにテロ組織を結成したとして告発しています。

告発された 52 人の中には、元エリート兵士や連邦議会の元 AfD(ドイツ右派政党) メンバーが含まれていました。

彼らは国会議事堂の建物を襲撃し、電力インフラを攻撃して内戦のような状態を引き起こし、その後権力を握るために連邦政府の解体を計画したとの事。

事件を起こした帝国市民運動(Reich Citizens ' Movement)とは、主権国家としてのドイツ連邦共和国の存在を否定し、その法的秩序を拒否しているグループ。

ライヒ市民は1919年のワイマール帝国憲法が廃止されなかったため、ドイツ帝国が存在し続けるとしており、連邦共和国はドイツ帝国の正当な後継者ではないと主張しています。

 

水曜日の早朝から、裁判所の命令に基づいて約3000人の連邦刑事警察局、連邦警察、州刑事警察局保安要員がドイツ全土の130以上のアパートや家屋を捜査していますオーストリア、イタリアでも捜査が行われた。

捜査のターゲットは51 人の容疑者で、25人が仮逮捕されました。主な容疑者は元貴族と、連邦議会の元AfDメンバー、連邦軍の特殊部隊の元将校などでした。

クーデター計画がどこまで進んでいたかは、さらなる調査が待たれる。

彼等は帝国主義運動と「QAnon」運動を信奉していたと報道されています。

今回のクーデターの首謀者

ライヒ市民クーデターの首謀者はドイツメディアによると、フランクフルト・アム・マインに住む不動産企業家、ハインリッヒ13世ロイス公(71歳)です。

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捜査官によると、ライヒ市民グループは高貴な貴族の王子であるハインリッヒ13世が率いる新しい政府を設立したかった。

その為に彼らは 1871 年のドイツ帝国をモデルにした国家を樹立する為に連邦議会への武力攻撃を準備したと言われています。

ハインリッヒ13世も逮捕されました。

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ロシアとの関連もライヒ市民がQアノンに心酔していた事から疑われます(ロシア国民も一名逮捕されている)が、こちらについては分かり次第ここに追記します。

 

ハインリッヒ13世ロイス公の家柄について

ハインリッヒ13世はロイス家の分家ケストリッツの出身。本家のロイス家は1927年に消滅したが、1918年まではテューリンゲン州の二つの小国の支配王家でした。

ロイス家は帝政ドイツが打倒された1918 年のドイツ革命まで君臨していましたが、12世紀頃から頭角を現し力を持っていた名家です。

ロイス家の始祖は12世紀半ば前に現在のバイエルン、ザクセン、テューリンゲン辺りを開墾し、帝国の職務を遂行する事で大きな領地を築き上げました。1329年、バイエルン国王ルートヴィヒにより廷臣の地位与えられ領主に昇格。1673年には神聖ローマ帝国の伯爵となり、1778年からは帝国の皇太子となった。

ロイス王朝は様々な系統に分かれ領土を支配し、1700年頃にはプロイセンに10の領土があったとの事です。1918年のドイツ革命までは州都グライツを擁する旧体系のロイス公国と、州都ゲーラを擁する若年系のロイス公国がドイツ帝国の主権連邦国家として存続していたが、ドイツ革命でプロイセン王国の王政が廃止されてからは、ロイス公国は王位を放棄し、ドイツ帝国の1920 年にテューリンゲン州に統合されました。

現在、旧支配系統の男系は消滅しているが(1927年にグライツの旧系統、1945年にゲーラの若年系統消滅)、非支配傍系ロイス=ケストリッツ(今回の事件を起こした旦那の家系)は1692年に後者から分かれ、1806年に皇太子に昇格も果たしている。

この系統は現在もロイス家として存続しており、「当主」はハインリッヒ14世ロイス公で、一族の中ではロイス公と呼ばれている。

このロイス家の現当主であるハインリッヒ 14 世ロイス王子は、14年前に自らの意思で家を出たハインリッヒ13世は「陰謀論」にとらわれた「半狂乱」の男として距離を置いていた様です。

なので、今回事件を起こしたハインリッヒ13世はロイス家とは以前から離れており、この問題とロイス家を結びつけないで欲しいと言われています。

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最後におさらいで、簡単にドイツのこのエリアの変遷を見てみましょう。

古代ローマ帝国

西ローマ帝国

フランク王国

神聖ローマ帝国の前身、東フランク王国

ロイス家の仕えた神聖ローマ帝国

プロイセン王国

ドイツ連邦共和国