34歳の中国人女性が70万㎡の日本の島を購入し、永久使用権を持つオーナーとなり、無数のネットユーザーから羨望の眼差しを浴びています。
この報道が中国で爆発的に注目を集めました。
Twitterにて触りだけ紹介しましたが、多くの方が驚くとともに心配している案件です。
この動画はTiktokなどに投稿され幅広く話題となり、中国メディアでも大々的に取り上げられて中国国内で広く認知されました。
中国人ネットユーザーからは「中国では土地の使用権しか持てないが、日本では永久に自分の所有権が持てる。自分も欲しい!」という声も多数上がっています。
こちらが島を購入したと本人が語るTiktok動画です。
タイトルは「中国人女性が70万㎡の日本の島を購入、オーナーとなり永久使用権を持ち、休暇用にキープ!」
中国人女性が日本で70万㎡の島をオークションで落札購入した事について、中国SNSでは「島に中国国旗を立てよう!」
「中国では土地の使用権しか持てないが、日本では自分の所有権を永久に持てる。自分も日本の土地が欲しい!」
「変な日本人活動家が入って来れない様に警備を厳重にしろ」「国連に申請して国を設立する事も可能です」といった声が寄せられていました。
冷静な意見もありますが、過激なコメントも目立ちます。問題点としては中国国内でこの様に凄まじい拡散のされ方をしている所。
真似をしようと思い立つ人間が出るかもしれません。
この件についての詳細。
この島の位置はココです⇩
隣接する「伊是名島」は琉球国王生誕の離島です。
美しいサンゴ礁に囲まれ、どこでもシュノーケリングやダイビングが楽しめるマリンスポーツの宝庫。
買われた方も、この素晴らしいロケーションを見て観光資源にするつもりで買った。としています。
屋那覇島は浜沿いのみ伊是名村有地との事。中国メディアは島を丸ごと購入したという論調で報道していますが、実際には島の80%弱の土地を買った様子。
購入者の張さんによると、島は会社の名義で購入したもので、全体の所有権証明書(登記の事だと思われます)の合計は917枚、会社は720枚を購入し、残りはそれぞれ隣の村と民間が所有しているそうです。 契約日は2020年12月24日、2021年2月2日に全720件の権利証の移転登記が完了しましたとの事。
ここで非常に気になるのは、今回中国人女性が購入した屋那覇島の付近に伊江島という米海兵隊が離島奪還訓練を行っている島がある事です。
伊江島では2021年に中国を念頭にした島しょ部に素早く部隊を展開して攻撃拠点を確保する「遠征前方基地作戦」の訓練が行われ、米軍伊江島補助飛行場にはウクライナで話題の高機動ロケット砲システム「ハイマース」が持ち込まれたりしていました。
伊江島と屋那覇島の位置関係⇩
伊江島の様子⇩
この様な状態です。
中国メディアの報道の様子
青島出身の34歳の中国人女性が日本の70万㎡の島を購入し、永久使用権を持ち島の所有者となったと話題になり、インターネットユーザーの間で激しい議論を巻き起こしました。
1月30日から31日にかけて、中国人女性はTiktokに購入した日本の島での初めての生活を記録したいくつかの動画を公開し、これが中国国内で拡散され多くの中国人の知る所となった。
メディアに対して中国人女性は2月3日、動画で言及した島の購入は事実であり、冗談ではないと話しています。
彼女は屋那覇島購入は合法的なルートを通じて購入したと主張。
屋那覇島は将来の商用利用を排除するものではなく、休暇に適した場所に徐々に構築するか、転売、リース、または開発プロジェクトを行うかもしれないと言っている。
中国人女性は紆余曲折のあった島の購入の過程をメディアに説明し、2020年12月24日に調印がなされ、土地の所有権を取得する事に合意がなされたと語った。
島は会社名義で購入し、面積は約70万平方メートル(約1,050エーカー)。 島全体の権利証は917件あり、720件を購入して残りは隣の村や個人が持っているという。 70〜80年前には人が住んでいた島で、水道や電気も整備出来る事が分かっているとも。 島の開発・活用に関わる事なので、取引価格を公表する事はできないそう。
購入者の張さんは当初、2019年に元所有者が友人を通じ連絡してきた為、島を購入する運びとなったとの事。
将来的には「開発計画が上手く進めば、できるだけ多くの人々を島に招待し歓迎します」と語っています。
また、以前ホテルグループが島全体の調査を実施し、開発計画を作成し中国人女性に持ち掛けたようです。
購入者は「2022年にホテルグループから共同開発計画について連絡がありましたが、既に計画があったため断りました。現在、更に協力や買収の意向もあり、島の開発・利用計画が進んでいます」と説明しています。
大体この様な内容の報道が中国メディアでされています。
反響が大きいのか、数日後になってもまだ関連情報がこの様に無数に報道されている。
日本で物議を醸す
中国メディアの報道を受けてこの件は日本のSNSでも広く注目されていると、
日本人に問題視されている事を中国メディアも把握しています。
「屋那覇島は安全保障上、土地利用が制限される地域ではないが、島の所有者が中国の国営企業に転売すれば、中国は在日米軍基地を抱える沖縄を見下ろす戦略的立地を手にする事なる。
日本のSNS上では、日本のネットユーザーから「日本政府は一刻も早く法律を改正し、外国人が日本の土地を買えないようにするか、制限するべきだ」、「これは中国による沖縄侵略の第一歩になる」などのコメントが寄せられている。
しかし、日本の一部のネットユーザーは「すべて合法的でコンプライアンスに則っているのに、なぜ中国が日本列島を買うことにこれほど不満や反発があるのか?」と中国による日本列島購入にあまり強く反応する必要はないとも感じていたようだ。」
最近は日中双方でお互いの反応を見ている様な感じです。
この島については今後どのようになるのか監視をしていきたいと思います。
そして変化があれば皆様にご報告します。
中国企業は世界中で土地を買いだめしている
原材料、鉱業、農業へのアクセスを確保する為に、中国は世界中で土地を購入しており、最近は特にアジアとアフリカに集中しているとの事。
結果として、現在中国はリトアニアの面積(65,300㎢)に相当する土地を海外に保有しているとの事です。日本の面積は378,000㎢ですので、日本の国土の17.2%に当たります。
これは、米国やその他の大国が獲得した土地面積を遥かに超えていますね。
フィナンシャル・タイムズがこの件に関して興味深い報道をしています。
世界の戦略的島嶼を買収しようとする中国企業
中国の中小企業は重要な土地を探して世界中を駆け巡っているが、彼らは金儲けをしようとしているのか、それとも北京の隠れ蓑なのか?と中国企業による海外土地買収の危険性について指摘がなされている。
ソロモン諸島の事例
中国森田企業集団(中国サム・エンタープライズ・グループ)がソロモン諸島にある天然の深海港を持つ小島、トゥラギ島の75年リース契約を静かに交渉していたが、中国企業と州政府の島賃貸契約は「違法」とソロモン政府が判断し阻止されました。
その5カ月後、チャイナ・サムはさらに大胆な提案に関わった。
ソロモン諸島の別の州の首長が中国の国営航空宇宙・防衛グループの子会社であるAVICインターナショナル・プロジェクト・エンジニアリングからの手紙を受け取りました。
その手紙には、AVICと中国サム・エンタープライズ・グループの為に「人民解放軍の海軍の為に75年間のリース契約を結び、海軍とインフラプロジェクトを開発する機会を与えて貰いたい」と書かれていた。
この書簡は昨年7月にSNSに流出し、地元政府はAVICと中国サム・エンタープライズ・グループとの合意がなされたことを否定せざるを得なくなりました。
これが実際の手紙です。手紙にはこう書かれていました⇩
「私たち AVIC-INTL PROJECT ENGINEERING COMPANY はCHINA SAM ENTERPRISE GROUP LTD と共に、人民解放軍海軍にイサベル島を75 年間リースをさせてもらいたいと考えており連絡させて戴きました。
AVICとCHINA SAM ENTERPRISE GROUPはソロモン諸島と中国が民間および軍事関係を構築する機会を得たことを嬉しく思っています。
AVICは中国国営企業として建設プロジェクト、一般商品の輸出入、投資、設備一式の販売を専門に行っています。また、各国の政府プロジェクトの資金調達において豊富な経験を有しています。年間売上高は2億8,000万米ドルになります。
ソロモン諸島のインフラ整備、教育、スポーツ等、中国が支援させて貰えないかと考えております。
ソロモン諸島の将来的な発展と、持続可能な経済開発モデルを促進し、長期的なWin-Winのパートナーシップを構築出来ることを確信しています。当社の関連分野における専門知識は、ソロモン諸島の職業訓練の成功に貢献するだけでなく、ソロモン諸島の教育レベルの向上や中国との軍事協力にも役立つと思われます。
謹んで申し上げます。
AVIC-INTL プロジェクトエンジニアリング株式会社 代表取締役社長 」
こうしたやり取りがあった後、中国とソロモン諸島政府は中国海軍がソロモン諸島の港に駐留して兵站、補給、人員のローテーションを行うことを可能にする安全保障協定を締結しました。
これは一つのケースに過ぎず、中国サム・エンタープライズ・グループは、戦略的な土地を確保するために世界中を駆け巡る、増え続ける中国企業の一つに過ぎないとフィナンシャル・タイムズは指摘しています。
フィナンシャル・タイムズが調査した世界中での中国企業による土地買収の数十のケースでは、ほとんどがあまり知られていない中国の投資家が長期賃貸を提案したり、大規模な土地を購入しようとしており、多くは機密性の高い場所を買おうとしていたと指摘。
その土地の中には、米国の同盟国や軍事施設の近く、重要なシーレーンに沿った島、あるいは重要な海峡や水路を見下ろす場所にある場合もあった。(今回の屋那覇島もそうですね)
これらの企業の動機と政府との繋がりは明確にし辛く、あるケースでは、民間企業家精神と日和見主義が混在した本物の取引であるように見え、またあるケースでは、国家との明らかな繋がりがあるように見えたとの事。
いずれにせよ、多くの西側政府が抱き始めた印象は、これらの中国民間企業が、後に続く中国国家の利益の為に道を切り開いているというものでした。
「東南アジアのある外交官は、「これらの中国企業は、現代におけるイギリスの東インド会社のようなものだと言えるでしょう。新しい市場、新しい勢力圏に進出する自国の先兵なのです」と語った。
と、この様な事例が複数紹介されています⇩
今回の沖縄の屋那覇島の中国人女性による購入はこうした背景があるとは断言できませんが、十分注意する必要があると思われます。
事実中国は、中小企業をフロントにして世界中で戦略的に重要な土地を購入しているのですから。