ハンガリー、非常事態宣言の危険性 

 

 

ハンガリーは最近「緊急事態条項」について議論がなされていますが、実際にこれを施行した国に何が起こきたのかモデルケースとなります。

· EuropeNews

 

従来の非常事態法の改正により(コロナの大流行があった為)、隣国での武力紛争や人道的災害の場合でも政府が非常事態を宣言する事ができるようになりました。緊急事態においては、政府は政令による統治や特定の法律の適用を停止する事ができる

オルバン首相は、この措置によりハンガリー指導部が「直ちに対応し、あらゆる手段でハンガリーとハンガリー人の家族を守る機会」を得る事になると述べた。

オルバンは発足したばかりの新政府が直ぐにこの仕事を始めたのは、「隣国(ウクライナ)では戦争が起こっており、その終わりはまだ誰にも予見できないからだ」と強調した。その為には、即座に行動する力が必要ですと。

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以前のコロナパンデミックに対応した非常事態宣言

ハンガリー政府は2020年3月、コロナの大流行を受けて初めて非常事態を宣言した。当時は、国会を事実上閉鎖する事になる為、国内外から激しい批判を浴びた。コロナの非常事態はその後、何度も延長され2022年5月31日に正式に期限切れとなる。

新たなオルバン政権の憲法改正案は、政府に法を無視した権力を与える可能性があると世界から危険視されています。

Human Rights Watchのハンガリー

非常事態法改正における危険性についての指摘を紹介します

オルバンはコロナやウクライナ戦争とは関係のない法律、つまり言論や集会の自由、市民社会組織の活動などの人権を制限する法律を成立させ自身の支配力を強化する為に活用する可能性がある。

ウクライナ戦争を口実にハンガリーの与党は5月25日、近隣諸国で武力紛争や人道的災害が発生した場合、政府が「危険状態」を宣言できるようにする憲法改正案を国会に通過させた。再選したばかりのオルバン首相は早速、ウクライナ戦争を引き合いに出して危険状態を宣言する権限を行使した。憲法改正の採択は、国民の意見を聞くことなく行われた。

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今回の決定でオルバン首相に、政令による統治、議会審議の回避、司法の監視がほとんどないまま法律を短期間で停止する、といった大権が与えられる。

オルバンが緊急権を採用したのは今回が初めてではなく、コロナ大流行の際にも同様の宣言がなされ、政府はその特別な権限を行使して大流行とは関係のない法律、つまり言論や集会の自由、市民社会組織の活動などの人権を制限する法律を成立させたのである。政府は新たな危険状態の元で支配を更に強化する為に、再びその権限を悪用する可能性がある。

今回の法治に対する攻撃は、オルバンが在任中の過去12年間に行った、公的機関の乗っ取り、司法の独立性の低下、報道の抑圧、権力強化の為の市民社会組織の悪魔化・犯罪化など、反民主的な手段の長いリストに追加されるべきものである。法の支配の実績が乏しいとして欧州連合機関と対立しながらも、オルバンは歯止めなく支配を続け、ハンガリー人の権利を好き勝手に踏みにじっている。

先月、EU加盟国の閣僚がハンガリー政府に対して4回目の公聴会を開き、法の支配の失敗が続いている事について議論した。この公聴会は、2018年に欧州議会の投票によって発動された第7条プロセスの一環であった。閣僚達は、予定されていた憲法改正への懸念など、様々な問題を提起しましたが、2日後には改正案が承認されました。

 

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オルバン政権による緊急事態宣言について、ハンガリー国内での指摘⇩

ハンガリー市民自由連合(TASZ)によると、緊急事態宣言は正当化されないものに対して使われる事が多く、コロナウイルスの流行に対して宣言された緊急事態では、例えば教員のストライキ権の無効化など、流行管理とは関係のない目的で使われることがしばしば見受けられたという。

最大の問題は、憲法が政府に法律から逸脱する自由度を非常に大きく与えており、憲法裁判所がそれに対抗できる立場にない為、これが実際にどのような意味を持つのか分からないという事です。たとえ意志があったとしても、憲法裁判所の遅い手続きでは、基本的権利を侵害する緊急政令を直ちに無効にする事はできない。

基本法はすでに戦争の問題を扱っており、戦争の脅威や外部からの武力攻撃があった場合に行動を起こす事を可能にする特別な法体系が常に存在していたのである。しかし、これらの特別法令は必要な条件を備えておらず、今さら発動する理由もなかっただろう。

3分の2以上の賛成があれば、政府はどんな法律でも、必要なら1日か2日以内に改正を決議できる。ウクライナ戦争の主に経済的な影響が、なぜ議会を迂回するやむを得ない必要を正当化するのか、彼は説明しなかった。

政府にとって、緊急事態というのは、国会での議論もない為、規制を導入しても野党議員の質問に答える必要がなく、完全に人目を避けて意思決定ができる等、単純に都合がいいのです。

非常事態は、確かに戦争が終わるまで続くかもしれない。

非常事態がいつまで続くかについて、TASZは、非常事態が発動されるに至った状況が続く限り続くと述べた。つまり、戦争が続く限り、非常事態は維持できる。しかし、本当に心配なのは先週まで存在しなかった理由で、この非常事態が発動された事だ。

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緊急事態は2年前から続いている。主な問題は新しく作られた特別な法秩序の永続性である。これは議会広報が完全に解体され、基本的権利を制限する余地が大きくなる為、許されないこであった。

非常事態宣言の為の法改正は独裁政権の権力強化に悪用されると危惧されています。

政府に渡す力の具体的な内容については我が国含め、国民はしっかりと詳細を監視する必要があります。一度渡してしまえば彼等は手放しませんので。