イスラエル軍がガザのハマストンネルを海水で水責め

 

 

作戦完了までには注水開始から少なくとも42日かかります。

 

2023.12.16

Photo hidabroot.org

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ガザでのイスラエルの地上作戦開始から7週間が経ち、イスラエル軍がハマス殲滅を達成する為に対処しなければならない重要な課題の1つが、ガザ地区全体に広がる迷路のようなハマスのトンネル問題です。

ハマスのガザ地下ネットワークを破壊する為、イスラエル軍はガザ地区のトンネルの一部に海水を入れていると米当局者がCNNに語っています。

海水による水責めが成功した場合、ハマストンネルネットワークが大規模に損傷し、ハマスを弱体化させる事が出来ます。

https://youtu.be/4Lx_KY96xoE?si=ye_e_p6S5biFEF91

ウォール・ストリート・ジャーナルの報道によると、イスラエル国防軍(IDF)はガザ北部のアル・シャティ難民キャンプから約1マイル(1.6㎞位)北に5台の給水ポンプを設置した様子。

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⇧IDFの海水圧送ポンプと思われる動画。

IDFが海水を注入しようとしているトンネルは全長300マイルと推定され、分厚い防爆扉で区切られており、ハマスの軍事作戦の重要な部分を占めているとの事。

また、バイデン米大統領はハマスのトンネルに海水を注入し始めているとの報道を受け、人質にどの様な影響が出るのか?と人質の安全に懸念を表明しました。

 

トンネルへの水責めは一定の効果を上げているのが分かっています。

先日ハーンユニスでイスラエルがトンネルを氾濫させた後、ハマスの工作員が一斉に投降を開始。

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IDFは、テロリストが自首し、貴重な情報を提供していることを確認した。

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https://youtu.be/oH53mGQNKwI

しかしこの方法は難しく、物議を醸してもいます。

十分な量の海水を高い圧力で注入したとしても、ハマストンネル無効化には部分的にしか寄与しない可能性があるからです。

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また、ガザの地下水を汚染し、地表に残っているあらゆるインフラに損傷を与える危険性もあります。

イスラエル政府にとっても、ガザ地区でハマスが今も拘束している人質(その多くは地下にいると考えられている)を殺害してしまうリスクもあります。

一方、ハマスの報道官は今週木曜日、こうした事を想定してハマスはトンネルへの水責めに耐えられるようトンネルを建設したと述べました。

ベイルートでの記者会見で、ハマスのスポークスマンは「トンネルは熟練の技術者らによって建設され、水をくみ上げるなど占領軍によるあらゆる攻撃の可能性を考慮した」と語っています。

 

ハマストンネル攻略の難しさ

トンネルはガザ住民にとって経済的なライフラインとしても機能し、イスラエルとエジプトによる17年間に渡る封鎖の中で人、物資、そして時にはアメリカのファストフードさえも輸送してきました。

※ガザ経済は地下トンネルが主導してきました。ガザのハマストンネルの歴史についてはこちらを参照⇩

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エルサレム・ヘブライ大学の軍事史家ダニー・オーバック氏は、「ハマスのトンネルは独特で、その深さ、洗練具合、罠の張られ方の点で非常に革新的である」と評価しています。

ガザの地下トンネル群は、200万人以上が住む人口密集地帯であるガザ地区の大部分の地下に建設されており、一説によるとその深度は地下数キロに達しているとも。

専門家によると、トンネルの一部は厚いセメント壁で補強されているか金属製のドアで仕切られており、すべてが繋がっているわけではない様です。

イスラエル軍のトンネルへの水責めの規模は不明です。

トンネルを浸水させる為にどれだけの水と、どれくらいの圧力をかけているのか、あるいはどのトンネルをターゲットにしているのかさえも現状では不明です。

この作戦が成功するには、トンネル内にポンプで水を送り込む圧力がセメント壁だけでなく、トンネルの一部を隔てる厚い金属製のドアも破壊できるほど高くなければなりません。

オーバック氏は「少なくともこの洪水作戦により、ハマスの過激派がトンネル内で移動せざるを得なくなる可能性があり、それはイスラエルの諜報機関が過激派やおそらくは人質の所在を特定するのに役立つだろう。」と述べています。

 

一方、イスラエル現地メディアはハマストンネルへの注水について、 5 台設置されているポンプが地中海から水を汲み上げ、毎時数千立方メートルの水をトンネル内に送り込む事ができる為、数週間でトンネルが浸水すると報道しています。

1000立方メートルは1Lのペットボトル「100万本」です。小学校の25mプールの容積が281立方メートルなので、1000立方メートルは小学校の25mプール3.5か所分くらいの水量です。

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「数週間に渡ってトンネルを浸水させるプロセスによりハマスのテロリストと人質が、トンネルから出らなければならなくなるだろう」と計画に詳しい関係者は述べている様です。

すべての捕虜がガザから解放される前にイスラエルがポンプを作動させる事を検討するかどうかは不明ですが、 10月7日にイスラエルを攻撃したテロリストは200人以上の捕虜をガザ地区に連れ帰り、一部が解放されたり殺害されたりしているのが分かっただけで、二か月以上大きな進展無くそのままです。

※そのまま時間が経つにつれ、人質も弱っていく可能性(女性や子供達が多い)が高いので、イスラエルとしても焦っているのでしょう。

「トンネルや周囲の地盤の詳細を誰も知らないので、汲み上げがどれほど上手くいくか分からない」と同関係者は語っています。

「誰も入った事のないトンネルに海水がどのように満ちるか分からない為、効果があるかどうかを知ることは不可能です。」

 

ガザ人の飲料水問題

現在、ガザ人の殆どは綺麗な水を利用できません。

ガザの飲料用の水源の 1 つは、最近使用されなくなった淡水化プラントです。

10月7日のハマステロ以前は、3本のイスラエルのパイプラインがガザに水を運んでいました。 このうち 1 つは閉じており、残りの 2 つは非常に低い出力で水を運んでいます。

最盛期には、このシステムは 1 人当たり1 日 83 リットルの水を供給していました。

国連のデータによると、1人当たり1日に必要な水の最低量は15リットルであるとされていますが、現在パレスチナ人が受け取れる水の量は1日当たり3リットルに過ぎません。

海水がガザの既存の下水道や水道インフラにどのような影響を与えるかは不明で、地下貯水池にどのような影響を与えるかも不明です。

この問題に詳しい元米国当局者らは、米国とイスラエルの当局者がトンネルを海水で浸水させる事について協議していた事を認めたが、計画の現在の状況は分からないと述べています。

元当局者らは、イスラエルの海水による水責め作戦に米国が賛同する事でバイデン政権を困難な立場に陥らせ、世界的な非難につながる可能性があるのを危惧している事を認めましが、この作戦は全長500キロと推定されるハマスのトンネルシステムを恒久的に廃止する為の数少ない効果的な選択肢の1つであるとも認めています。

元当局者の一人は、ガザ地区の下水・水道システムは酷く損傷して汚染も酷い為、戦後は国際援助で再建する必要があるとも言っています。

中東の環境に対する戦争の影響を研究している専門家は、ガザのトンネルシステムの約3分の1がすでに損傷していると仮定すると、イスラエルは残りを破壊する為に約100万立方メートルの水をくみ出す必要があるだろうと指摘しました。

※毎時1000立方メートルなので、1000時間、42日かかります。