この様な建造物を月に作ると主張しています。
中国国営メディアCCTVは「月に家を建てるのは夢じゃない!」と報道しています。
100人以上の中国の科学者、研究者、宇宙開発業者が最近、武漢で開かれた会議に出席して、月にインフラを建設する方法について議論したと報道されています。
長江日報によると、中国工程院の専門家は、あるチームが月の土からレンガを作る「中国泥瓦匠(Chinese Super Masons)」というロボットを設計中と報告しました。
また、2025年頃のミッションで、月の裏側から世界初の土壌サンプルを採取することを目標としている様です。
何をしているのかちょっと見てみましょう。
4月8日、中国国内の百人以上の専門家と学者が華中科技大学に集まり、第一回地球外建設シンポジウムを開いて、月面に建造物を作る方法を検討しました。 専門家は、2028年頃「中国のスーパー石工(⇧のロボットの事と思われます)」が、月面でレンガを製造して、玄武岩基地の建設を始めると述べました。
国家デジタル建設技術革新センター主任研究員、中国有人宇宙工程主任設計者、中国月探査プロジェクト第四期主任設計者らは「中国のスーパー石工」が月の土を焼成して人工物を作ること、つまり月土レンガをその場で作ることに期待を寄せた。 このレンガを月面で作ることができれば、技術的なルートが開かれ、月の玄武岩基地の建設が現実のものとなると主張しています。
月面に建造物を建てる理由
中国は月面に月面基地を建設したい。これは今までにない偉業であるばかりか、世界のどの国も建設できていない。 月面に家を建てることは中国だけではなく、欧州宇宙機関やNASAもその意向を持っている。 現在、月面に家を建てるための国際基準はなく、まず技術的な問題を解決しなければならない。
2020年10月13日、米国は7カ国と地球外資源の開発・利用を目的とした「アルテミス協定」を締結し、月面での建設は各国が月探査・開発で直面する基本課題となっています。
中国の月探査プロジェクトは第1期から第3期までが終了し、現在第4期が着実に進んでいる。
嫦娥6号は2025年頃の打ち上げが予定されており、月の裏側に着陸し、着陸地点の現地調査や分析を行い、月の裏側から世界で初めて月の土のサンプルを採取する予定である。
中国は月表面建設の鍵は、月面で広く利用可能な材料である月土の利用技術であると主張しています。「月に家を建てる」ことは月探査の長期的なニーズであり、将来的には必ず実現されるが、現状では短期的な実現は困難であると言っています。
設計・施工方法
国家デジタル建設技術革新センター主任研究員の丁立雲は、かつて農村の家屋はレンガを焼いてから壁を作ったが、これを月面での家屋建設に応用することができると紹介した。(笑わないで下さい)
「高エネルギービームを使った3Dプリンター技術でブロックを作る未来を想像してみてください。たとえ印刷したブロックが粗悪でも、一部分に影響があるだけで、積み木のように月面に家を建てることができます。
「従来の建設とは異なり、地球外建設には複雑な問題や課題があります。 月で建設を実施するためには、まず克服しなければならないのは極端な環境である。 月は超高真空にあり、300〜400℃の大きな温度変化がある為、従来の土木工法ではほとんど施工が不可能で、構造物の安定性も保証されません。」
「ミネラルウォーター1本を月に運ぶと20万ドルかかる」といわれる位に高いコストから、建設に必要な鉄やコンクリート、水などの資材は地球から持ち込めないので、できるだけ月の自然の土壌を利用する建設しかできない。 材料は、できる限り自然の月の土を使ってその場で作るしかない。 さらに、年間約1,000回発生するマグニチュード2~3の月震、宇宙線、太陽風、微小隕石の衝突による強い放射線、月面の複雑な地形や地質など、月面での建設は非常に複雑で学際的なスーパープロジェクトである。」
月面でのレンガの焼結はどうするのか?と言う質問に対して 丁立雲は「月の土壌を模擬して行った3種類の焼結試験が完了しており、真空焼結、不活性ガス焼結、空気焼結があり、不活性ガスでの焼結強度が最も高く、100MPa(マリアナ海溝の水圧は1,000気圧≒100MPaとなります)以上に達する」と説明しました。「 真空環境での月土レンガの最適な焼結温度は1000℃~1100℃であり、加圧すると焼結時間が短くなる。」
この月土模擬レンガは、月で使えるのだろうかと言う質問に対して、 丁立雲は「月面の最低温度はマイナス196℃、最高温度は120℃だという。月の環境の1サイクル(1サイクルとは、月の昼と夜の14日間)に耐えられるか、実験してみると、高温と低温のサイクルでも模擬月土レンガの強度は低下せず、上昇していることが分かった。 強度が低下するのは常識であり、強度が上昇した理由については現在も模索中である。」と答えた。
建設作業員は誰なのか?と聞かれ、丁立雲は「月面での建設は極端な環境問題に直面するため、石組みや組み立て作業を完了するためのスマートで強力なロボットが必要になる、このロボットは「中国のスーパー石工」である」と主張した。
「2028年頃に嫦娥8号に搭載することで、中国のスーパー石工の技術実験が検証できることが期待されている。重さは50kg以下。食べるのは月の土で、吐き出すのは月の土のレンガだ。 これなら、人間が手を加えなくても、月面のその場でレンガが作れる。」と言っています。
どうやら本気の様です笑
というのも、中国は「宇宙大国」を目指し、2013年に中国初の月探査機が着陸に成功し、2019年には世界で初めて月の裏側に探査機を設置、2020年には中国が月の土壌サンプルを持ち帰るなど、月探査計画を国家プロジェクトとして進めているからです。
ここでは若干お粗末な内容に見えましたが、油断はならないと米国は判断している様です。
2025年から2028年頃、中国は無人月探査機「嫦娥」を3回打ち上げる予定で、月に着陸した探査機をベースに、2035年までに月面基地のインフラを構築し完成させる予定を発表しています。 2030年頃までには宇宙飛行士を月面に送り込む構想を打ち出しており、 月探査を進めるために、従来よりも搭載能力の高いロケットも開発される予定です。
2021年、中国とロシアは月面基地の共同建設に合意。 2022年2月には、中国とロシアは、電子機器など位置情報を得るための測位衛星の分野でも協力を拡大する事に合意しています。 中国は有人宇宙飛行などで実績のあるロシアと連携することで、米国に対抗する狙いがあるとみられる。
月の資源開発に関わる国際的なルールは、まだ十分に整備されていない上に、中国とロシアに月を好きにさせると何が起こるか分からない。 月面開発を進める上でも日米欧の協力が重要になってきています。
少し話が逸れますが、有力な月面開発企業の株価は上昇する可能性があり、今後注目です。
代表的なのがマスクのスペースXです。スペースXの評価額は約19兆円との事。
去年末、マスク率いる宇宙開発企業スペースXは、内部関係者の保有株を1株当たり77ドルで売り出すとブルームバーグなどが報道していました。
「今回の売り出し価格に基づけば、スペースXの企業評価額は約1400億ドル(約19兆円)となる。データ提供会社ピッチブックによると、7月時点の評価額は1270億ドルだった。」
中国企業も続々と宇宙産業に参加してきています。今後西側の半導体規制でどうなるか不明ですが、上場した場合、値動きが気になる所です。