
ゼレンスキー大統領は「ウクライナ軍がロシアの兵士として戦っていた中国人2人を捕らえた。」と発表しました。3年間の戦争で中国国民が捕虜になったのは初めての事。
ゼンスキー大統領は今週火曜日、キエフで記者団に対して「中国人2人はドネツク州のウクライナ領内での戦闘中に捕虜になった。」と述べ、ウクライナ外相に対して、この件について北京の外相に直ちに連絡するよう指示しています。
ゼレンスキー大統領はロシアの侵略戦争に協力していた容疑者(中国人兵)の一人の動画を投稿し、「更に多くの中国国民がロシアのウクライナ侵略に加担している情報を持っている。」と話しています。
この容疑者は、中国の仲介人を通じて30万ルーブルを払いロシア軍に入隊、ルハンシク州のロシア占領地域で訓練を受けたと報告されています。
その後ゼレンスキー大統領は、少なくとも155人の中国人がロシアの為にウクライナ侵略に参加しており、その一部はTikTok経由で募集されたと指摘。

「ロシア軍に参加している中国人の問題は深刻だ。155人の名前、パスポート情報が判明している中国市民がおり、彼らはウクライナ国内でウクライナ人に武器を向けている。我々は情報を収集しているが、この数は更に多いと考えている。これらの155人について、パスポート情報や出身地、中国の書類、年齢などと共に、彼らの具体的な配属部隊、例えば第70、第71、第255自動車化狙撃連隊などが判明している」と言っています。
さらにゼレンスキー大統領は、ロシアが彼らをどのように勧誘しているか、その手口についても把握していました。
「中国人をウクライナ侵略の戦地に勧誘する方法のひとつは、TikTok等の中国のSNSを通じたものであり、ロシア人がこれらのプラットフォームで募集広告を広めています。これについて北京側も公式に認識しており、これは秘密裏の募集ではありません。ただし、秘密裏の募集も存在する可能性があります。」
「入手した情報によると、募集された人々はモスクワに到着し、3~4日間の医療検査を受けた後、1~2ヶ月間訓練センターで過ごします。その後、ウクライナ領内で戦っています。彼らには移民カードが発行され、更に『ミール』決済システムのカードも渡され、このカードを通じて報酬を受け取っています。」
中国やアメリカがこの中国人捕虜の事態にどう反応するかについて、ゼレンスキーは以下のようにコメントしました。
「アメリカ合衆国は非常に驚いており、このような事態は容認できないと考えています。そのようなメッセージを彼らから受け取りましたが、それ以上の情報はまだありません。私は外務大臣にこの件に取り組むよう指示しました。外務大臣は中国側との連絡を取っていますが、追加の情報はまだ届いていません。」

・ロシアのインフレ率が鈍化

ロシアのインフレ動向と現状
ロシアでは物価上昇率が2024年末以降徐々に鈍化しているものの、依然として高い水準(年間10.24%、目標の4%を大きく上回る)にあります。特に軍事支出の増加が主要なインフレ要因とされています。
特に防衛分野への支出拡大によって、消費財が生産されない一方、労働者の購買力が向上し、需給バランスが崩れています。これにより需要過多となりインフレ圧力が強まっています。
労働市場が逼迫
失業率が低く(2.4%)、労働力不足が生産のボトルネックとなっており、供給が需要に追いつかない状況が続いています。
輸入制限
西側諸国の制裁により輸入が制限され、国内市場では商品供給の増加が難しい状態です。
中央銀行の対応と限界
ロシア中央銀行はインフレ抑制の為に政策金利を高水準に維持しています。しかし、防衛産業向けの優遇融資やその他の制度的要因により、金利政策の効果が十分に発揮されていません。
消費者需要の抑制
消費者ローンの減少を通じて個人消費を抑制しようとしていますが、実質所得の増加が一部で需要を支えています。
通貨政策
ルーブルの価値が過去に比べて上昇傾向にあり、輸入品の価格をある程度抑制していますが、将来的には弱体化のリスクが示唆されています。
経済全体の停滞
軍需生産が優先される一方、民生産業(自動車業界など)の生産能力は低迷しています。これは国内の労働力・資源が軍事セクターに集中している為であり、民間セクターの停滞や社会福祉予算の削減が指摘されています。
今後の課題と展望
経済全体が需給のバランスを回復し、「持続可能な経済成長の軌道」に戻る必要があるとされています。しかし、現状の財政政策(防衛支出の増加)はこのプロセスを妨げており、中央銀行の選択肢が限られている事が問題です。
・新たな交渉ラウンドがアメリカとロシアの間で4月10日にトルコのイスタンブールで行われ、双方は主に両国大使館の業務正常化について話し合う予定です。

「ヨーロッパの真実」紙が国務省報道官タミー・ブルースのブリーフィングを元に報道。
ブルースの発言: 「これらの交渉は、我々の大使館業務に専念するものであり、両国間の全般的な関係正常化を目的としたものではありません。我々が既に述べたように、それはロシアとウクライナ間の和平が実現した場合にのみ可能です。」
トルコでの交渉中、アメリカとロシアの代表団が「両国の外交使節団業務のさらなる安定化に向けて進展を目指す」と明らかにしました。
この会談の議題には、政治問題や安全保障問題、特にウクライナに関するものは含まれていません。
・ロシアのウクライナ都市への攻撃は和平交渉を脅かしていると、米国代表のドロシー・シーはニューヨークの国連安全保障理事会で演説しました。

ドロシー・シーは4月4日に20人が死亡し、そのうち9人が子供だったクリヴォイ・ログへのロシアの攻撃に言及。
「我々はロシアに対し、クリヴォイ・ログへの攻撃や、捕虜の殺害が和平解決の努力と今後の交渉を危うくする可能性があることを忘れないように求めます」と。
米国の外交官によれば、ワシントンは義務の違反を容認せず、交渉を長引かせる事はないとしています。
・ウクライナ軍の総司令官アレクサンドル・シールスキーは、ロシアがスームィ州とハルキウ州に対する攻勢を開始したことを明らかにしました。

ロシア軍の新たな攻勢について
「この攻勢(スームィ州とハルキウ州)は実際にはすでに始まっています。というのも、ここ数日、ほぼ1週間に渡り、敵の攻撃行動の数がすべての主要な方向でほぼ2倍に増加している事を私達は確認しています」
シールスキー総司令官は、ロシアの戦争における目的は変わっていないと指摘しました。彼によればロシア軍は、ドネツク州とルハンスク州の完全占領、ヘルソン州とザポリージャ州の一部占領、さらにハルキウ州、スームィ州、チェルニーヒウ州の地域に緩衝地帯を設ける事を目指しています。
「すべての停戦交渉にも関わらず、攻撃行動の激しさが増す一方である事しか確認できません」とシールスキーは述べました。
シールスキー総司令官はウクライナの前線は常に拡大していると述べています。

彼によれば、敵がクルスク作戦やハリコフ地方、特にヴォルチャンスクで行った攻勢は、前線を200km広げる結果となったといいます。
同時に、シールスキー総司令官は侵略が始まって以来、ロシアがウクライナでの兵力を5倍に増加させたと指摘しました。
「ロシアは毎月8,000~9,000人の兵力を増強しており、年間で12万~13万人に達します。2025年1月1日までには、ウクライナで戦闘に関与しているロシア軍の部隊数は約60万3,000人となり、現在ではすでに62万3,000人に達しています」と述べています。
また、ロシアが兵士たちを金銭的な報酬で積極的に刺激していると強調しています。
「契約を締結するだけで2万~4万ドルの支払いがされており、そのほかの金銭的な手当については言うまでもなく、兵士は2,500ドル以上を受け取る」と述べ、こうした方法でロシアは積極的に兵士を奨励し、新たな兵力動員を行っていると付け加えました。
「つまり、ロシアは兵士達にお金をばら撒いており、これが主な動機になっています。我々はそれを許容する事はできません。」
シルスキー氏によれば、ロシアの動員リソースには、軍服務や訓練を受けた約500万人が含まれており、全体での動員潜在力は2,000万人に達するといいます。
このような脅威の中、シルスキー氏は、ウクライナが動員を行い、軍事力をロシアの侵略に対抗する為に再編成する必要があると指摘しました。
なお、ウクライナ軍司令部は、複数の方向での戦闘を活発化させるロシア軍の準備を監視しています。
大統領府のパヴェル・ポリサ氏によれば、ロシア軍は今年中に約15万人の部隊を増強する計画だといいます。これは、おおよそ15個の自動車化狙撃師団に相当します。
・ロシアの主要な原油輸出であるウラル原油の価格が50ドルに近づき、ロシア政府が危機感を抱いています。

ウラル原油価格の下落: ウラル原油の価格が1バレルあたり52.76ドルまで下落。これはロシアの2025年度予算策定に使用された70ドルという基準を大きく下回っています。
クレムリンの反応: クレムリンは、この状況を「非常に不安定で緊迫しており、感情的に過負荷がかかっている」と表現し、「注視」していると発表。
価格下落の理由: クレムリンの報道官は、価格下落の理由として、米国の関税導入を挙げています。
予算への影響: 石油・ガス収入はロシアの予算収入の約30%を占めているため、原油価格の下落はロシアの財政に大きな影響を与えます。
ウクライナ戦争の影響: ウクライナ戦争のための軍事支出が急増しており、原油価格の下落はロシアの予算をさらに不安定化させる可能性があります。
過去の状況: 3月下旬には原油価格は上昇傾向にありましたが、ロシアの石油・ガス収入はすでに減少していました。
エネルギー収入の重要性: エネルギー収入は、西側諸国の制裁や価格上限があるにもかかわらず、ロシアのウクライナに対する戦争を支援するための重要な資金源です。
ロシア中央銀行の総裁エリウィラ・ナビウリナ氏は、原油価格の低下ととトランプの関税戦争がロシア経済に悪影響を及ぼす可能性があると警告しています。

ロシア中央銀行総裁は、特に原油価格の変動に関する影響や、貿易戦争の激化が世界貿易や経済を落ち込ませ、その結果、エネルギー需要の減退につながるリスクについて言及しました。