グローバル製薬企業が医薬品製造拠点を中国からインドにシフト

 

インドが世界の薬局になる?

2023.11.27 Photo startuptalky.com

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約 20 年に渡り、様々な医薬品研究および製造サービスの拠点として中国が台頭していましたが、現在、グローバル製薬企業は医薬品製造拠点をインドに移そうとしています。

グローバル製薬会社は、臨床試験や医薬品を生産する中国の請負業者への依存を制限しようとしていますが、この動きはインド企業に利益を齎している事がロイターの業界10社へのインタビューで明らかになりました。

インド政府も420億ドル規模の医薬品産業でのシェア拡大を狙い動いてきている様です。

トランプ政権下での米中貿易戦争や、COVID-19パンデミックの際に他の業界が経験したサプライチェーンの大混乱にも関わらず、この製薬業界と中国の関係はほぼ堅持されてきました。

しかし、中国との緊張が高まるにつれ、より多くの欧米の政府が、中国の暴挙にさらされるサプライチェーンの「リスク回避」を企業に推奨するようになっている様です。

一部のバイオテクノロジー企業は、臨床試験やその他の外注業務で使用する原薬(API)の製造にインドの製造業者を利用する事を検討しています。

※日本も中国に環境破壊を伴う原薬の製造を依存しているので他人ごとではありません。

インド最大のCDMOであるシンジーン(SYNN.NS)、アラジェン・ライフサイエンシズ、ピラマル・ファーマ・ソリューションズ(PIRM.NS)、サイ・ライフサイエンシズの4社はロイターに対し、今年に入り、大手多国籍企業を含む欧米の製薬企業からの関心や依頼が増加していると語っています。

サイ・ライフサイエンシズ社は利益の伸びについてコメントを避けたが、売上高は近年25%~30%伸びていると述べており、他の企業も直近の四半期では好調な利益成長を報告しているとの事。

各社のトップは、一部の顧客は中国に加えてインドを第二の製造拠点として加えたいと考えていると述べています。

また、中国からの撤退を目指す企業や、サプライチェーンをインドに求める企業も増えてきています。

とは言え、ピラマル・ファーマ・ソリューションズのピーター・デヤングCEOは、こうしたインドの製造業者にとっての恩恵は直ぐには得られないだろうと述べています。

開発初期の治療薬が市場に出回るには時間がかかり、そうなればピラマル・ファーマ・ソリューションズのようなアウトソーシング企業にとって契約はより有利になるだろうと言っています。

力強い成長

インドは420億ドル規模の製薬産業の売上と評価を高める為、製薬サービス分野での足場固めを目指しています。

インドを拠点とする調査会社Mordor Intelligence社は、インドのCDMO業界の今年の売上を156億ドル(2兆3300億円位)と推定しています。しかし、今後5年間の平均成長率では、中国の約9.6%に対し、インドは年率11%以上と予測しており、中国を超えると見ています。

インド製薬会社の株価は今後面白いかもしれません。

ピラマル・ファーマは今年、顧客から「インドへの後方統合」、つまり最も基本的な原材料でさえも中国ではなくインドから調達するよう要請を受けていると述べでおり、ピラマルは原材料の約15%を中国から購入しているが、それを減らそうとしています。

サイ・ライフ・サイエンス社は、2019年以降製造能力をほぼ倍増させ、需要に対応する為に来年以降さらに25%追加すると発表しました。

過去5年間で従業員2,500人から4,500人に成長したインドの非上場企業Aragen社の最高商業責任者ラメッシュ・スブラマニアン氏は、昨年の21%の収益成長は、欧米のバイオテクノロジー企業との新規契約が一因であると指摘しており、Aragen社は大手製薬会社10社のうち7社を顧客としたと発表しています。

この中国からインドへのシフトは、従来の製薬会社向けの創薬業務において特に顕著です。

バイオテクノロジー企業は、最初からインドと中国の両方のカゴに卵を入れる事に決めているのです。

そして、その割合をインドに傾けている。

 

インドの製薬会社トップ5

1位. Sun Pharmaceutical Industries (NSE:SUNPHARMA:NS)

従業員数: 38,000名 

精神疾患の治療薬を提供する国際企業Sun Pharmaceutical Industriesを1983年設立。現在、同社は心臓病学、精神医学、神経学、胃腸病学、糖尿病学などの様々な医療専門分野向けに製剤を提供しています。同社は世界第 4 位の特殊ジェネリック医薬品会社であり、インド最大の製薬会社です。

2位. Dr. Reddy’s Laboratories Limited (NYSE:RDY)

従業員数: 24,795名

ハイデラバードに拠点を置く Dr. Reddy's Laboratories Limited (NYSE:RDY) は、インドの多国籍製薬会社です。

以前はメンター企業である Indian Drugs & Pharmaceuticals Limited に勤務していた Kallam Anji Reddy 氏がこのビジネスを設立しました。

同社が提供する商品やサービスには、医薬品有効成分 (API)、カスタム医薬品サービス (CPS)、ジェネリック医薬品、バイオシミラー、差別化された製剤などがあります。

Dr. Reddy's は国内外で様々な医薬品を製造、販売しています。

同社では、医薬品、診断ツール、救急医療、バイオテクノロジーの製造の為の 190 種類以上の医薬品、60 種類の医薬品有効成分 (API) をすべて入手できます。

3位. Aurobindo Pharma Limited (NSE:AUROPHARMA.NS)

従業員数: 24,000名

Aurobindo Pharma Limited は、医薬品有効成分、ジェネリック医薬品、および関連サービスの研究、開発、製造、販売を行っています。

同社は主に、がん、皮膚疾患、呼吸器疾患、心臓血管疾患、胃腸疾患、抗アレルギー疾患向けの経口固形剤、注射剤、市販薬、有効医薬品成分、最終剤形を販売しています。

Aurobindoの収入の約 90% は世界規模の事業から来ており、同社は 155 か国以上に輸出しています。著名な多国籍企業も同社の顧客の一部です。

4位. Zydus Lifesciences Ltd (NSE:ZYDUSLIFE:NS)

従業員数: 23,000名

Zydus Lifesciences Limited はアフリカ、ヨーロッパ、ラテンアメリカ、米国、インドで医薬品の研究、開発、製造、マーケティング、流通、販売を行っています。

Zydus Lifesciences Limitedはグジャラート州、マハラシュトラ州、ゴア、ヒマーチャル プラデーシュ州、シッキムのインドの 5 つの州に生産および研究施設を展開しています。

5位. Cipla Limited (NSE:CIPLA.NS)

従業員数: 22,036名

 

Cipla社はインドの製薬会社であり、世界中で事業を展開しています。

同社は 1935 年に Chemical Industrial & Pharmaceutical Laboratories Ltd という名前で設立され、1984 年に現在の社名になりました。

65の治療カテゴリーに渡る 1,500 以上の製品が同社の広範な製品ポートフォリオを構成。

22年度には93の製品を世界中で発売しています。

同社の事業はインド、次いでアフリカ、北米が最大の市場です。2022 年度の Cipla Limited の総収益は 29 億ドル(4000億円位)を超えました。

これらは今後注目のインド製薬系銘柄です。