中国の国有防衛企業がロシアに軍事装備を何万も供給していた事が通関記録から発覚

 

中国政府は国営企業の子会社を使って取引を隠ぺいし、ロシアのウクライナ侵略をサポートしていた

2023.2.7

· 【最新ニュース】,Daily News

 

 

ロシアの税関データによると、中国の国営防衛企業は航行機器や戦闘機の部品、その他の軍事技術機器をロシアの防衛企業に出荷しており、何万もの商品を出荷しロシアのウクライナ侵略をサポートしていた様です。

ワシントン DC に本拠を置くC4ADSが中国の国有コングロマリットがロシアの防衛部門と機密技術を取引している事を発表してWSJフォーブスで報道が行われています。

バイデン政権は中国政府に対し、一部の中国国有企業がロシアのウクライナ戦争への支援を提供している可能性を示唆する証拠を突きつけ、中国政府がこうした活動を認識しているかどうかを確認しようとしているとの事。

ここではその内容を見ていきます。

C4ADS(Center for Advanced Defense Studiesとは非営利研究機関であり、世界の紛争と国境を越えた安全保障問題に関して、データに基づく分析と証拠に基づく報告を提供しています。公開情報と最先端技術を使用して、世界中の不正なネットワークを検知し、破壊する事を専門としているとの事。

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C4ADSは中国の国有コングロマリット(複合体)がウクライナで進行中のロシアの戦争に関与する企業を含め、ロシアの防衛部門と機密技術の取引を行っていると指摘しています。

中国の国有コングロマリットは、ロシアのウクライナ侵略を支援する企業に協力しており、2014 年から 2022 年の間に、中国の Poly Group Corporation (保利集团) の子会社によるロシアの防衛組織への、これまで報告されていなかった 281 件の機密商品の出荷を特定。

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2022年1月、ポリグループの子会社であるポリテクノロジー社が、制裁を受けているロシア国有防衛企業アルマズ・アンテイに対空ミサイルレーダー部品を含む貨物1点を輸出したと報告されており、この企業はロシアのウクライナでの戦争を支援しているとされています。

中国の貿易データは信頼性が低く不完全で、出荷された製品と海外の輸入企業の両方に関する詳細が欠落している為、他国の中国からの輸入報告書を使用して取引を特定しているとC4ADSは言っています

企業ネットワーク分析により、中国の複雑な商業システム内で検出されない可能性のある企業による拡散活動が明らかになり、上記のポリグループは、100以上の分野で事業を展開する2,900以上の企業で構成され、何層もの子会社が複雑に絡み合った所有構造である事が企業記録から明らかになっています。

C4ADSは共通の役員を介して繋がっている企業を調査する事により、制裁対象企業に防衛製品を取引している無制裁企業を特定。中国の巨大コングロマリット内のこれまで知られていなかった防衛製品拡散者の検出が可能になりました。

C4ADSが今回発表したレポートの内容を少し見てみましょう。

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中国の国有企業が兵器やミサイル関連製品を国際的に拡散する方法。

国際社会は、ロシアが海外から防衛技術を入手するのを制限する為に多くの政策を進めていますが、中国の財閥はロシアの軍事を支援し続けている。

中国の複雑な商業システムと制限された貿易データ環境が、実態把握を困難にしており、中国の広大な商業ネットワークは、中国の違法な防衛貿易を理解しようとする西側の法執行機関や民間の規制当局にとって、困難な課題を生み出している。

中国の国有企業を運営する国務院国有資産監督管理委員会(国务院国有资产监督管理委员会)は、実質的にすべての産業分野で8万以上のグループ企業を運営する97社を管理しており、これらの企業は多くの子会社にまたがる複雑な所有構造を示しています。

さらに、コングロマリットグループ内の数千の企業は、コングロマリットの主要企業が掲げる事業と関連する分野で事業を行う場合もあれば、そうでない場合もあり把握がし難い。

例えば、国有防衛企業であるNORINCO(中国北方工业集団限公司)は、中国の企業記録では事業分野を「卸売」としているが、自社のウェブサイトではその役割を「PLA(人民解放軍)向け装備品の開発を担当する主要プラットフォーム」と説明している。

NORINCOは国際的に有名な大手防衛関連企業であるが、企業記録だけから同社の主要産業を判断すると、企業としての本質を見誤る。

企業記録に記載された事業内容には何の変哲もないため、企業登録文書だけでは防衛貿易に携わる企業を特定することは難しく、軍事技術との関連性を証明するものにはならないかもしれない。

中国の商業システムの複雑さに加えて、中国の制限された貿易データ環境もまた取締を複難しくしている。

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特に、中国の貿易データには、直接的なサプライチェーン調査の実施に必要な情報が不足していることが多く、入手可能な中国の貿易データは国際的なビジネスパートナーの名前を省略しており、アナリストが兵器拡散活動に対して行動を起こすために必要な特定の人物や企業に関する情報を収集する事を妨げています。

さらに、中国は、米国、ロシア、インド、その他の経済大国が世界貿易データを公表しているのとは異なり、輸出記録の公表を国際的なプロバイダーに制限している。

不完全で検閲された貿易記録は、多国間の制裁遵守の努力を挫き、中国の国防企業がほとんど発見されないまま拡散することを可能にし、世界中の企業を無意識のうちに制裁のリスクに晒す事になるのです。

(以下、こうした中国の隠ぺい工作を分析する手法がこのC4DSのレポートでは紹介されていますが、話が細かすぎるので省略します。)

平たく言えば、中国の核となる国営企業が膨大な数のグループ企業に送り込んでいる役員を観察し追いかける事によって、グループ企業を使ったロシアへの違法な軍事関連商品を販売してる実態を補足していっている様です。

中央のコングロマリットはその広大な所有構造により、直接・間接的にグループ会社の業務とリーダーシップを支配し、選りすぐりの役員の移動を指揮する事でコントロールをしています。これらのグループ会社は、中央と共通の、あるいは類似のリーダーシップを持ち、企業ネットワーク全体への影響力とコントロールの非財務的なメカニズムを通じて、類似のビジネスオペレーションを実行。

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C4DSが分析によって出した結論

中国の国有防衛コングロマリットは、米国や国際的な制裁措置がロシアへの武器輸出に対して大きな罰則を課す可能性がある場合でも、ロシアや他のリスクの高い国家に積極的に兵器技術を輸出している。

コングロマリットはその活動を隠蔽し、不透明な貿易データ環境と広大な複合企業体構造の為、米国の武器拡散防止措置の影響を鈍らせ、不法な出荷を続ける事ができます。

こうしたグローバルな軍事関連の輸出は、ウクライナのような国際的な民主主義の不安定化に影響を及ぼす一方、国際的なビジネスパートナーが、故意または無意識の内に世界中の制裁対象エンドユーザーに商品を移転する事により、米国からの制裁リスクに晒されている。

つまり、軍事企業と知らずに付き合い、世界の一般企業がいきなり米国の制裁を受ける可能性があるてニュアンスですね。

非常に複雑で難解な話ですが、中国企業と取引の多い日本企業の取引相手の実態を把握する為に有用な話ですので紹介させて貰いました。

今後の中国企業分析に生かしてみようと思います。