https://youtu.be/iYGpjOXV-j0?si=sVkSwfZxmLy_8kcE
香港のこの動きは日本企業にも直接的に悪い影響があります。
香港政府は先月30日、21年間棚上げしていた基本法第23条を再び導入しました。海外メディアは「香港政府は香港の国際的地位を損ない、スパイ容疑で企業取り締まりを強化する暴挙に出るのか?」と懸念しています。
この香港政府の動きに対して、米国の大手法律事務所レイサム・アンド・ワトキンスは香港でスパイ防止法とデータ保護法が実施される事に備え、香港の弁護士による自社国際データベースへの自動アクセスを中止する様です。
フィナンシャル・タイムズ紙(FT)の報道によると、香港の弁護士達は今月から、レイサム・アンド・ワトキンスのグローバル・データベースからプライベート・ファイルおよび非プライベート・ファイルの両方を閲覧する為には、特別な許可が必要になると本社から通告されたそうです。
その一環として、今後北京と香港のオフィスのデータは、ソウル、シンガポール、東京やアメリカ、ヨーロッパ、中東のグローバル拠点とは別に「チャイナ専用」データベースに蓄積されるとの事。
香港のスタッフは中国国外からの非個人ファイルであっても、デフォルトでアクセスできなくなります。
この動きは香港政府が国家反逆罪、破壊工作、扇動、国家機密の窃盗、スパイ行為を禁止する新たなデータ・セキュリティ法の導入計画を発表した数週間後に出てきました。
香港にこの新しいデータ法が導入されれば、香港で活動する外国の政治団体や組織に対する監視もより厳しくなり、「実質、香港の企業データは中国本土と同じように扱われる」様です。
香港の国家安全保障法について、ハイテク企業やデータ/コンテンツ主導型企業が知っておくべきこと
「中華人民共和国・香港特別行政区国家安全保障法(NSL)・香港国安法」
・香港国安法は分離独立、破壊工作、テロ、外国勢力との共謀を犯罪としていて、これらの項目で有罪判決を受けた場合、最高で終身刑にしています。
・法人または非法人の団体、例えば企業や組織は、香港国安法違反の責任を問われ、罰金から資産の没収まで様々な罰則を課される可能性があります。
・香港国安法により香港法執行機関は、国家安全保障を脅かす犯罪に対処する際、関連施設や犯罪の証拠が含まれる可能性のある電子機器の捜索、傍受や監視の実施、サービス・プロバイダーや個人に対する情報の削除や支援の提供の要求など、より強化された措置をとる権限を与えられました。
・北京の法執行人員で構成される同市の新保安局は、特定の重大または複雑な事件を中国での裁判に委ねる権限を有しています。
香港国安法により、香港政府は域外適用が出来ると主張。
香港で犯した犯罪や香港永住権保持者が香港外で犯した犯罪に適用されるだけでなく、香港永住権保持者以外の者が域外で犯した犯罪にも適用されるとも主張。
はい、この時点で滅茶苦茶です。
香港国安法の企業への影響
香港国安法によって導入された新体制により、香港のテクノロジー企業は、データへのアクセスや法執行当局への支援提供の義務を検討し、国境を越えたデータの流れを見直し、テクノロジー輸出規制の変更を踏まえてビジネスを再構築する必要に迫られています。
これが今月実際に動き始め、レイサム・アンド・ワトキンスは香港事務所のデータを世界の自社データベースとの接続から切断しました。
・香港執行当局は、捜査に関連する情報を持っていると合理的に疑われる人に対して、その情報の提供を命令する事ができます。
・令状なしで犯罪の証拠が含まれている可能性のある建物や電子機器を捜索する権限を有しています。
中々に中国共産党にとってフリーダムな法律ですね。
こうした無闇に広い香港国安保による権限は、香港で活躍する外資系企業の顧客やユーザーに関する幅広いデータを保持するデータセンタープロバイダー、インターネットサービスプロバイダー、その他のネットワークオペレーター、モバイルアプリオペレーター、ソーシャルメディアプラットフォームをターゲットにする可能性が高いという事です。
香港で活躍する外資系企業はこうした迷惑な香港国安法への対策として、サプライ チェーンを再評価し、香港での事業をグローバル ネットワークから隔離するソリューションの導入を検討したいと考えるかもしれません。(これが実際に実施されました)
結果:香港と中国の融合は金融センターを破壊する
ウォール・ストリート・ジャーナルは先月1月30日、この件について「香港が国安法による弾圧を拡大」と報道しており、中国本土でスパイ活動として外国人への取り締まりを強化したり、米国企業や日本企業の幹部の拘束が行われているが、今回の香港第23条の法案施行も国家機密とみなされる資料を対象として法律の適用範囲を拡大し、中国本土の基準に合わせているので懸念があるとしています。
香港政府が第23条の国家安全関連法案に関する協議を実施した直後に、株式市場は2日連続で下落しました。
今後もハンセン指数に悪影響を齎す可能性が高いでしょう。
2021年、7月にFBやツイッターなど大手SNS企業が加盟する業界団体が、こうした状況を受けて香港でのサービス停止示唆をし始めましたが、それに合わせたかのようにハンセン指数は暴落を始めました。
https://youtu.be/MPEuOSpMMDU?si=KCpKie9n7_7NrwSV
2021年7月三井住友DSアセットマネジメントなども、中国当局の規制強化がITプラットフォーム企業等に行われている事をマーケットがかなり嫌がっていると報道していました。
私が香港ハンセン指数がヤバいなあと思うのは、1989年から続いていた上昇トレンドのサポートラインを、2022年10月に下抜けし、去年末に再度下抜けし、今年に入っても下げたままだからです。
以下参照⇩
現在、14785HKD(香港ドル)付近の去年の底値を防衛ラインとしていますが、ここが抜かれる可能性はあると見ています。14785HKDを突破されると、次はリーマンショックの際の底値、11850HKDがターゲットに。
また、今回の下落前にヤバいサインも出ています。
ハンセン指数、月足で三尊形成。
基準価格:21830HKD ヘッド33000HKD
21830HKDを上抜けすると価格が大きく上昇し、下抜けすると暴落しがちなのが分かりますね。
この三尊は21830HKDを基準値として、2022年価格がここを下抜け戻せなかった事により完成した様に見えます。
まだまだ下げる可能性を考慮しておいた方が良さげです。
因みにハンセン指数で1995年~2004年にかけて出来た三尊が三尊否定された際は、滅茶苦茶暴騰しています。
三尊否定は最近日経でも見られましたが、この後は極端に暴騰しやすい傾向があります。
1995~2005 三尊否定
基準値:8628HKD
ヘッド17528
左ショルダー 16340
右ショルダー 13900
左ショルダー16340HKDを上抜けした後、31780HKDまで二倍程度上昇しました。
※その直後の暴落はリーマンショックです。
三尊否定だと明確に見なされるのは、左右ショルダーの高い方を上抜けした時。
現在のハンセン指数の価格は奇しくも、26年前の1997年8月の三尊左ショルダー頂点の価格と同じ。
失われた30年と言われていた日経は香港ハンセン指数とは対照的です。