物価上昇と現金不足で経済的破綻にアフガン国民は直面
海外からの送金も停止し都市のATMは空になった
去年のタリバンが国を支配した直後アフガニスタンは、家族が海外からアフガニスタン人に送金するという重要な流れを支えている企業による送金の停止に加え、銀行の閉鎖とハードカレンシーの不足という破滅的ともいえるパーフェクト・ストーム(嵐)に見舞われていました。
都市のATMは空っぽになり、カブールの銀行と主要なササライ・シャザダ金融取引所は閉鎖されタリバンが政権を掌握し一連の経済ショックに直面していました。
米国に保管されている90億ドルの凍結された中央銀行準備金へのアクセスがなく、前政府の崩壊に伴って重要なドルの納入がキャンセルされたため、一般のアフガニスタン人はすでに、現金が不足し始めたにもかかわらずアフガニスタンの価値が下がり、基本的な商品の価格上昇も起こっていました。
この状況はタリバン政権下でなんとか少しでも改善されているのではないかと思っていましたが、悪化し続けていました。
2022年7月末の状況を見てみましょう。
「食べるのもやっとの状態」。アフガニスタンの国民は、経済が急激に悪化する中、絶望的な貧困に怯えているとの事。
NATO軍の拙速な撤退とそれに伴うアフガニスタンの資産や援助ルートの凍結により、アフガニスタンは壊滅的な崩壊の崖っぷちに立たされている。ほとんどのアフガニスタン人が生活するのに苦労しており、状況は取り返しのつかないところに来ている。
数十年にわたる戦争でアジア最貧国となったアフガニスタンは、昨年8月にタリバンが復活して以来、経済がどん底に陥っている。アフガニスタンの経済的苦境は、海外からの援助がほぼ完全に途絶えたことに大きく起因している。以前の政権下では、外国の組織や政府からの資金が、アフガニスタンの予算支出の80%にも及んでいた。
しかし、カブール陥落の直後、世界は資金がタリバンの手に渡るのを防ぐために素早く動き、国際通貨基金(IMF)は4億ドル以上の資金を一時停止し、世界銀行もその資金がアフガニスタンに届くのを防いだ。
「世界食糧計画(WFP)は、国民の98%が十分な食料を持たず、約25%がすでに飢饉のレベルに近づいているとみている。経済危機はすぐに人道的大惨事へと波及しているとの事。
おそらく最も重要なのは、米国がニューヨークに保有するアフガニスタン中央銀行の準備金を凍結したことだ。
バイデン大統領は2月、同国の埋蔵金70億ドルのうち半分は人道的目的に使用し、残りの半分は米国政府が接収して9・11犠牲者の遺族に分配することを発表した。
こうした措置のため、タリバンは現金の入手に苦労している。また、同国は世界の金融システムと資本市場から完全に凍結されている。その結果、公共部門の労働者に給与が支払われず、公共サービスを維持することができず、失業率が急激に上昇している。
国連開発計画(UNDP)はアフガニスタンの一人当たりの年間所得も30%減少し、平均年間賃金はわずか350ドルにまで落ち込むとみている。
これは、アフガニスタンの人々のほとんどが、国際的な貧困ラインである1日1.90ドルを大幅に下回る生活をしていることを意味する。
所得が減少し、失業率は40%に達すると予測され、ウクライナ戦争で小麦などの穀物の価格が上昇し、多くの人が十分な量の食料を購入するのに苦労しています。生活必需品が「約50%」値上がりしている地域もある上に、今まで共働きしていた妻もタリバンのイスラム主義的措置の再開により働けないため、家族で十分な食料を購入することはますます困難になっています。
世界食糧計画(WFP)は、国民の98%が十分な食料を持たず、そのうち約25%はすでに飢饉のレベルに近づいているとみている。
経済危機が人道的大災害へと急速に波及しているのだ。
「所得が減少し、失業率は40%に上昇すると予測され、ウクライナの戦争で小麦などの穀物の価格が上昇し、多くの人が十分な量の食料を購入するのに苦労している」。
現地では、ますます暗い雰囲気が漂っており、「タリバン政府は経済政策をとっていない。国民に高い税金を課しているが、ビジネスもなく、国に入ってくるお金もない」「金融システムは崩壊し、銀行部門は機能していない。タリバンは、過去20年間に彼らとともに戦った人々にしか仕事を与えない。」と言われています。
アフガニスタンが直面している経済危機を考えれば、自暴自棄の度合いが高まっているのも無理はない。
国外に出ることができる人は誰でもその機会を狙っており、主にイランなどの近隣諸国に職を求めて向かっているという。しかし、パスポートが800ドルもするため、多くの人にとってこの選択肢はあり得ない。(平均年間賃金はわずか350ドル)
アフガニスタンの数百万人が干ばつや経済崩壊により飢饉の危険にさらされている