北朝鮮人民は何を語っていたのでしょうか?
BBCは数カ月に渡り、北朝鮮に住む3人の北朝鮮人と秘密裏に連絡を取り合ってきたと報道しており、三人の北朝鮮人民は金正恩独裁政権が3年以上前にコロナで国境を封鎖して以来、そこで繰り広げられている惨事を初めて暴露しました。飢餓、残忍な弾圧、そして脱出のチャンスはないとの事。
密輸された医薬品を販売するビジネスウーマンのケース
かつて彼女はビジネスを成功させていたが、コロナ大流行で北朝鮮が国境を閉鎖した後すべてが変わってしまった。
「コロナ以前は、生活は安定していました。しかし、コロナ騒ぎ以降、私の収入は半減しました。国境を越えて物を密輸するのは難しくなったし、取り締まりも厳しくなった。」
彼女の夫は国家公務員ですが給料が低い為、本人が一家の大黒柱となっていた様です。しかし、2020年1月27日に北朝鮮が国境を閉鎖した為、その家族は "最前線の生活 "を送る事になりました。
「北朝鮮の市場にある製品のほとんどは中国から来たものですが、今は空っぽです。穀物はいつでも手に入りましたが、最近は手に入りません。そんな中、最も不足しているのは薬です。たとえ見つかったとしても高過ぎる。
自暴自棄になり、自分で薬を密輸しようとしたが、その結果捕まってしまった。かろうじて賄賂を渡して刑務所から逃れたが、現在、身近な人々から常に監視され、疑われながら暮らしている。(当局は)我々の生活の糧だった密輸を取り締まり始め、人々の国外逃亡も止めたいのだ。」と彼女は語った。「今、中国への川に近づいただけでも、厳しい処罰が下されます。」と。
建設労働者チャンホ氏のケース
1日4,000ウォン(約4.44ドル。640円位)しか支払われない義務的な国家公務員としての仕事に明け暮れている。
朝、チャンホは妻が市場に店を出すのを手伝う。
「妻が市場で働かなければ、私は生きていけない。国境が閉鎖された時、あらゆるものが品薄になった。穀物砂糖や調味料の値段が高騰した。食料の供給があまりに少ないので人々は死に始めています。」
現在、チャンホにとっては、COVIDよりも飢餓の方が脅威である。
チャンホの村では、母親とその子供達を含め、彼の周りで何人もの人々が飢えで死んでいくのを見てきた。
当初、母親は物乞いをして何とか生き延びる事ができた。
しかし、病気になると母親と子供達は必然的に餓死したのだ、とチャンホは回想する。
彼はまた、国の検疫規則に違反した為に重労働を強いられ、最終的に息子とともに餓死した別の母親の事にも触れている。
「規則に従って生きれば、おそらく餓死するでしょう。しかし、生き延びようとするだけで、逮捕され、裏切り者の烙印を押され、殺されるかもしれないと恐れているのです。私達はここで立ち往生し、死を待っているのです。」
「この国に生まれた事を我々が後悔していると世界に知ってほしい。」
「この絶望的な地獄で永遠に生きなければならない子供達の事を考えると、眠れません。」
首都平壌夫と2人の子供を養う為に食料品店で働いているジヨンのケース。
以前は、野菜や果物を店から持ち帰り、市場で売って副収入を得ていた。一方、夫は賄賂として受け取ったタバコなどを売っていた。しかし、今は 副業ができない とジヨンは嘆く。
バッグの中身を徹底的に調べられ、商品を盗んだり譲ったりする事ができなくなったのだ。
飢餓の危機に直面したジヨンと彼女の家族は、puljuk(1990年代の北朝鮮の飢饉の際に流行した、野菜、草、植物をペースト状にしたお粥のようなもの)を1週間摂取する事を余儀なくされたこともある。
しかし空腹にも関わらず、ジヨンは1日3食食べたふりをし、貧困の屈辱よりも空腹を選んだと明かす。
「私達は10日先を考え、更に10日先を考え、夫と私が飢えても少なくとも子供達には食べさせてやれると考えて生き延びるのです」
「2日間食事をとらずに寝ている間に死んで、朝起きられなくなるんじゃないかと思いました」
彼女自身の苦難に加えて、ジヨンは周囲の人々の苦しみにも言及した。
「家で餓死した家族を知っています。3日間、誰も出入りしなかった。水が回ってきたので、水を汲むようにとドアをノックしました。隣人からの返事がない為、当局に連絡したがその家族は餓死していた。」
「災難です」とジヨンは言った。
国境から物資が届かず、人々はどうやって生活していけばいいのか分からない。
物乞いをする事で乗り切ろうとする人もいる。
「(物乞いが)横たわっていたら、調べてみると大抵死んでいる。」とジヨンは話した。
一方、自殺を選ぶ人もいる。"自宅で自殺するか、山に消える "ことを選びます。
隣で人が死んでも、自分の事しか考えない。「冷酷です」。
食糧不足:ここ数ヶ月、この国の食糧不足に対する懸念は高まるばかりだ。温室野菜の増産、新しい野菜の系統や栽培技術など、農業革新にこだわっているにもかかわらず、国連や韓国による評価では、悲惨な食糧供給状況が露呈している。
調査アナリストによれば、北朝鮮の食糧供給は「人間の最低限のニーズを満たすのに必要な量を下回っている」との事。
ジヨンによれば、コロナは北朝鮮の人々に大きな影響を与えている。
医師と話した時、彼女は平壌の各地域で550人に1人が死亡している事を知った。
しかし、パンデミックは北朝鮮に大きな影響を及ぼしているにも関わらず、死因は結核など別のものとされている様です。
コロナの流行は、金正恩が北朝鮮の国境を完全に閉鎖する機会にもなった。ヒューマン・ライツ・ウォッチが撮影した衛星写真では、北朝鮮の国境警備は過去3年間、追加の壁、フェンス、監視所によって強化されていました。
国境閉鎖と並行して、パンデミックによって金正恩は取り締まりを強化する事ができた。
その一つが、2020年に制定された「反動的イデオロギー・文化拒否法」である。チャンホは「最も恐ろしい新法」と呼んだが、投獄や死の恐怖から、北朝鮮における外国の情報は著しく減少した。
この行為とその後の取り締まりについて、ジヨンは「人々は今、お互いを信用していません。恐怖は大きい。」
しかし、金正恩が国をコントロールしようとしているにも関わらず、人民は政府のプロパガンダを信じていない。
「国は私達が母の懐に抱かれていると言う。でも、お腹が空いたからと中国に逃げた子供を白昼堂々と処刑する母親がいるでしょうか?」とチャンホは尋ねた。
「COVID以前は、人々は金正恩を肯定的に見ていた。しかし今は殆どの人が不満でいっぱいだ。」