トランプ大統領が遂に「経済独立宣言」として関税計画の詳細を発表

肝心なのは、これは対象を絞った相互関税であり、すべての製品に15%以上の広範な関税を課すものではなかった事(マーケットの予想よりはマシでした)

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これがトランプ政権が発表した関税率一覧です。日本は上から4番目です。

国別に表記されており、左側の数字が各国が米国にかけている関税率。右側が米国がこれから各国にかける関税率です。日本へは24%の関税率となっています。

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・トランプは新たな相互関税は今夜の深夜から開始される事を確認。

・トランプはすべての国に対して10%の基本関税率(コンセンサス15%と最悪のケース20%を下回る)を発表し、すべての自動車輸入に対する25%の関税を確認した。

・トランプは完全な相互関税にはならないと述べ、各国の(貿易加重平均)関税レベルを示すグラフを公開。

主要国への関税率

中国: 34%

EU: 20%

日本: 24%

英国: 10%

韓国: 25%

タイ: 36%

スイス: 31%

台湾: 32%

マレーシア: 24%

最も関税率による被害が大きい国々

イラク 39%

モーリシャス 40%

シリア 41%

フォークランド諸島 41%

ベトナム: 46%

マダガスカル 47%

ラオス 48%

カンボジア 49%

レソト 50%

トランプは「関税率をゼロにしたいなら、アメリカ国内で製品を製造すればいい。工場や製品をアメリカ国内で製造すれば関税はかからないからだ」と発言し、ここから各国と交渉に入ります。

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こちらが今回の関税についてのホワイトハウスの声明です。

これを受けて米国株、ビットコイン、日経先物は急落。

S&P500先物

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ビットコイン

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日経先物

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ビットコインは昨夜の好調な米国経済指標を受けて一時は1月20日からの下げのレジスタンスラインを上抜けましたが、関税の数字が発表されるについて下落させられています。

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EU50も急落。

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トランプ政権が発表した関税の内容

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  1. 基本方針:
    アメリカは多くの交易相手国から輸入される商品に対して、10%の付加価値税(ad valorem duty)を課す事で、世界的な貿易不均衡を是正しようとしています。一部の国は追加で更に高い税率が適用される可能性が。
  2. 実施開始日と例外:
  • 全ての輸入品は2025年4月5日午前12時1分(米国東部時間)以降に消費または倉庫から引き下げられる場合、追加10%の関税が適用されます。
  • ただし、施行日以前に港から出航している貨物は対象外です。また2025年4月9日には指定された国の関税が国別に引き上げられます。
  1. 例外品目:
    次のような特定の商品は追加関税の対象外とされています。
  • 国家安全保障の関連商品(50 U.S.C. 1702(b)による保護対象)
  • 鋼鉄、アルミニウム、銅、自動車部品、重要な鉱物、エネルギー製品、またはHTSUSの特定欄に記載された商品
  • USMCA(米・カナダ・メキシコ協定)で特定条件を満たす商品
  1. カナダやメキシコからの輸入品:
  • 米国がカナダとメキシコを対象に設定する特定の関税措置により、USMCAの起源基準を満たす商品の優遇が維持される。ただし、これらの基準を満たさない場合、通常の25%関税または、特定のアイテムにおいて軽減された関税(例: 10%)が適用されます。
  1. 「米国製」の部分に関する特別規約:
    商品の20%以上が「米国内容」(米国内で生産または変換された部品)である場合、関税は輸入品の非米国製部分にのみ適用されます。
  2. コンプライアンスと報告義務:
  • アメリカ商務省や関係機関は、この政策の実効性を確保する為、様々な手段を講じる事ができます。
  • 施行状況や経済的影響について定期的な報告が議会に求められています。
  1. 他の関税や貿易政策との整合性:
    この命令の指示に矛盾する以前の大統領令や政策は、停止、終了、または修正されます。

結論として、この大統領令は米国が貿易政策を通じて経済および国家安全保障の利益を保護しようとする試みです。一部の輸入品に高い関税を課す事で、輸入品の流れを抑制しつつ、非対称的(非相互的)な貿易慣行を是正する事を目指しています。同時に、国内産業や国家安全に寄与する商品に関しては例外規定を設ける慎重な姿勢も示されています。

一部の商品は相互関税の対象となりません。

これらには以下が含まれます

(1)米国法典第50編第1702条(b)の対象となる物品(国家安全保障や外部の脅威への対応を目的にした規定に基づいて扱われるもので、特別な戦略的・安全保障上の重要性を持つ物品

(2)すでに第232条の関税の対象となっている鉄鋼・アルミニウム製品及び自動車・自動車部品

(3)銅、医薬品、半導体、木材製品

(4)第232条の関税の対象となる可能性のある全ての品目 (国家安全保障上の調査対象となり、将来的に保護主義的な扱いを受ける可能性がある品目は、今後の政策の混乱を避けるために現時点では課税対象から外されていると考えられます。

(5)地金

(6)米国では入手できないエネルギーおよびその他の特定の鉱物。

当初、市場はトランプ大統領の発言を「予想よりも良かった」と受け止め、このニュースを受けて米国株先物は急騰したが、その後、トランプ大統領が具体的な関税のチャートを示したことで、先物は急落しています。

S&P500先物は現在のサポートで止まれるかどうかという所⇩

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ビットコインも同じくで、先日上抜けしたレジスタンスラインがレジサポ転換してサポートとして機能していますが、ここで下げ止まれるかどうか。

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日経先物がハードな下落を始めていて、33000円位で止まれるかといった雰囲気です。

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日足で見てみましょう⇩

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オレンジのラインが長期サポートです。ここを割らないで済めば良いのですが・・・

トランプは「関税率をゼロにしたいなら、アメリカ国内で製品を製造すればいい。工場や製品をアメリカ国内で製造すれば関税はかからないからだ」と述べ、次のように結論付けました。「近い内にこれらの関税の免除を求める為に電話をかけてくる外国の大統領、首相、国王、女王、大使、その他すべての人々に対して、自国の関税を廃止し、障壁を撤廃し、通貨を操作しないよう言いたい。」「これらの関税は、貿易赤字と根底にある非互恵的待遇によって齎される脅威が満たされ、解決され、あるいは緩和されたと(トランプ大統領が)判断されるまで有効のままとなる。」と言っています。

そして交渉が始まります...

※つまり、交渉によりここから発表した関税を引き下げると言っていますので、各国との交渉で関税が引き下げられてくると株価とビットコイン価格も反発できる見込みです。

ジャナスヘンダーソン・インベスターズのマルチアセット担当グローバル責任者アダムヘッツ氏(米国政府の動きを分析していて良くメディアが取り上げている人)これが交渉の序章であり、問​​題はトランプ大統領がどの程度の経済的痛みを許容するつもりなのかだとと言っています唆している。

国ごとに目が飛び出るほどの関税は、まさに『交渉戦術』であり、当面は市場を緊張させ続けるだろう。幸い、これは10%という基準はあるものの、今後関税を引き下げる余地がかなりあることを意味する。政権は市場の痛みに対して驚くほど高い許容度を示しているが、交渉が進むにつれて真の経済的痛みに対してどれだけの許容度があるかが今、大きな問題となっている。」

ベッセント財務長官はブルームバーグテレビに出演し、世界に向けて「パニックに陥らないで、報復しないで」というシンプルなメッセージを送った。

「報復しない限り、これが数字の上限だ」彼は言う。

これはまだ関税騒ぎが終わりではないことを示唆しており、今夜の発表は『一掃するイベント』からは程遠いものでした。

Bloombergによると、ストラテジストや投資家たちは今後の輸入関税の詳細を精査しています。

・JonesTrading Institutional Servicesのチーフ・マーケット・ストラテジスト、マイケル・オルーク氏:『これは20%の案よりも状況が悪くなる可能性があります。アジアで生産されている米国製品を考えると、これらの関税率(約20%から34%)は非常に高いものです。台湾の32%の関税は特に半導体分野を制約するでしょう。これにより貿易が減速し、価格が上昇し、利益率が圧迫されます。このことが、すでに減速している経済をさらに遅らせ、世界貿易に摩擦や歪みを引き起こします。報復措置を予期する必要があると思います。これによってさらなるエスカレーションにつながる可能性があります。』

・Miller Tabak + Co.のチーフ・マーケット・ストラテジスト、マット・マレー氏:『最近、一部の投資家が期待していた最後の瞬間の安心材料は得られませんでした。つまり、トランプ政権はこれらの関税政策が市場に与える短期的な影響を気にしていないようです。これにより、今後数週間にわたる収益ガイダンスに焦点が集まるでしょう。もし収益予測が引き続き低下する場合、市場に対するさらなる逆風を生み出すことになるでしょう。』

・Northlight Asset Managementのチーフ投資責任者、クリス・ザカレリ氏:『もし希望の光があるとすれば(これがまだ明らかではありませんが)、これらの関税率が交渉の始まりであり、それによって全般的な引き下げにつながるということでしょう。』

・Federated Hermesのマルチアセット部門責任者、スティーブ・チャバローネ氏:『今回の発表が関税の最も厳しいレベルを示しており、ここからのニュースが国同士がこれらの率を引き下げる交渉に関するものであるなら、それは市場にとって良い兆候かもしれません。これにより、次の日程で売りが生じれば、買いの機会を生む可能性があります。今日の最悪のシナリオは、低い率でエスカレーションの脅威が伴うことでした。この時点では、高い率で緊張緩和の可能性がある方をむしろ選びたい状況です。』

・JPMorgan Asset Managementのポートフォリオマネージャー、プリヤ・ミスラ氏:『我々は「解放の日(Liberation Day)」に向けて、高品質なクレジットを所有するポジションを取っており、経済指標の鈍化に備えて中期のデュレーションに投資してきました。金曜日の雇用統計に向けて、このポジションを継続していきたいと思います。関税にはスタグフレーション的な影響があり、これによりFRBは時代遅れの対応を余儀なくされるでしょう。経済と市場は、成長に対する下方リスクを伴う多くのさまざまな交錯する要因に直面しています。

1)関税(これは消費者や企業に対する税金です)
2)DOGEを通じた政府支出削減
3)不確実性。私はこの不確実性の要素について特に懸念しています。これは企業や消費者に影響を与えています。

もし今後数カ月や四半期が貿易交渉に費やされるならば、不確実性は依然として高いままでしょう。いくらかのダメージがすでに生じているため、その成長への影響が懸念されます。』

・コロンビア・スレッドニードルの金利ストラテジストであるエド・アル=フセイニーのコメント:「明らかに、これは経済に対する具体的なネガティブなショックです。明確で確実なことは、このネガティブなショックを初期段階で完全に織り込む必要があるということです。結局のところ、これは税金です。誰がこの税金を支払うことになるのかは不確定ですが、これを成長にポジティブな影響を与えるものとして見ることはできません。短期的には成長にマイナスであり、インフレを押し上げる影響があります。」

・フランクリン・テンプルトン・インベストメント・ソリューションズの副最高投資責任者であるマックス・ゴクマンのコメント:「最大の疑問は、過去の関税報復の応酬のように、各国が今回の腹パンチをうまくかわせるかどうかです。もしそうでない場合、そして本当の貿易戦争が世界を巻き込むことになれば、スタグフレーション(景気停滞とインフレの並存)が現実のものとなり、誰もが傷ついた状態になるでしょう。とはいえ、これがまだ大きな未知数であるため、現時点ではポジショニングを変えることはなく、引き続き地域やセクター全体で中立的な立場を保っています。」

・チャールズ・シュワブのチーフ・インベストメント・ストラテジストであるリズ・アン・ソンダースのコメント:「おそらくかなり早い段階で、景気後退の可能性に関する再評価が行われることになるでしょう。その確率が上がるとしても全く驚かないでしょう。少なくとも、2025年の企業収益予測に更に下押し圧力がかかると予想されます。収益の抵抗が最も少ない道筋は、現状から大きく下に向かっています。」

そして最後に、多くの人々がホワイトハウス(およびウォール街)でも期待しているように、元商務長官のカルロス・グティエレス氏がCNBCで述べたこと:「これらの関税の大部分は1~2カ月以内、少なくとも年後半にはなくなると予想しています。この状況は大きな交渉の始まりだと私は捉えています。」「これは単に生産を取り戻すことだけでなく、市場アクセスにも関わる事です。」

関税発表の内容を受けてFRBの利下げ期待が急上昇しました。

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VIX恐怖指数は再び急上昇。

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各国とトランプの交渉で関税が緩和される方針が示され、VIXが再び下げに転じてくるまで油断が出来ません。

トランプ関税発動のスケジュールについて情報が錯綜していましたので、整理しておきます。

・トランプ関税は2段階でセットされているとホワイトハウスは主張しています。
一段階目の10%

米国の関税地域に輸入される全ての品目は10%の追加従価税率の対象となりますが、当該関税率は、2025年4月5日東部夏時間午前12時1分以降に輸入されたものに適用

二段階目の国別関税

二段階目の国別関税(日本が24%と書かれているやつ)は2025年4月9日東部夏時間午前12時1分時点で開始。

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更なる進捗もまた報告しますが、基本、ウォール街や世界の金融機関の今回の関税についての見ておくべき重要な分析等は、会員様用に用意しております。