西側諸国の政府関係者や専門家、メディアでは、プーチン大統領が自暴自棄になればウクライナで大量破壊兵器を使用するかもしれないと懸念していますが、ベラルーシのルカシェンコ大統領はメディアとのインタビューで、ウクライナ戦争での核兵器の使用に反対すると述べた。
ルカシェンコは、「ウクライナで核兵器を使用する事は、我々の直ぐ隣にウクライナはあるのだから受け入れられないし、ロシアは核をどこに飛ばすか分からないので容認できない」と言っています。
ロシアはウクライナ戦争を仕掛けて以来、核の脅威を与えている。プーチンは2月下旬にロシアの核抑止力を厳戒態勢にすると発言し、先月にはロシアのセルゲイ・ラブロフ外相が、核戦争の脅威を過小評価すべきではないと警告した。
その後、2022年6月25日プーチン大統領は、サンクトペテルブルクでのルカシェンコ大統領との会談の冒頭で「今後数ヶ月の間に、弾道ミサイルや巡航ミサイルを使用できる戦術ミサイルシステム、通常バージョンと核バージョンをベラルーシに移転する」と発表しています。
会談でルカシェンコは隣国リトアニアとポーランドの「攻撃的」「対立的」「反発的」な政策に懸念を表明しており、こちらに答えた形ですね。
その際にプーチン大統領は弾道ミサイルと巡航ミサイルを使用できるイスカンデルMコンプレックスを近々ベラルーシに引き渡すと述べ、これらのミサイルが核弾頭を搭載する可能性がある事を強調しています。
また、プーチンはベラルーシ軍に配備されているSU-25機をロシアの航空機工場で再整備し、飛行士の訓練を開始する事をルカシェンコに提案。
ベラルーシが核武装するのでしょうか?
ルカシェンコは会談でプーチンに「核弾頭を搭載する訓練をしている米国とNATOの航空機の訓練飛行を非常に懸念している。我々にとって非常にストレスだ。だからこそ、こういったことに対しては、一触即発の対応を考えていただきたい。やり過ぎない程度に。彼らは核弾頭を運ぶ訓練をしているのです。どうか、核弾頭を搭載する為に持っている航空機の調整くらいは協力してください。明日にでも私達やあなたがあそこに核弾頭を運ぶ必要があるとは言いません。しかし、冗談を言っている場合ではありません。私達はそれに対する準備ができていない事が判明したのです。だから、これは我々にとって非常に深刻な事態なのだ。私がこの問題を提起するのは初めてではありません。防衛省で検討された事もあると思います。ここでの出来事がどのように展開されるのか、聞きたいものだ。」と陳情しています。
プーチン大統領は、これを受けてアメリカがヨーロッパに200発の戦術核弾頭を保有している事を指摘した。「核弾頭は、NATO加盟国であるヨーロッパの6カ国に保管されている。核弾頭を使用する為に257機もの航空機が準備されている。アメリカの航空機だけでなく、他の国の航空機もだ」
プーチンはまた、ルカシェンコが提案したアメリカの行動に対する質問に応え「私は次のように提案します。ベラルーシ軍にはかなりの数のSu-25がある。それらはアップグレードすることができるが、実のところ整備はロシアの航空機工場で行わなければならず、パイロットは関連する訓練を受けなければならない。それが第一にやる事だ。
そして第二に我々は今後数ヶ月以内にベラルーシに多数の戦術ミサイルシステムIskander-Mを引き渡す。このミサイルは、通常弾頭と核弾頭を搭載した弾道ミサイルと巡航ミサイルを発射することができる」と付け加えた。そして、ベラルーシとロシアの国防相と参謀長に、関連するすべての詳細を詰めるよう指示する事を提案した。
ベラルーシの核武装についてアメリカの対応
2022年3月2日に米国はプーチンとルカシェンコにベラルーシへの核兵器配備を止める様に警告しています。
米国は2日、国連の軍備管理会議でベラルーシに核兵器を配備しないようロシアとベラルーシに警告しており「ロシアの核兵器がベラルーシに移動することは、危険なほど挑発的であり、地域をさらに不安定にするだろう。我々はベラルーシに対し、ロシアの核による脅威と脅迫の政策を拒否するよう求める」と、オード・フランセス・マッカーナン米特使は軍縮会議(CD)で述べています。
日本は核武装でこれほどまでに揉めていますが、独裁国家は簡単に核配備を進めますね・・・
ベラルーシ核配備については今後も注目していきたいと思います。