駐仏中国大使卢沙野氏がウクライナなどの旧ソ連共和国が、国際法上有効な地位を有していないと公言した事に対して、80人近い欧州議会議員が「他国の主権を外交的な遊び道具にして、国際関係、国際法、国連憲章を蔑ろにしている」と指摘し、駐仏中国大使をペルソナノングラータとして追放するべきだとカトリーヌ・コロンナ仏欧州・外務大臣に要求しています。
ペルソナノングラータに指定された外交官は、外交官特権が失われ、逮捕などの危険がある為、派遣国はただちに帰還させるのが一般的で「外交官に対する制裁としては最も重い措置の一つ」との事です。
駐仏中国大使は1991年のソビエト連邦崩壊後に独立国家となり、国連加盟国となった国々の主権の存在を否定しました。
彼の発言により、習近平とマクロンの欧州での信用が急落した模様。
欧州議会議員はこの様な声明を出しています。
「私達は駐仏中国大使の攻撃的な発言に対して、フランス政府が断固とした措置を取るよう求めていることをお知らせします。駐仏中国大使の発言は、明らかに国際法に違反しており、我々の欧州のパートナー国の安全に対する脅威と見なさなければなりません。
駐仏中国大使は、旧ソ連共和国が国際法上有効な地位を有していないと公言し、その地位を具体化する為の国際協定が存在しない とまで主張しました。このような発言は、外交辞令の枠を遥かに超えており、最悪の狼藉行為であり、断じて許してはならない。
ロシアが隣国ウクライナの領土を攻撃し、ヨーロッパで戦争が勃発している今、民主主義世界が権威主義国家に対して、同盟国の主権を守る為に明確なメッセージを発信する事は大変重要で不可欠です。
駐仏中国大使卢沙野のスキャンダラスで軽蔑的な発言は今回が初めてではありません。彼は最近、台湾の人々は北京の支配下で「再教育」されるべきであると主張した。これまでもフランス政府は不適切な行動をとった外交官を迅速に追放してきた。従って、我々は前例に鑑み、駐仏中国大使を直ちにペルソナ・ノン・グラータとして宣言するようフランス政府に要請する。
この様に「駐仏中国大使」は旧ソ連諸国は存在しないと発言した事で、欧州の怒りに火をつけた様です。
旧ソ連諸国は「国際法上の有効な地位」を持っていないと駐仏中国大使が発言した事で、特にバルト三国において怒りを引き起こし、リトアニア、ラトビア、エストニアは、中国代表を召喚して説明を求めると、リトアニアのガブリアス・ランズベルギス外相が月曜日に確認した様です。
また、ウクライナ、モルドバ、フランス、EUの政府関係者も、それぞれ駐仏中国大使の発言に対して批判を展開しています。
ラトビアのエドガルス・リンケービッチ外相は、土曜日に「中国側からの説明とこの発言の完全な撤回」を要求し、EU外相会議でこの問題を取り上げ、中国との関係について議論すると述べました。
モルドバ政府は公式ツイッターアカウントで「1991年に独立を宣言した国々の主権に疑問を呈する中国の(大使の)発言には驚いている。モルドバと中国の関係において、相互尊重と(領土)保全は重要な鍵である。我々の期待は、これらの宣言が中国の公式な方針を表すものではないという事です。」と述べています。
ウクライナのミハイロ・ポドリャク大統領府長官顧問もTwitterで「歴史にこだわる国の代表から、『クリミアの歴史』についておかしな主張を聞くとは奇妙な事だ。まともな政治家になりたいのであれば、ロシアのプロパガンダをオウム返ししてはいけない...」と述べています。
月曜日の定例記者会見で、駐仏中国大使の発言について質問された中国外交部報道官は、中国は旧ソ連諸国の「主権国家の地位」を尊重していると述べた。
駐仏中国大使はこれ以外にもフランスメディアでのインタビューで、「毛沢東に文化大革命で人民が何百万人も殺されましたが、これはゴシップだと思いますか?」と尋ねられた際に、「それは時代遅れの噂話で詭弁ですね。」と言ってしまっています。 記者は再び「習近平主席の家族も文化大革命の犠牲者ですよね?」と尋ねましたが 、「私はあなたとそのようなゴシップを議論する為にここにいるのではありません。」と答えています。
文化大革命をゴシップや噂話と言ってしまうなんて流石ですよね。
マクロンは先日、中国と共にドル覇権を脱却すると言う意味合いの発言をしたり、中国とロシアを説得すると匂わせていましたが、今回、この中国大使をペルソナノングラータとして追放する様に欧州全体から要求される事態となり、更に立場が悪くなったように見えます。