シリコンバレーバンク(SVB)は多くのスタートアップIT企業を支える銀行でしたが、あれよあれよという間に倒産しました。
SVBはシリコンバレーを中心に業務展開する唯一の米上場銀行で、米VC(ベンチャーキャピタル)が支えるスタートアップ企業のほぼ半数、昨年株式を公開したテクノロジーおよびヘルスケア分野のVCポートフォリオ企業の44%と取引がある銀行です。
一体何が?
米国FRBの利上げで経営悪化
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3月8日、SVBはほぼ全ての売却可能な債券ポートフォリオを210億ドルで売却し、18億ドルの評価損を計上したことを発表した。これはSVBの1会計年度の純利益に匹敵する額でした。
財務強化の為に22億5000万ドルの増資を計画しているとも。
シリコンバレーバンクの株価暴落。9日に60%急落。
8日は270ドルだった株価が、9日には106ドルに。
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多数のベンチャーキャピタル(VC)ファンドが不安になり、ピーター・ティールらがポートフォリオ企業に対し預金を引き揚げるよう提言し始め話題に。連邦預金保険会社によって保証されている口座の額は$250Kまでなので、$249Kの資金を残して残りは別の銀行に預けるスタートアップも増えいた様子。
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取り付け騒ぎ(預金引き出しに皆さん殺到、銀行が一気に引き出しが来すぎて対応不能)で、資金繰りショート。カスタマーサポートの電話が通じなくなるレベルに。
取り付け騒ぎが起きて株価が落ちたせいでSVBが調達出来ず、更にパニック状態になってしまったと指摘されています。
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倒産
わずか2日間の間に引き出し要求が殺到した為、カリフォルニア州の銀行規制当局は預金者を保護する為にSBVを閉鎖しました。
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預金していた多数のスタートアップが来月給料を払えない可能性があると騒がれる事態に。
インドや中国など海外拠点の起業家がかなり影響されており、
多くのアメリカ人起業家は違う銀行口座に移せるオプションがあったが、アメリカで社会保障番号を持っていなければSVB以外の銀行のほとんどが口座を作れなかったのではないかと指摘がなされています。
これを受けて米国銀行株もナイアガラ、危機が銀行業界に波及し、バークレイズ、ロイズ、HSBC などの株価が 下落しました。
S&P500やビットコインも下げていましたが、重要なサポートラインで下げ止まり(まだ油断は出来ませんので監視は必要)持ちこたえている様に見えます。
米国の規制当局はシリコンバレー銀行(SVB)を閉鎖し、その顧客預金を管理する事になりました。
連邦預金保険公社(FDIC)は、通常25万ドルまでの預金を保護すると発表。
銀行の営業は再開され、保険付き預金のある顧客は「遅くとも月曜日の午前中には」資金を利用できるようになるとし、銀行の資産を売却して得た資金は保険に加入していない預金者に支払われる事になるそう。
投資家の反応
ある医療系スタートアップの創業者はこう語っています。「3日前に銀行口座に100万ドル入ったばかりなのに...。そして、これが起きたんだ。彼は締め切り40分前に別の口座に送金して貰うことに成功した。私の数分後に同じ事をした人を他にも知っていますが、振り込まれていないようだ。狂ったような状況だった。」
そしてウォール街で働く知人はこの状況に対してこの様な指摘をしていました。
「リーマンショックの時には短期資金やりくり(レポ市場)でどの銀行もこうした事をやっていてそれが借りれなくなった所が一気に倒産という事がありました。それをレッスンに短期調達以外の資金をしっかり持っているように、と世界中がバーゼルを通してルール強化されました。今回のシリコンバレー銀はそのLiquidityがまさにテストされている訳で、散々やってきたレポ問題は結局解決されていなかったのでは、というこの業界のとんでもない問題を暴露しかねません」
「私は常に業界の行き過ぎたルールは複雑にしてしまうだけで、かえって実態が分からなくなっていると懸念していました。またどう考えてもメガバンクはスケールの利益もありますが、問題が起きた時に壊滅的な状況となります。だったら日頃からちょっとずつ風邪をひきながら治す方が、普段健康でいきなり突然死!というよりいいんです。」