・16%下落は1998年以来、1日の下げ幅として最大との事です。
・昨日発表されたASMLの第3・四半期決算(7~9月)で受注額が26億ユーロと明らかになり、これが事前に40─60億ユーロと予想されていた数値を大きく下回ったほか、2025年業績予想を下方修正した事で投資家が過剰反応をしたようです。
・決算が誤って予定より1日早くASMLの公式サイトに掲載された事もサプライズ感を演出してしまいました。
ASMLの第3・四半期決算⇩
・ASMLの不安定要素は、中国に売り上げを依存している事です。
ASMLの第1.2四半期決算からも未だに中国が主要な顧客である事が分かります。
地政学的な不確実性や、米国によるオランダから中国への半導体関連輸出制限にもかかわらず、中国本土におけるASML装置の需要は今年も依然として堅調で、第2四半期の売上高の49%を中国が占めていました。
オランダ政府による半導体製造装置の輸出制限が昨年9月に発効し、ASMLの輸出ライセンスが2023年末に失効したため、ASMLの収益は過去2四半期で影響を受けました。その為、中国本土市場での需要は現在、主に輸出制限のないDUV(深紫外線リソグラフィー)装置に移行しています。
この部分の売上が下がってきたのだと思われます。
※ASMLは、AI分野以外でのチップ需要回復の遅れが決算を悪化させたとコメント、中国本土の経済が悪化するにつれ影響を受けているように見えます。中国の経済悪化は不動産バブル崩壊や、過剰生産能力による安売りを警戒した海外からの輸出規制により起きているので、簡単に解決する問題ではありません。
ASML週足⇩
ASMLの株価が急伸をし始めたのは2019年からです。中国への輸出増加を受けて株価を伸ばしてきましたが、それが安全保障上の問題となりつつあり、そろそろ対中依存を転換しなければ厳しい時期に入ってきていると考えられます。
今年7月の第2四半期決算発表後も暴落(7月17日の取引で約10%急落)していますが、この時も中国による高性能チップへのアクセスを制限するため、バイデン政権がより厳しい貿易制限を検討しているとの報道を受けてのものだと言われています。
ブルームバーグによると、バイデン政権は中国によるハイエンドの半導体製造装置の利用を制限するために、「外国直接製品(FDP)ルール」と呼ばれる非常に厳格な輸出管理措置の導入を検討している。
FDPルールは、米国外で生産された製品であっても米国の技術を利用している場合は、米政府がその販売を差し止める権限を持つと規定している。
それを踏まえて見ると、決算発表と対中規制発表の度に株価を落としていますね。
ASML暴落が厄介なのは、S&P500を牽引しているNVIDIAを始めとする半導体関連銘柄や日経平均に直接影響を与えてくるところです。
ASML暴落とそれを受けた日経先物の値動き
ASML⇩
日経先物⇩
日経先物を受けての日経の今朝の様子⇩
ASML暴落により、米国半導体セクターが動揺して下落➡それを受けて日経先物が下落(日本の半導体関連銘柄も売られると見越しての事かと考えられます)➡前夜に暴落した日経先物の値動きを受けて、日経が寄り付きで40000円付近から1000円程度暴落してスタート。
この流れを見ると、日本株に直接関係なさそうなASMLの決算が、波紋の様に日経平均にも影響を与えているのが分かりますね。