米国政府、対中半導体規制を破る企業に今後は最も厳格な措置検討と警告

 

中国に商品をガンガン売っている東京エレクトロンの株価に直撃

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米国政府は、「半導体製造装置大手の東京エレクトロンやオランダのASMLホールディングなどの企業が先端半導体技術を中国に提供し続けた場合、利用可能な最も厳しい貿易制限措置を取る事を検討している。」と日本政府やオランダ政府に伝えたとブルームバーグが報道しています。

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米国政府はこの件についてこれまで繰り返し日本企業やオランダ企業に伝えてきましたが、守る姿勢が見られないのか、遂にギアを一段階上げる構えです。

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これは当たり前の措置だと個人的には思っています。アメリカの同盟国(日本やオランダ等)の企業が依然として自社製品を中国に輸出している事に対し、中国への輸出規制を順守している米国のチップメーカーが常に不満を抱いている事に対応したものだそうです。

東京エレクトロンとASMLは中国における重要な半導体製造機械の主要サプライヤーですが、最近の情勢に詳しい複数の関係者によれば、米国政府は外国直接産品ルール(FDPR)という措置の活用を検討しているそうです。

このルールは、米国製技術を少しでも使用した外国製品に制限措置を導入する事を可能にします。

https://youtu.be/4mqYhItkuAY?si=LhmnkAy417GmrOAq

2023年4月、米国当局はシーゲイト・テクノロジー社(米国最大規模のハードディスクドライブ製造メーカー)に対しこのルールを発動させ、巨額の罰金命令を出しています。

コンピュータ・ディスク・ドライブを中国の通信大手、華為技術股份有限公司(ファーウェイ)に販売したとして、3億ドルの罰金が科されました。この罰金は米国輸出管理規則(EAR)違反で告発された米国企業にとって過去最大となりました。

この記録的な罰金は、今回東京エレクトロンなどに適用すると予告された外国直接産品ルール(FDPR)と呼ばれる米国輸出管理規則(EAR)のあまり知られていないルールに起因するもので、アメリカの制裁体制を万全なものとする為に最近強化されたものです。

また、軍事目的に使用される可能性のある先端技術を様々な手段で抜け道を作りアクセスしようとする中国共産党への、世界貿易レベルにおける対抗手段です。

‍従来の輸出規制とは異なり、強化された外国直接産品ルール(FDPR)により、米国政府は中国のファーウェイのような特定外国企業に対し、米国由来の知的財産を使用または組み込んで製造された製品であれば、それがどこで製造されたものかに関わらず、販売を禁止する事ができます。

つまり誰もが(米国企業だけでなく)米国外で製造した製品であっても、米国由来の知的財産が利用されていれば、たとえ一見小さな加工であっても政府が特に販売を許可しない限り、米国によって悪質業者とされた外国企業に販売する事はできないのです。

これが東京エレクトロンに適用されそうだ、というのが今回の報道です。

非公開の協議だとして匿名を条件に話した関係者によると、米国は日本とオランダの当局者に対し、両国が中国に対する措置を強化しない場合には外国直接産品ルール(FDPR)を適用すると伝えたとの事。

もし発動すれば、東京エレクトロンの株価は爆下げ間違いなしです。

 

東京エレクトロンの中国についての認識

一方、東京エレクトロンの河合利樹社長は今年2月、マスコミにインタビューされた際に、中国の半導体業界について「予想以上に積極的(東京エレクトロンの商品が売れていて、積極的に中国への投資も行っているという意味だと思われます)。規制の影響を受けにくいところで投資が行われている」と話し、川本弘常務執行役員は23年10-12月期の中国売上比率が46.9%に高まり、「今後も同規模、もしくはそれ以上の水準の投資が行われると思う(中国に投資がしたい)」と述べたと報道されています。

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東京エレクトロンの河合利樹社長は今年4月、日本政府の支援に頼る事を避ける為の戦略を立てる必要があると語り、半導体自給率を高める為には中国への投資を続けるべきだと力説していました。

今月に入っても河合利樹社長は中国市場について「半導体製造装置の自給率はまだ不十分で、(日本製装置の)需要は引き続き堅調だ」とメディアに語っていて、この様子を中国メディアは日本のチップ機器会社はとんでもない勢いで金儲けしていると報道しています。

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東京エレクトロンは 対中半導体規制について全く理解しておらず、西側にどう見られているかは意に介さず、目先の金を追い求めている様ですね。。。

 

東京エレクトロン値動き

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今回の米国政府からの警告を受けて東京エレクトロンの株価は急落。7/17水曜日の報道後、35000円から29800円まで15%近く落ちています。

現在下げ止まっていますが、価格下落をくい止めたのは2020年から機能しているサポートラインです。

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⇧丸を付けた部分が効いています。

来週ここから反発出来れば34400円位まで戻せそうですが、下げた理由が米国輸出規制ですので油断が出来ません。投資家達は警戒を始めたと思われます。

緑のサポートを下抜けした場合、24000円程度まで下げる可能性があると見ています。

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フィラデルフィア半導体指数

米国の半導体産業の主要企業で構成される「フィラデルフィア半導体指数(SOX指数)」は、 30年の歴史を持つ半導体関連指数です。半導体の製造や流通、販売等を手がける30銘柄で構成。

SOX指数週足⇩

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中国に対する厳格な輸出規制が行われている中でも順調に伸びてきています。

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今回の発表を受けて若干下落していますが、5000ドル付近での反発を見込んでいます。

 

NVIDIA

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⇧NVIDIA週足です。

NVIDIAは一時の熱狂が落ち着き、今回の下げでサポート割れをしてしまいそうです。

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日足レベルではサポート割れを既にしているのが分かりますね。サポート内に戻ろうとして戻せず下に押し戻されているのが分かります。

一時的に下げても105ドル付近までで、そこからの反発を見込んでいます。

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台湾積体電路製造(TSMC)

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TSMC週足です。一時的に下げていますが、それほど問題は無い状態。

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日足ではサポート割れをしていますが、下げても930TWD位迄だろうと見ています。ここを割ってしまったら要注意です。

 

韓国のSKハイニックス 

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東京エレクトロンへ出された警告はSKハイニックスにとっても他人事ではありません。

今年5月SKハイニックスに勤めていた中国人が、半導体の不良率を下げる技術を華為(ファーウェイ)に渡していた事が発覚して韓国で起訴されています。

また、同じく5月にはSKハイニックス関係者が中国国営企業無錫産業発展集団(WIDG)と合弁法人を運営し、中国ファブレス顧客会社の確保に速度を上げる計画があると発表しています。

中国スパイが社内に出入りしているのにこの緩さ。

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株価も水曜日の米国半導体規制の報道後7%近く下落し、サポート割れ寸前です。

 

半導体業界の株価の動向はS&P500や日経平均に直接多大な影響を与えてきますので、こうした動向に要注意ですね。