期限付きデジタル人民元を導入する事で、一定期間内に強制的に経済を活性化させたり、中国政府に反発する人間を無一文にしたり出来ると警戒されている。
例えば、中国マクロ経済フォーラム(中国人民大学メンバーなどで構成される、中国政府研究機関)は今年の6月に「半年~1年の期限付きデジタル人民元を1兆5000億元(29兆円位)発行し、一人当たり1000元(19500円位)の割合ですべての人々に配布する事を提言しています。
発行されたデジタル人民元は、有効期間内は現金とみなされる。
この様に、中国政府が「有効期限のあるお金」を活用しようとしている為、「お金が回るスピードを上げる」というケインズ派の夢がついに実現するかもしれないと期待される一方で、中国の社会的信用度評価システムと組み合わされれば、中国政府が設定した特定の「基準」を満たさない国民のお金は強制的に失効させられ、人々を束縛する為の新しい奇妙なツールとなるかもしれないと警戒されています。
デジタル人民元は通貨を期限切れにするプログラムを設定でき、それによって消費者に特定の期日までに使い切るよう強制する事ができるのです。
有効期限付きの通貨は、発行政府が貨幣速度、すなわち貨幣の「供給」速度と消費速度を高度に制御する事ができる。
なぜ有効期限のある貨幣が必要なのでしょうか。
中国国内消費の役割は年々大きくなっており(中国のGDPに占める輸出の割合は、2010年は26%、昨年は18%)、国内消費を厳しくコントロールできれば、単に消費量を増やすだけでなく、中国が生産する商品の需要のばらつきをコントロールする事ができるからだと言われています。
しかし、これは表向きで、期限付きデジタル人民元は中国政府が人民を監視する新しい方法となり、当局が追跡できる新しいデータが作成されると指摘されている。
デジタル人民元自体も今後は国境を越えた支払いなどの監視と制御の為の追加の手段ともなり得ます。
以前から中国共産党は国外への資金移動を嫌がり、監視を強化していましたが、今後はより一層国外への資金移動が厳しくなる可能性が高く、また、中国政府の意向を遵守していないと判明した日本企業や個人の口座の現金残高を、中国政府は凍結する事ができます。
これは日本最大の貿易相手国についての話です。
中国は2021年度の輸出全体のほぼ22%を現在占めている。
この国にこれ以上依存を続けるとどうなるのか誰の目にも明らかですね。