京セラ「中国はもはや世界の工場としては成り立たない」

 

 

 

京セラは世界情勢を読んで、約20年ぶりに日本国内での新工場建設を加速させています

2023.3.4

 

Photo 尧智 林

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京セラは、中国の天津市にある業務用太陽光パネルを主に生産する工場を閉鎖しました。

価格競争に晒され去年9月に生産を終了した天津工場は売却する予定です。

京セラは今後、国内回帰して滋賀県にある唯一のソーラーパネル工場で生産を行います。住宅用電池やエネルギーマネジメントシステムを組み合わせた高付加価値製品で太陽光発電事業を再構築する予定との事。

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中国メディアはこうした最近の京セラの動きに対して、京セラ社長「米国は、中国が世界の工場であり続ける可能性を潰している!?」等と報道して反発しています。

人件費や低価格競争等が原因の業績不振が原因だと中国では報道されていますが
中国政府による「何が明日起きてもおかしくない」政治的不安定さがリスクとして認識され、そろそろ堪らないと日本企業も感じ始めているのではないかと思います。

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「中国はもはや世界の工場としては成り立たない」と京セラが指摘

アリババグループのジャック・マーやファーウェイの任正非など中国企業大物が信奉した故稲盛和夫氏の京セラの提言だけに重みが違いますね。Tiktokを運営するバイトダンスの創業者張一鳴氏も稲盛氏の「仕事に励むことは修行」という考え方に共鳴しています。

そんな京セラですが、半導体チップのサプライチェーンで重要な位置を占める京セラの谷本社長は、約20年ぶりの国内工場建設を含む京セラの積極的な投資戦略を指揮するにあたって、世界情勢を読み切った上で中国ビジネスに厳しい評価を下している様です。

「製品が中国で作られ、中国で販売される限りは上手くいくが、中国で生産して海外に輸出するというビジネスモデルはもはや通用しません」と、谷本氏はフィナンシャル・タイムズ紙に語っています。

「賃金が上がった事が原因なだけではなく、米国と中国の間で起こっているすべての事が明らかになり、中国から一部の地域に製品を輸出する事が難しくなっています」

去年10月、米国は中国が半導体技術によって国内外の監視活動やウイグル人弾圧を強化している事、相次ぐ知的財産盗難などを受けて、中国企業による最先端技術開発を破綻させる為の輸出規制を発表しました。日本とオランダも中国へのチップ製造機械の輸出を制限することで米国と合意。

京セラは世界の2大経済大国間の貿易紛争に巻き込まれることが増えてきており、2019年にはトランプ政権が課す中国への貿易関税を回避する為、米国市場向けの複写機の製造を中国からベトナムに移し、米国向けの車載カメラの生産を中国からタイに移しています。

京セラだけではなく、ソニーグループもカメラ生産の 92% 以上を中国からタイに移し、Canonも昨年生産を中国から移しています。
谷本氏は中国でハードウェアを生産する事はほぼ不可能になったが、ソフトウェアや人工知能の分野では中国がまだ競争力を持つかもしれないと指摘。

京都に本社を置く京セラは環境変化を捉えて今までの中国依存姿勢をいち早く切り替え、625億円を投資して鹿児島工場に半導体パッケージ用の施設を建設中です。

また、11月には、スマートフォンなどに使用されるチップ関連部品やコンデンサーの生産を拡大する為、今後3年間の設備投資額を約2倍の9000億円にすると宣言しています。約20年ぶりに建設する国内工場は、長崎にある電子部品工場で、2026年の操業開始を予定。

https://www.ft.com/content/e21b6f97-3bbb-4223-9916-9f4ac5024953

大手多国籍企業が中国から続々撤退

米中貿易戦争、台湾侵略の野心、他国からの知的財産権の窃盗三昧、ウイグルジェノサイド、香港自治権剥奪、ゼロコロナ政策など、様々な問題を目の当たりにした多くのグローバル企業も中国から撤退しています。

調査会社ガートナー世界2,000名以上の各分野の専門家による調査分析レポートと専門家への相談サービスを提供するリサーチ企業)がサプライチェーンのグローバルリーダーの約3分の1が、2023年までに少なくとも一部の製造拠点を中国から移転する計画を持っていると報告。

スタンレー・ブラック&デッカー(電動工具メーカーとして世界シェア1位

25年間稼働した深センの工場を2021年11月に永久閉鎖。テキサス州フォートワースに425,000平方フィート、9000万ドルの新工場開設予定

世界最大手の電動工具メーカーも中国での生産を見切りました。

②デル

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デルは2024年までに「中国製」チップの段階的廃止を開始。

デルのサプライチェーンを中国からシフトしていますが、中国製以外のメーカーが国内で製造したものも含め、製品に含まれる中国から調達した部品の量を大幅に削減するようサプライヤーに指示したとのことです。静かに、しかし徹底的にデルは中国排除に動き出しています。

ゲームとエンターテインメントの世界的企業であるハズブロは、2021年に中国での玩具生産量を前年度より削減しました。ベトナムやインドなど他の国での製品の生産量を増やす事で中国製造への依存を減らしています。

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④Foxconn(鴻海:iPhone最大のサプライヤー)

Foxconnは、中国から離れインドに工場を建設します。

中国からの脱却を目指す取り組みの一環として、インドのベンガルールに300エーカー(121万㎡)の施設を新設する予定で、Foxconnがインドで行う最大規模の投資のひとつとなります。

ベンガルールは、インドでも有数のエンジニアリングおよび技術ハブの 1 つ。

本気で中国からインドへサプライチェーンを移そうとしています。

この様な流れがあるので、中国共産党は焦って全人代で外国企業にエサを提示して中国を去らないでくれと懇願しています。
中国は3月5日に全人代で外資系企業に内国民待遇を約束

3 月 5 日の第 14 回全国人民代表大会 の最初のセッションで、国務院の李克強首相は「外資企業に対する内国民待遇」を約束すると発表。

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「広大で開かれた市場を持つ中国は、外国企業に更に大きなビジネスチャンスを提供することは間違いありません。」

こんな空虚な宣伝に外国企業は惑わされず、国内回帰して自国民が儲かる環境を最優先する事が重要です。

過去30年間近く、各国は中国を富ませ自国を貧しくしてきたようなものなのですから。
中国の天津市にある業務用太陽光パネルを主に生産する工場を閉鎖し、今後は滋賀県にある唯一のソーラーパネル工場で生産を行います。