共同通信は「軍事大国化が「日本の選択」 岸田首相、タイム誌表紙に」という見出しを付けてこの件を報道しており、「米誌タイムは10日までに、岸田文雄首相を表紙に掲載した次号(12日発売)の内容を一部公開した。日本の選択」と題し、岸田氏が「長年の平和主義を捨て去り、自国を真の軍事大国にする事を望んでいると紹介した。」としています。
実際にTIME紙はその様な報道をしたのでしょうか?
以下がソースとなっているTIMEの記事の内容です。結論から言えば、軍事大国化が「日本の選択」等とソースであるTIMEの記事の中身には記載されていないし、岸田首相もその様な発言をしたとは書かれていません。
中身にそんな事を書いてない癖に表紙の見出しに
「JAPAN'S CHOICE。岸田文雄首相は、数十年にわたる平和主義を捨て、真の軍事大国を目指そうとしている。チャーリー・キャンベル著」と記載が小さくされているだけです。雑誌を売る為にTIMEの編集が過剰に煽ったのではないかと思います。
しかし、中身はこの表紙の記載と全然違います。
★岸田首相は日本を軍事大国にしたい等とインタビューで答えた様子がない
★記事にも防衛費増額等としか書かれていない
見出し詐欺みたいなものです。その表紙だけを過剰に共同は取り上げています。
いつもの共同の過剰な煽りです。
その見出しに騙されたネットが過剰に騒ぎ、ゲンダイも軍靴の音が聞こえる等とそれを取り上げ更に煽っています。
ではTIMEの問題の記事自体の中身を見てみましょう。
「Exclusive: Prime Minister Fumio Kishida Is Giving a Once Pacifist Japan a More Assertive Role on the Global Stage」
この著者はTIME特派員のCharlie Campbell氏。元中国支局長。
独占インタビュー: 岸田文雄首相は、かつて平和主義だった日本に、国際舞台でより積極的な役割を与えようとしている。
日本の首相官邸は不気味な場所です。アメリカの建築家フランク・ロイド・ライトの影響を受けたこの石とレンガ造りの邸宅は、東京の中心部にあり、1932年に海軍の若い将校が突撃して犬養毅首相を暗殺した時には、まだ築3年しか経っていなかった。その4年後、岡田啓介首相はクーデター未遂事件でクローゼットに隠れることを余儀なくされ、5人が死亡、弾痕は今でもアールデコ調のファサードを覆っている。
1992年、アメリカのブッシュ大統領がここで宴会中に体調を崩し、宮沢喜一首相の膝の上で嘔吐した後、気を失った事で、悪いエネルギーは太平洋を越えて伝わった。神職による除霊が行われたものの、2021年10月に岸田文雄首相が就任して直ぐに入居するまで、9年間は無人の邸宅だった。
「この建物では幽霊に遭遇すると、先人達から警告を受けています」と、岸田氏はレッドカーペットの首相官邸内でTIMEの独占インタビューに語った。首相官邸の壁のモチーフの1つはかなり威嚇的なコンクリートのガーゴイルである。「勿論、古い建物ですから、時々音は聞こえます。でも幸いな事に、まだ幽霊に遭遇した事はありません」
※出だしから首相官邸が呪われている等とふざけた内容です。
岸田首相はより地球的な問題に夢中になっている。日本では、再分配政策によって中間層を増やす「新しい資本主義モデル」を打ち出した。海外では、韓国との歴史的な対立を解消し、米国などとの安全保障同盟を強化し、防衛費を50%以上増加させるなど、東アジアの外交関係の変革に着手している。中国の影響力を抑える為の有力なパートナーを求めるホワイトハウスに後押しされ、岸田首相は世界第3位の経済大国日本を、それに見合う軍事的プレゼンスを持つグローバル・パワーに戻す事に着手した。
※ここは著者の意見ですね。
しかし、岸田首相が幽霊に悩まされる事がないとは言い切れない。1945年に米国が投下した原爆によって、数人の親族を亡くした。彼の最も古い記憶は、苦難の街(広島の事)で祖母の膝の上に座り、地元の苦しみの恐ろしい物語を聞いた事だ。「広島とそこに住む人々が経験した言いようのない惨状は、私の記憶に鮮明に刻まれています」と、彼は言います。「この幼少期の体験が、核兵器のない世界を目指す私の大きな原動力となったのです」
岸田首相は5月19日から21日にかけて開催されるG7の首脳を広島に迎える。広島が持つ悲劇の歴史を活用し、好戦的なロシア、中国、北朝鮮の権威主義の脅威に立ち向かうには、集団的防衛体制しかないと世界で最も強力な民主主義国である日本の国民を説得出来る事を期待しているのだろう。東京はキエフから5,000マイル離れているが、ウクライナでの戦争は、日本がより危険な世界に直面している事を警告している。特に、日本はロシアとの陸海の領土問題に巻き込まれたままであり、北朝鮮の弾道ミサイルが頭上を飛んでいるのを定期的に見ているからだ。日本にとって更に心配なのは、習近平主席が繰り返し「屈服させる」と宣言している中国の台湾に対する侵略である。昨年夏、ナンシー・ペロシ米下院議長の台北訪問に抗議して北京が軍事演習を行った際、5発のミサイルが日本の排他的経済水域に落下し、中国の艦艇や航空機も定期的に侵入している。
このような背景から、岸田氏は12月、日本にとって第二次世界大戦後最大の軍備増強を発表した。これは、日本と同様に戦争で屈辱を味わったドイツを含むヨーロッパ全体の防衛費増額を反映している。この公約は、2027年までに防衛費をGDPの2%に引き上げるというもので、日本は世界第3位の防衛予算となる。また、以前の日本の指導者が国際的な制裁を加えることに躊躇していたのに対し、岸田氏は米国が主導する措置に快く参加している。
これは、同じ右派の自民党に所属し、7月に選挙活動中に暗殺された安倍晋三元首相が長い間主張してきた変革である。しかし、安倍首相のタカ派的な評判が賛否両論だったのに対し、岸田氏はハト派的な性格の為、大きな反発を受けずに安全保障改革を実現する事ができました。
しかし、日本の軍事的な復活に対しては、論争がないわけではない。平和主義の憲法を持つ日本では、軍備増強は既に燃え盛る地域安全保障の構図に火をつける事になると批判されている。また、中国は日本にとって最大の貿易相手国である事から、岸田外相が野心的な国内政策に資金を提供しながら、経済的報復をいとわない超大国のライバルである米国に牙をむくことができるかは不明である。更に根本的な問題として、日本の軍備増強は、核兵器のない世界を目指すという岸田氏の長年の公約と食い違うという見方もある。首相は「広島のような悲劇を二度と起こさないことだけが目標だ」と言う。 「今日のウクライナは、明日の東アジアになりうる」。
岸田首相の任期は、平凡な役人という評判とは裏腹に、既にドラマに満ちている。4月15日、選挙演説中に手製のパイプ爆弾を投げつけられたが、首相官邸につきまとう亡霊の仲間入りを危うく免れた。「私は政治の世界に生きている」と、この事件についての質問に肩をすくめる。「いろいろな出来事や展開が起こりうる」。
1年半前の就任当時は、スキャンダルには縁がないが、大きな実績はない地道な政治家というイメージだった。父も祖父も議員であり、幼少期はアメリカで過ごし、クイーンズのパブリックスクールに通っていた。クラスにはさまざまな文化や言語的背景を持つ子どもたちがいて、岸田はコミュニケーションを「とても難しい」と感じていたという。しかし、そのお陰で「他人の意見にじっくりと耳を傾ける事の大切さを再認識した」と言います。「自由を尊重し、豊かなエネルギーを持つアメリカという国のあり方に、子供ながらに感銘を受けました」と。
岸田首相は平凡な学生で、法学部の入試に3度失敗。銀行で経験を積んだ後、1993年に政界入りした。2012年、外務大臣に就任し、日本歴代最長の5年間在任した後、閣僚を歴任した。岸田首相はコンセンサスビルダー(合意形成)として評判が高く、様々な派閥と協議しながら政策を調整する。しかし、岸田首相はアドバイスを受けても、一度決めたら揺るがないと側近は言う。
総理大臣として、彼は天才的な仕事人である事を証明した。岸田首相は就任以来、16回もの海外出張をこなしている。官邸の吹き抜けの大広間でTIMEの取材に応じた翌日には、アフリカ4カ国を回る旅に出発した。側近によれば、彼はほとんど自分の時間を取ることができなかったという。「国会が終わったら、時間があれば、ゴルフでもしたいですね」と、にっこり笑う。
しかし、国内では順調とは言い難い。安倍首相の国葬を執り行った岸田氏は、その費用と安倍首相の極端なキャラクターへの反発を受け、支持率を急落させた。昨年末、岸田氏は様々な不祥事で2カ月間に4人の閣僚を解任した。2月には、国民の過半数が同性婚を支持しているにも関わらず、同性婚が合法化されれば「かなりの数の人がこの国を捨てるだろう」と発言したとして、側近を罷免した。これに対し、岸田首相はTIMEに、多様性が尊重される社会の実現 に尽力していると語っている。その後、支持率は上昇し、4月の地方選挙では自民党が主要議席を獲得した。
東京のテンプル大学でアジア研究のディレクターを務めるジェフ・キングストン氏は、「彼は刺激的なリーダーではないかもしれません」と言う。「しかし、自分のアジェンダを推進するという点では、彼の特性はかなり効果的であることが証明されている」。
それは野心的なものである。日本は世界で2番目に教育熱心な国民で、平均寿命が長く、殺人率が低く、失業率が低く、政治的な移行が異常にスムーズな国であることを誇っている。しかし、その一方で、世界で最も低い出生率、成長の停滞、深刻な高齢化も進んでいる。1980年代後半、日本人の収入はアメリカ人よりも多かったが、今では平均して40%も少ない。岸田氏の使命は、日本を立ち直らせることである。岸田氏は、日本初のカジノや、物流の要である新東名高速道路に自律走行専用レーンを設置するなど、徹底した近代化政策に着手している。
岸田氏の国内政策は、家計の収入を増やす為の「所得倍増計画」という漠然としたものだが、彼の大きな問題は、富裕層を遠ざけることなく再分配を行うための費用をどうするかという事である。日本の公的債務の対GDP比は256%で、米国の約2倍であり、岸田氏には借金を続ける余裕が殆どない。岸田氏が株式譲渡と配当への増税を言い出したとき、日本の証券取引所は大暴落した。東京の早稲田大学教授で元議員の中林氏は、「岸田氏は右派の支持を維持するためにかなり注意しなければならない」と言う。
G7での問題はそれとは異なる種類の存亡の危機である。国連安全保障理事会の議席を与えられていない日本は、アジア唯一のメンバーとしてG7を常に重視してきた。岸田氏の側近は、G7を地元に迎える事は「生涯の夢」の実現になるという。中林氏は、岸田氏が日本を真のグローバルリーダーに押し上げる絶好のチャンスであるだけでなく、国内の支持率が上がれば、国会を解散して新たな政権を目指すための足掛かりにする可能性もあるという。
岸田首相は1月、加盟国のイギリス、フランス、イタリア、カナダ、アメリカを訪問し(ドイツが除かれている)、自身の政策への支持を呼びかけた。インドのモディ首相と韓国のユン大統領もオブザーバーとして招いた。利害は一致している。「ウクライナや台湾を筆頭に、国際秩序が非常に不安定な状況であることを考えると、G7は歩み寄らなければ、瓦解してしまう恐れがある」とキングストン氏は言う。
しかし、すべての人がG7の闘争的な姿勢に賛成しているわけではない。サーロー節子さんは、1945年8月6日のことをはっきりと覚えている。彼女はまだ13歳で、日本の第二次世界大戦の取り組みの一環として、連合国の通信傍受を解読するために採用されたのだ。午前8時15分、彼女は現在の広島市東区にある軍司令部の木造建物の窓から、青白い閃光を見た。原爆は1キロ先で7700℃の高温で爆発した。
「宙に浮くような感覚を味わいました」と彼女は言う。炭化した木材の下から這い出した後、「人のような、でも本当の人間ではない動く人影を見始めました」と、核兵器廃絶国際キャンペーンを代表して2017年にノーベル平和賞を受賞したサーロー氏(91)は振り返る。「彼らは幽霊のように見えた」
広島とその3日後に長崎に投下された原爆は、約17万人の命を奪った。岸田首相の元で、日本はより積極的な軍事姿勢をとっており、サーローは「警戒している」という。「岸田は、核兵器のない世界を目指すことが最優先だと言っていた。しかし今、私は彼が私たちを欺いていた事に気付いたのです。
※サーロー節子氏:共産党機関紙赤旗と連携しているカナダ在住の活動家。
岸田氏は、広島と3月に訪問したウクライナの被災地ブチャを一直線に結びつけ、「残虐行為に対する大きな怒り」を語り、トレードマークの平静さを一変させた。プーチン大統領が核戦争の脅威を繰り返し、「大きな衝撃を受けた」と語るように、G7に核の真の恐ろしさを知ってもらいたいのだ。
しかし、岸田首相がロシア一辺倒であるかのように装うのは軽率である。4月にフランスのマクロン大統領が台湾について質問された際、「ヨーロッパは 我々のものではない危機 に巻き込まれてはならない」と述べたことを否定し、「ウクライナがアジアの問題であるように、台湾はヨーロッパの問題である」と伝えたいのだろう。岸田首相にとってロシアのウクライナへの侵略は、遠く離れた場所で起こった出来事ではなく、武力によって一方的に現状を変えようとする試みは、世界のどこで起こっても許されるものではないと。
岸田首相は中国の行動について聞かれると、11月の習近平との首脳会談で築かれた「ポジティブなモメンタム」をベースにする必要性を挙げ、外交的な姿勢を見せる。しかし、「中国の現在の対外姿勢と軍事動向は、深刻な懸念事項である」と認めている。
また、政権内には大胆な意見もある。外務大臣と防衛大臣を歴任した河野氏は、ロシアや北朝鮮よりも「大きな脅威は中国からやってきている」と言う。「台湾などに対する軍事行動や経済的な威圧に備える必要がある」と。
ワシントンも同意見だ。ここ数カ月、バイデン大統領は、日本、韓国、フィリピン、オーストラリアとの軍事協力の強化を約束している。彼は岸田首相に防衛問題だけでなく、中国への技術移転を防ぐ為の支援もするよう圧力をかけることになるだろう。
一方、北京は国営メディアが "Xivilization (中国による人類文明の新しい形)"と名づけた新しい国際関係のフォーラムで、グローバル・サウスへの求愛を開始した。
世界観のぶつかり合いは、益々ヒートアップしそうな予感がする。
岸田氏の広島での使命は、焼け跡と折り鶴に焦点を当てる事である。亡霊の声を聞く事である。
共同が岸田首相が戦争を望んでいると思わせる様な報道をこの記事をベースに出し、ロイターなどもそのまま報道していますが、ソースの内容と乖離していますね。
ソースのTIMEの記事もこの様に非常に微妙なものです。首相官邸が呪われている等と表現し、その後「共産党と連携している活動家」にフォーカスをして、最後は「首相官邸の亡霊の声を聴け」等と締めくくり。
おまけに著者はTIMEの元中国支局長です。
もうお分かりですね?
一時ソース(英文)なんて日本人確認しませんものね。
簡潔に纏めると、
TIME紙は、中身にそんな事を書いてない癖に表紙の見出しに「JAPAN'S CHOICE」と記載し、岸田文雄首相は、数十年にわたる平和主義を捨て、真の軍事大国を目指そうとしていると書きました。あたかも岸田首相がこの様にインタビューでこの様に答えているかのように視聴者が感じるように。
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そしてTIMEのこの記事を書いてるのはTIMEの元中国支部長。
確認すると中身は全然違うし、首相官邸は呪われている等と日本ディスりな書き出しから始まり、途中は今までの概要、そこから日本共産党と連携しているカナダ在住の反戦活動家日本人を出し、締め括りに岸田首相はG7で広島被爆の恐ろしさを各国首脳に伝え、首相官邸の呪いと向き合うべきだ等という構成でした。
★岸田首相は日本を軍事大国にしたい等とインタビューでした様子がない
★記事にも防衛費増額等としか書かれていない
見出し詐欺みたいなもんですね。
共同はこのTIMEの見出し詐欺をフル活用してきた感じです。
TIMEは、岸田首相が日本を軍事大国にしたがっているとあたかもインタビューで語ったかのような印象操作をしながら、官邸が呪われてるせいちゃうか?と思わせるような書き出しw
そして中国とロシアの核兵器大量配備には一切触れずに、広島の原爆被害を思い出せという主張。
大変お粗末でございます。