イギリス王室のヨーク公アンドリュー王子に中国政府のスパイが接近し、側近になっていた事が発覚

 

MI5(英国情報局保安部)が発見しましたが、2023年にスナク政権が国外追放処分にした筈の中国人がまだ英国王室に潜り込んでいました。

Photo Annie Spratt

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アンドリュー王子の「側近」が「中国のスパイ」と判明、英国でスキャンダルとなっています。

これはMI5(英国情報局保安部)が発見しましたが、2023年にスナク政権が国外追放処分にした筈の中国人がまだ英国王室に潜り込んでいました。チャールズ国王は、中国人スパイを側近にしてスキャンダルを引き起こし王室全体の評判を落としたアンドリュー王子に激怒。

当局は、「アンドリュー王子が英国王室が所有する美しい宮殿であるロイヤルロッジでの滞在費を中国人からの寄付金で賄っていた可能性すら排除できない。」と指摘しています。ズブズブに金で飼いならされていた様です。

この様な有り様なので中国人スパイ「H6」は側近に成り上がり、アンドリュー王子の代理として中国で投資家を探す権限さえ与えられていました。

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MI5は、アンドリュー王子の側近になっていた50歳の中国人ビジネスマンが中国共産党員であり、情報収集を行う統一戦線工作部に勤務していた事や、中国人民政治協商会議(CPPCC)の会議に参加していた事を突き止めています。

 

・何故アンドリュー王子の側近に中国政府のスパイがなれたのか?

アンドリュー王子は億万長者の小児性愛者ジェフリー・エプスタインとのスキャンダルによって追及され、2019年に王室の公務から退いていました。

※アンドリュー王子とエプスタインは1999年からの付き合いでした。悪名高いエプスタイン島にもアンドリュー王子は訪れています。

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エプスタインとのスキャンダルに怒ったエリザベス女王はアンドリュー王子の名誉軍人称号と後援を剥奪し、事実上、彼を王室生活から締め出しました。

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今年初めチャールズ国王は、ロイヤルロッジでの弟(アンドリュー王子)への年間300万ポンド(5億8140万円位)の警備費の支払いを停止して、より質素な住居に移るよう促しました。

この資金がアンドリュー王子の主な生活費だったと思われますが、これを打ち切られ一気にピンチに。

その為に収入が途絶え生活が困窮していたようで、最近の彼の唯一の収入は、僅か年間2万ポンド(現在のレートで387万円位)の英国海軍年金だったと言われています。

ところが、11月にアンドリュー王子はロイヤルロッジの家賃を支払うのに十分な資金をどこからか確保し、滞在を許可されていた事が判明しました。

※ロイヤルロッジとは英国王ジョージ5世が1931年にヨーク公爵夫妻(後のジョージ6世とエリザベス女王)に静養地として整備して与えた物件です。2003年8月ヨーク公爵アンドリュー王子が75年間のリース契約を締結しています。

 

 

ロイヤルロッジ賃料支払いに困り果てたアンドリュー王子にそっと資金を渡したのは、以前からアンドリュー王子の側近のような存在だった中国政府のスパイ・コードネームH6ではないかと見られています。

H6は中国人ビジネスマンでアンドリュー王子と「異常なほどの信頼関係」を築いていたと法廷で評され、現在は英国への入国を禁止されている中国人のスパイ容疑者です。

英国政府は「H6が中国政府による英国への政治介入をお膳立てする為に、中国高官と英国の著名人との関係を構築する立場にあった」とし、2023年に当時の内務大臣ブレイバーマンによって英国への入国禁止処分を受けています。

内務省はH6が中国共産党(CCP)の為に「秘密裏に欺瞞的な活動」に携わっていたと発表。

H6は英国に拠点を置く企業に、中国での事業展開についてアドバイスをするビジネスで英中友好を推進しながら王室に潜り込む機会を伺っていた様ですが、そんな時にアンドリュー王子の不祥事が発覚しました。

そしてアンドリュー王子がエプスタイン事件で弱り切っている時にスッと接近して懐に潜り込み、アンドリュー王子の顔を利用して王室中に根を張っていた様です。

不審な点が多い為、2021年に港でH6は取り調べを受け、その際に彼のスマホからアンドリュー王子の側近であるドミニク・ハンプシャーからのメッセージが発見され、そこには「アンドリュー王子の最も親しい側近以外で、あなた(H6)は多くの人がなりたがっているポジションの一番上にいる」と書かれていました。

H6のデバイスから発見された文書の中からは、「アンドリュー王子は絶望的な状況にあり、藁にもすがる状態だ」と記述されたものも発見されており、本土に報告していた可能性があります。

H6がバッキンガム宮殿を2度訪れ、アンドリュー王子の招待でセント・ジェームズ宮殿とウィンザー城にも入ったことも分かっています。

 

H6の正体

アンドリュー王子に接近・利用していたスパイは中国人実業家【杨腾波・Yang Tengbo】です。

本日、英国王立司法裁判所がこの中国人スパイの匿名命令を解除し、名前が明らかになりました。

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杨腾波・Yang Tengbo(50)は中国の投資コンサルタント会社ハンプトン・グループ(汉普集团)の代表取締役。

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この会社です。

フォーチュン500企業にも食い込んでいると自社ページで言っていますから、アンドリュー王子の件でこれらの企業にもこの騒ぎは飛び火する可能性があります。

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杨腾波は外国当局者への影響力拡大を任務とする中国政府のスパイ組織、統一戦線工作部に宛てた手紙を所持していたそう。

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杨腾波は1974年生まれで、雲南大学を卒業後、イギリスのヨーク大学で公共政策の修士号を取得。 その後、汉普集团を設立し現在、中国人民政治協商会議(CPPCC)第13期第2回会議の海外代表、英国華商会議所の執行委員長、第15回世界華商大会(WCEC)の執行委員長を務めてもいます。

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アンドリュー王子が若い起業家を支援する為に立ち上げたベンチャーキャピタルプラットフォーム“龙门创将”(Pitch@Palace)の、中国での立ち上げを促進。

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この人物は英国政府からスパイとして追放されていますが、現在、自分は中国政府の工作とは関係なく無実で英国政府の陰謀だと堂々と言い張っています。がしかし少し中国本土での言動を見ると・・・この人物は統一戦線工作部の対外工作主要メンバーなのが分かります。

具体的には世界の華僑を統括し、統一戦線工作部の指令を実行させる役割ですね。

例えば、杨腾波氏は中国人民政治協商会議(政協)全国委員会・香港・マカオ・台湾・華僑委員会による北京で中国と外国の友好的な人々とのビデオ交流会(海外同胞特別セッション)を2022年に開催しています。

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中国人民政治協商会議(政協)は統一戦線工作部を管轄している組織ですが、この政協の会議を杨腾波は取り仕切ります。

英国華商会執行会長、ハンプトン・グループ(汉普集团)代表杨腾波は、この場で「中国、世界の舞台の中心に近づく10年」と題するスピーチを行い、「習近平国家主席は中国国民全員を動員して一緒に考え、協力するよう呼び掛けられた。6,000 万人の海外華人は中華民族の偉大な復興という大義に参加せよ」と檄を飛ばしています。

2016年に杨腾波がチームを率い、英国から中国にグローバル科学技術インキュベーションプラットフォームを導入したとされており、このプラットフォームは世界中に19の支社を持ち、世界64の国と地域をカバー。これまでにこのプラットフォームは7万件以上の科学技術イノベーションプロジェクトと結びつき、126件の質の高いプロジェクトを深く支援し、新たな資金調達で112億6,000万元(2200億円以上)を調達し、1,344人の新規雇用を創出。

杨腾波はアンドリュー王子を使い500人以上の英国の起業家、イギリス連邦の20以上の国と地域の政財界の著名人を集め中国企業・華僑と商談を行わせ取り込みをしています

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今年6月のロンドンで開かれた第3回中英起業家サミットも杨腾波が主宰

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スナク政権に国外追放処分にされたのに、スターマー労働党政権になってからロンドンに舞い戻ったのでしょうか?

2024年6月15日に開催された第3回中英企業家サミットには中国と英国の政財界の代表450人以上が出席。 サミットは在中国英国商業会議所が主催し、杨腾波の在英中国商工会議所が共催しています。

在北京中国大使館、在北京英国大使館など中国政府が後援。

3日間のサミットでは「 霧の中から新たなチャンスを見出す」というテーマの元、中国と英国が世界の発展に役立つ最先端技術やサービスなどの分野でどのように協力を強化できるかに焦点が当てられ、在中国英国商業会議所の執行委員長である杨腾波は、英国のバイオテクノロジーや医療健康、新エネルギーやクリーンテクノロジーなどの分野の英国企業と中国企業が協力し強固な基礎を築くとの覚書に署名させていました。

日本の政治家や経団連と中国の間でも同じような事が行われており、英国内務省からスパイとして追放された杨腾波は定期的に世界の華僑とミーティングを開き、中国政府の方針を指導する立場にあるようです。

日本の関西華僑西南協会の会長・李建華氏も杨腾波とミーティングして日本における一路推進について協議しています。

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杨腾波はウイグルジェノサイドが行われているウイグルについても人民政治協商会議と協力してプロパガンダを行っている事が分かります。

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杨腾波・Yang Tengboは新疆を拠点として、新たなグローバル化の最前線にすると力説しています。 「国境を越えた経済協力区の構築と貿易通関サービスの最適化により、新疆は中国・中央アジア経済回廊の重要な拠点、東西を結ぶ重要な物流拠点となり、国際貿易と地域貿易を促進することが期待される」と。

 

杨腾波は一帯一路の強力な推進者でもあります

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2019年10月、第15回世界華人企業家大会がロンドンで開催され、杨腾波は一帯一路に関する特別フォーラムを設け、華僑とロンドンの人々を一帯一路に参加させるよう導くいい機会だと語りました。

彼は「華僑は中国を世界と融合させるという天賦の強みを持つ「一帯一路」建設の協力者、貢献者、推進者だ。」と指摘、華僑が持つ様々な国際協力プラットフォームを活用して、各国に一帯一路プロジェクトを売り込もうとしていました。

こうして見ると、アンドリュー王子の側近に成り上がった中国スパイH6こと杨腾波は、ロンドンを拠点にして世界中の華僑を動員しながら統一戦線工作部の任務を実施する統括のような人物なのがよく分かります。

中国政府の意向を受けて、英国の経済界を中国に引きずり込む役割をしていたのは間違いなく、英国内務省が国外追放処分にしたのは正しい判断でした。