https://youtu.be/8uAW4CBgYbs?si=BX4gpSbaGfYQH5gf
皆さんはかつて北朝鮮が資本主義の実験的導入を進めていた「羅先経済特区」をご存知でしょうか？
最近、ここがロシアのウクライナ侵略の為の武器輸送の拠点として活用されている可能性があると報道されています。
羅先特別市（ラソンとくべつし）の場所です⇩
日本海に面する港湾都市で中国吉林省・延辺朝鮮族自治州の琿春市とロシアの地方都市ハサンに接しています。
羅津港は昔から天然の良港であり、毎年夏には多数の中国人が観光に訪れるそうです。
マンション群と輸入品で溢れる活況な市場を背景に、1990年代に中国とロシアとの国境に設立された羅先経済特別区は、経済制裁強化が始まり、コロナパンデミックによる国境封鎖でほぼすべての貿易が遮断されるまでは、多くの北朝鮮人にとって憧れの地だったそうです。
ここ数カ月間、この地域が復活してきている明らかな兆候が見られるとロイター等で報道されています。
2018年以来初めてこの地域に船舶が停泊しており、衛星画像で港と鉄道の両方からロシアへの貿易が急増している事が分かった様です。
経済規模がはるかに大きく、北朝鮮との歴史的な関係が深い中国が羅先回復の明白な原動力のように思えるかもしれませんが、韓国の北朝鮮分析専門家らは、北とロシアとの協力深化がより直接的な影響を北朝鮮に与える可能性があると述べています。
韓国の北朝鮮経済専門家は「ウクライナ侵略戦争を背景に、北朝鮮とロシアが非常に接近している今、ロシアはより多くの観光客を北朝鮮に送り込む可能性があり、それによって（羅先の）観光が活性化する可能性がある」と述べています。
羅先に観光施設などあるのか？と思い見てみましたが、遊園地やホテルらしき建物が、荒れ地の中に佇んでいました。
⇧羅先の遊園地らしき建物。
⇧羅先のスタジアム
⇧羅先付近のホテルらしき建物。
⇧羅先に接するロシア地方都市・ハサンの様子⇩
羅津・先鋒経済貿易地帯について
1991年10月24日、国連開発計画により、この地域（琿春・ポシェト・羅津）の開発に300億ドルを投資し、20年かけて「第二の香港、シンガポール、ロッテルダム」を建設するという豆満江（図們江）地域開発計画が発表されていました。
1991年10月5日に金日成は生涯最後の外遊で中国を訪れた際に鄧小平から経済特区による改革開放を迫られ、1991年12月28日に「羅津・先鋒自由経済貿易地帯」（FETZ）が設定。
その後、中国が羅津港の使用権を北朝鮮より獲得していおり、中国は国際貿易港として利用できるよう、ここに物流ターミナル開発を進めてきました。
また2010年の報道では、北朝鮮はロシアにも50年の使用権を付与したとされています。
2010年12月中国による羅津港の利用が開始され、吉林省延辺朝鮮族自治州琿春市で採掘した石炭を、羅津港から日本海を経由して上海への輸送が初めて行われています。以前は陸路を経て渤海沿岸に出てから黄海を経るルートしかなく、高い輸送コストがネックとなっていましたがこれにより経済的に輸送できるようになった様です。2011年には、人民解放軍が進駐したとの報道が一部でなされています。
羅津港を利用したロシア軍支援
「韓国軍は、北朝鮮は羅津港を通じてロシアに武器・装備を支援したと発表した」と韓国メディアが11月2日に報道しています。
軍関係者は、昨年中旬から「北露間の武器支援」の状況が特定され始めたと話していて、「金正恩のロシア訪問直前の今年8月から海上を利用した武器取引がより活発に行われている状況が特定された」と明らかにしました。
「現在までに北朝鮮が羅津港を通じてロシアに送ったコンテナは計2千数百個と推定され、コンテナに122mm放射砲弾を積載したと仮定した場合、20万発以上、152mm砲弾と仮定した場合、100万発以上送られたと判断出来る。」とこの関係者は説明しました。
北朝鮮がロシアに支援していると推定される武器・装備類は、△両国間で互換性のある122mm放射砲弾-152mm砲弾などと、T系戦車砲弾△放射砲と野砲、ライフル・機関銃、迫撃砲△携帯用対空ミサイル・対戦車ミサイルなどであり、短距離弾道ミサイルも支援する可能性があると軍は評価しています。（⚠︎各国軍事機関は、状態を「評価」とよく表現します）
一方、軍関係者は、武器支援と引き換えに北朝鮮がロシアから衛星技術と核関連技術移転・協力、戦闘機または関連部品、防空システム、略奪した西側の武器・装備などを支援されている可能性があると述べています。
そして、こうした北露間の軍事協力は国連安保理決議の明らかな違反だと非難しています。