人民解放軍による気球軍事利用の様子

 

 

 

 

 

中国の気球兵器についてご紹介

2023.2.20

· China News

⇧中国の軍事気球 JY-400係留偵察気球

最近お騒がせの中国気球事件ですが、中国は気球をこれまでどの様に活用してきたかご存じでしょうか?

自国民の監視に活躍していた中国の気球

2,014年に新疆ウイグル自治区西部地域の人々を監視する為「魔法の風船」が活躍したと中国国家国防科学技術産業局から発表されています。

気になる表記としては大気中の有毒ガスの垂直分布特性の科学的データを提供する事ができるという部分。

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こちらは新疆チューリップ祭りで活用された時の様子。

新疆生産建設兵団が管理する新疆チューリップ フェスティバルの現場では、多くの観光客は公園に入る前に白い風船が空に浮いているのが見えます。

これは、中国電子技術集団公司(以下、CETC)で製造された最新のエアロスタット(気球)です。

180万本のチューリップを2週間かけて見張り終わったのち、空中に張り巡らされた「天網」を兵団は回収しました。 この強力な「空の目」によって、今年の新疆チューリップ祭りの警備は上空からの視点で監視が可能となり、地上のすべての目標を明確に把握できただけでなく監視作業の多くを節約する事ができました。」と報道されています。

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CETCはこの気球を「安防天眼(天空の眼)」と呼んでおり、カタログによると監視気球は「全天候型、視野角が広い、カバー範囲が広い、機動性が高いなどの特徴があり、広い範囲を監視できる。このシステムは上海民間防衛局の指揮所とタイムリーに情報を共有する事ができ、万博の地上監視と空中監視をシームレスに接続する事ができる」と説明されています。

何故 「安防天眼(天空の眼)」なのかというと、ハイビジョン可視カメラ、赤外線カメラ、ガス濃度検知器を搭載し、地上にいる来場者、車両、建物、自然景観の環境状態を24時間365日、360度監視し、要所の動きをよく把握出来るからとの事。

半径10km圏内の定点パノラマスキャンを可能にした事が最も重要なポイントで、 異常が見つかれば、そのエリアを特別に拡大して監視し、あらゆる画像情報を地上の指揮統制センターにフィードする事もできる。

この「安防天眼(天空の眼)」は、ガス濃度検出器を搭載し、二酸化炭素や硫黄などのガス成分の検出とデータ収集、大気中の有毒ガスの垂直分布特性の研究のための科学的データを提供する事ができ、早期警報が可能になる。

CETC によって製造された別の気球「魔法の気球」は、国家経済発展の他の多くの分野でも幅広く応用できる見込みがある。

「魔法の気球」は警察システムの新型装備として、国境や税関などの重要区域の長時間定点監視を実現し、密輸、密輸入、麻薬取引などの犯罪行為を監視する事ができる。

また、通信基地局を搭載すれば24時間、信号を提供でき、緊急連絡、緊急指令、ライブTVを行う事ができる。

この様に国内で人民の監視用として活用されてきましたが、そこで培ったノウハウを日本やアメリカで使用しているのでしょうか?

次は中国軍での気球の活用について見てみましょう。

2021年12月24日(金)のものです。

气球:战场有妙用(気球:戦場で大活躍)

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第13回中国国際航空宇宙博覧会では、JY-400系留气球偵察・監視システムおよび各種新型気球装備が公開され、多くの軍事ファンの関心を集めました。

SZ200观光系留气球

米国の戦略偵察機「グローバルホーク」でさえ、1回のミッションで20時間程度しか運行出来ませんが、気球は1週間から1カ月以上、目標地域の上空に滞在する事ができます。

最近、継続的な空中監視を維持する事が緊急の課題となっており、 早期警戒機や人工衛星でもこの目的に使用できますが、フルタイム、フルレンジの空中監視を実現する事はそれらでは困難です。

(気球以外では現場に張り付けないって意味合いですね)

気球はレーダーや光学センサーなどを搭載する事で、広角と高解像度の効果的な組み合わせを構成でき、特に広いミッションエリアを監視することができ、効果的に偵察範囲を広げ、脅威や紛争を察知する対応能力を高め、低空や地上目標を広範囲にカバーする強力な「空の目」の役割を果たす事ができます。

優れた汎用性があり、 気球の移動展開能力は周囲の環境条件にほとんど影響されません。 垂直離着陸機能を持ち、固定サイトがなく、展開場所への適応性が高く、オペレーターの数や技術レベルの要件も厳しくなく、迅速に輸送して指定エリアに展開し、タスクを実行する事ができます。

関連技術の発展に伴い、気球プラットフォームは大気の成層圏に展開する能力を持っており、ある程度はその継続的で安定した任務を確保する事ができます。

気球というと数発の銃弾で爆発し、破壊されるという様なイメージがありますが、しかし 実は気球はそれほど壊れやすいものではありません。 気球の中身は熱風と水素から、ヘリウムへと進化しています。 ヘリウムは密度が低い為、自然発火も可燃性もない不活性ガスであり、小口径の銃弾で切られても簡単に破れない強靭な素材。 その為、燃料を燃焼させる装置に比べて、攻撃を受けても爆発する可能性が非常に低いのです。 一方、現在の多くの気球の内部ガス室は、区画化されていて、 この為、個々のガス室が漏れたとしても、一定時間ミッションが継続できるようになっているのです。

高い費用対効果。

気球は航空機と比較して調達や維持が非常に安価であり、過剰な燃料供給や機械的支援を必要としません。 同時に、現代の気球は再利用可能であり、需要に応じていつでもリサイクル、アップグレード、改良、交換が可能です。 ロシアの軍事専門家によると、2017年にロシア国防省が完成させた多機能気球「ペレスヴェ」を搭載した航空通信システムのように、気球1台の経済価値は数十台の地上通信中継局にすら匹敵するといいます。

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多機能で、現代戦や準軍事作戦で顕著な役割

効果的な戦闘支援として気球は現在、戦闘やその他の準軍事活動において、多くの不可欠な役割を担っています。

2019年、米軍は実験的な高高度気球を使って中西部の6つの州で大規模な監視実験を行い、麻薬密売車やボートを追跡・監視する計画を行い、目的は "麻薬密売と国土安全保障上の脅威を突き止め、防止する為の持続的監視システムを構築する事でした。

2017年、ハリケーン・マリアがプエルトリコを襲った後、米国企業は成層圏通信気球プラットフォームを通じて10万人以上に緊急インターネットアクセスを提供。2020年には、この成層圏高高度プラットフォーム技術の詳細を記したホワイトペーパーを発表しています。 当然の事ながら、この技術は軍事作戦にも応用できるのです。

誘導打撃が可能。

気球を「母機」として爆撃を行う事も出来るかもしれない。

情報によると、米軍は成層圏の気球を使って大量の小型RFセンサーを敵陣の背後に送り、電波やWiFiなどの電子信号で状況把握や照準に利用し、より正確な標的攻撃を行う計画を立てているようです。

未来の戦場を勝ち抜く為に、精力的な変革を目指す

現在、新素材、新エネルギー、情報ネットワーク、人工知能など、関連する専門分野の理論革新と技術出現に伴い、気球プラットフォームは新たなトレンドに向かって加速しています。

気球プラットフォームシステムは超大型と超小型の2つの方向に拡大し、異なる運用ニーズに対応するようになっている。

超大型気球は主に防衛分野の戦略的な用途に使用され、高性能、多機能などの技術研究に重点が置かれています。 1960年代、米国のある企業は米海軍の為にZPG-3Wタイプの空中早期警戒ソフト飛行船を製造し、胴体の長さは150メートル以上、体積は4万立方メートル以上で、「エアガーゴイル」と呼ばれた。

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現有設備では、ロシアの会社が開発した「ジャガー」第4世代防空早期警戒テザーバルーンシステム、体積も2000立方メートル以上がある。

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気球のステルス性

気球は肉眼で見え、ゆっくりと動き、捕捉・迎撃しやすいという印象があります。 しかし、これは事実ではありません。

気球は地球の曲率や地形の障害物を隠れ蓑にできる為、人工衛星やレーダーなどの探知機器による発見や捕捉が間に合わないのです。 多くの国や軍の研究により、実験用の成層圏気球は、敵の防空システムに発見されにくい、あるいはUFOと間違われやすい、実行可能で有能な空中兵器の代替品として出現している事が分かっています。

将来、気球プラットフォームは、深海の潜水艦のような恐ろしいステルスキラーになるかもしれません。

最新の技術による任務遂行における精密さ。

今日、正確に戦闘ミッションを遂行する為に気球に様々な技術が用いられています。

リモートセンシング(気球人工衛星や航空機などのプラットホームに搭載したリモートセンサを用いて地表や海面から放射あるいは反射される電磁波を収集し、これを画像データ処理すること)、赤外線、マイクロ波、レーザー、人工知能技術の有機的埋め込み、シナリオベースのリリーステストが任務を遂行する気球に重要な技術支援を提供する。

この様に、人民解放軍は気球を長距離精密攻撃の為の照準情報の提供などに活用したい様です。