日本と中国の両政府が脱炭素やESG を共同で推進する事の危険性

 

 

日中が脱炭素を共同で推進するプロジェクトで17件合意

· China News,特集
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世界最大の温室効果ガス排出国とどうやって持続可能するんですか?

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この件については先日Twitterで西村大臣に直接苦言を呈させて頂きましたが・・・・

日本政府や日本の大企業が中国側のどの様な相手と今後脱炭素・ESGを行おうとしているのか確認した所、思ったよりも酷い内容だったのでご報告致します。

※日本政府や経団連が「日中省エネルギー・環境総合フォーラム」で合意をした中国側組織・企業にはウイグルジェノサイドに加担が疑われる組織や、知的財産を活用した軍民融合戦略を推進している組織が含まれます

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西村大臣は中国共産党とESGや脱炭素で協定を結び、一つになって行く事をむしろ推進しておられるように見え、その危険性を理解していないのではないかと思われます。

第16回 日中省エネルギー・環境総合フォーラムで何を合意したの?

2023年2月11日(土曜日)、日本と中国の両政府によって環境やエネルギー分野での協力を話し合うフォーラムが開催され、17の合意文書が調印されました。

東京と北京をオンラインで繋いで開催し、日本側から西村経産大臣、宗岡日中経済協会会長他、中国側から習近平の最も重要な側近の1人で、親友でもある何立峰国家発展改革委員会主任(中国共産党中央委員会政治局員)、李飛商務部部長助理商務部党指導グループのメンバー)など、約870名の日中両国の官民関係者が参加。

習近平は側近を送り込んできていますので、力の入れようが垣間見えます。何立峰氏⇩

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今回のフォーラムでは次世代エネルギーの水素省エネなど脱炭素分野における技術協力や人材育成を進める為、企業や研究機関などが17の合意文書に調印。日中省エネルギー・環境総合フォーラムで披露されてきた協力案件は2006年の第1回からの累計で430件にもなったとの事です。

西村大臣はグリーントランスフォーメーション(GX)に向けた日本の取組について紹介し「日中両国の連携は、世界全体のカーボンニュートラルにも大いに貢献する」表明。

全体会合に続き、「エネルギー効率の向上(省エネ)」、「自動車の電動化・スマート化」、「水素」、「日中長期貿易(水環境対応と汚泥処理)」の4つの分科会を開催し、日中双方の政府部門・主要企業等が意見交換を行っています。

日本の経産省はこの様に発表していました。

この事は中国共産党新聞でも取り上げられています。伝えられ方が日本と違うのでシッカリ確認しておきましょう。

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第16回日中省エネルギー・環境保護総合フォーラムでは中国共産党中央委員会政治局委員、国家発展改革委員会主席の何立峰がメインフォーラムに出席し、基調演説を行った。

今回のフォーラムは、習近平国家主席と岸田文雄首相のバンコク会談の合意デジタル経済、グリーン発展、財政・金融、医療・高齢者ケア、産業チェーンとサプライチェーンでの日中協力強化)を実行し、グリーン開発に関する中日協力を強化する為の重要なイニシアティブである。

中国共産党第20回全国代表大会の精神に基づき、 中国は日本と共に、グリーン・低炭素産業協力、技術協力、政策対話、人文交流を引き続き深め、両国のグリーン開発協力が新たな段階に達するよう推進する事を希望する。

中国と気軽に何か合意をするのは危険ですが、この話は以前岸田首相が習近平と約束したバンコク会談がベースになっていました。

日本が17の合意文書で調印した相手はどんな中国機関や組織なんでしょうか?

こちらは経産省が発表した 新規調印案件一覧です

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①カーボンピークアウト・カーボンニュートラルに向けた省エネルギー・環境分野における協力の深化に係る覚書 について

中国側:中華人民共和国国家発展改革委員会 (習近平腹心の何立峰氏が書記

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国家発展改革委員会は国務院の管轄で、小さな国務院と呼ばれている部門です。

国家経済発展戦略、中長期計画、年次計画の策定と実施を行っており、外資・海外投資の活用に向けた戦略も作ります。「一帯一路」構想の推進を主導しているのがここです。

最近、国家発展改革委員会は脱炭素のために139兆元(2680兆円程度)以上の資金が必要であると試算し、カーボンニュートラルへの移行を計画的に進めるには、中国国内への相当額の投資が必要だと騒いでおり、外国投資を引き付けようとしています。

これに今回まんまと乗せられた形かもしれません。

※参考 グローバルタイムズ(中国国営メディア環球時報)もESGでの日中友好を煽っています
中国、日本とのグリーン協力に新たな段階へ:政府関係者

また、国家発展改革委員会はウイグル強制労働を監督している新疆生産建設兵団に作業を行わせる立場の組織です。

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例:国家発展改革委員会とその他の部門が共同で発表した「サービス業分野の困難な産業の回復と発展の促進に関するいくつかの政策」(発展改革委員会等第271号)に沿って、新疆生産建設兵団は政策と措置を精選し「兵団のサービス業分野の困難な産業の回復と発展の促進に関するいくつかの政策の実施計画」を発表しています。

 

経産省は知らず知らずの内にウイグルジェノサイドに加担する事になるかもしれません。なんせ、新疆ウイグル自治区は中国がいう脱炭素の為の太陽光発電パネルの原材料の最大の生産地なのですから。

 

参考:太陽光発電のサプライチェーンにおける新疆を拠点とするメーカーについて、調査結果が詳細に書かれているレポート「ウイグル人強制労働と世界の太陽光発電サプライチェーン

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中華人民共和国(PRC)は、新疆ウイグル自治区のウイグル人とカザフ人の原住民を、政府が「余剰労働」(富劳动力)と「労働移転」(劳动力转移)プログラムと呼ぶものに何百万人も配置している。

2020年11月に発表された中国政府の公式報告書には、このような国家主導の「余剰労働」「労働移転」計画によって、260万人の少数民族の市民がウイグル地域内と全国の農場や工場で「就職」した事実が記されている。

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政府は、これらのプログラムは中国の法律に従っており、少数民族の労働者は貧困を緩和する為に政府が支援する協調的な努力の元で自発的に従事していると主張している。

しかし、政府や企業の情報源から集められた重要な証拠から、労働移転は、再教育と抑留という絶え間ない脅威に支えられた、前例のない強制的な環境の中でウイグル地域で展開されている事が明らかになった。

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多くの少数民族労働者はこれらの仕事を拒否したり、立ち去る事ができない。

したがって、このプログラムは人口の強制移送と奴隷化に等しいものである。

このような強制労働体制の結果として生産されている特定の商品を検証する事は非常に重要である。

そうした産業の一つである太陽エネルギー産業では、ウイグル地域での強制労働がサプライチェーン全体に浸透し、国際市場の奥深くまで根付いている。

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太陽電池産業がウイグル地域での強制労働に対して特に脆弱であると結論付けられている。 ソーラーモジュールの95%は、ソーラーグレードのポリシリコンという一次材料に依存しています。ウイグル地域のポリシリコンメーカーは、世界のソーラーグレード・ポリシリコン供給の約45%を占めている。

これを管轄している組織の1つが国家発展改革委員会と言えるでしょう。中国の言う脱炭素の為には新疆ウイグル自治区の労働力が欠かせない。

おまけに、国家発展改革委員会はオーストラリアにサイレントインベージョンを行った際に、最初に一帯一路契約を結んだ経済侵略の先兵でした。

以前、ビクトリア州の知事が一帯一路のプロジェクトで中国と新たな契約を結びましたが、きっかけは知事が中国の国家発展改革委員会と、インフラ、イノベーション、貿易の発展と市場アクセスに焦点を当てた協定に署名した事でした。

②新エネルギー及び省エネルギー・環境保護分野における経済・貿易交流と協力の促進に関する一般財団法人日中経済協会と深圳市人民政府との覚書

日本側:一般財団法人日中経済協会

中国側:深圳市人民政府

こちらの深圳市人民政府とESGや脱炭素での経済貿易交流で覚書を交わした日中経済協会の名誉会長経団連の会長でもある十倉 雅和氏です。

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経団連では抑えているようですが、ここで日中国交正常化50周年記念特設ページまで作り張り切って中国ビジネスをしています。

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中国との脱炭素・ESGビジネスを経産省と共に展開したいようなので注意が必要です。

日中経済協会はこの世界情勢の中、激しく中国と一緒に動いており、ハイペースでイベントを開催しています。

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③MUFG バンク(中国)と国家級経済技術開発区グリーン発展連盟によるグリーン低炭素経済発展分野の協力強化に関する基本合意書の締結

日本側:MUFG バンク(中国)有限公司

中国側:国家級経済技術開発区グリーン発展連盟

【三菱UFJ銀行】MUFG バンク(中国)は、三菱UFJ銀行の全額出資子会社ですが、2020年度に総額50億元(1000億円弱)の「グリーンクレジットファンド」を設立した力の入れよう。

MUFGが今回脱炭素で合意を締結した国家経済技術開発区グリーン開発同盟も国家発展改革委員会と同じく、ウイグルジェノサイドや強制労働をウイグル人に強制して米国から制裁を受けている新疆生产建设兵团や新彊ウイグル自治区商務部とも連携しビジネスを展開している部門です。

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なんと台湾まで省としてこの同盟に参加させるつもりの様で、台湾の項目も用意されています。

ここと覚書を交わしてESGや脱炭素をMUFG(中国)は行いますが、それを西村大臣はこのまま推進するのでしょうか?最悪、米国から制裁を受ける可能性もあると思いますよ。

④日中カーボンニュートラルと新エネルギー・環境分野における技術協力プラットフォーム構築に関する事業提携合意書

中国側:中国国際科技促進会 知的財産権工作委員会

これも冗談みたいな話で、他国から知的財産を盗んで全世界から警戒されている中国の知的財産部門である知的財産工作委員会と技術協力プラットフォームを構築するんですって。

中国の知的財産権工作委員会も国務院管轄ですが、国務院は「知的財産開発の分野における軍民統合の促進」なるものを推進しています。

以前国務院が発表した資料には「国家軍民融合発展戦略、知的財産権戦略の実施により軍民融合の為の知的財産権の発展を制限する制度的障壁を打破し、知的財産権の軍民融合を深化させ、国防建設と経済発展を行う」とあります。

つまり、環境分野といえども日本側の技術も有用なものは軍民融合規則により、軍事転用される可能性があります。

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五葉共創株式会社 さんは「日本の技術力を海外へ」「日本の匠を世界へ」というコンセプトの日中コンサルタントをメイン事業とされている様ですので、中国に紹介する企業がどの様な技術を持っているかがポイントですね。

中国企業は知的財産の窃盗によって、しばしばコストのかかる研究開発段階をすっとばし、世界の競合企業の価格を下回る商品の生産に多くの費用をかける事ができました。

これに合わせて補助金や税控除が中国の世界戦略企業には行われます。

中国の政策は、欧米企業や日本企業から技術を引き出し、補助金と非関税障壁を利用して国家チャンピオン企業を作り、これらのチャンピオンの為に保護された国内市場を作り、彼らが世界的に競争する際に優位に立つ事だと以前から指摘がなされています。

知的財産を取得後、中国政府の補助金と規制によって中国企業が外国企業を犠牲にして世界市場でシェアを確保するのを助けます。

ESG分野で言うと、スペインの風力発電メーカーGamesaは中国の国内メーカーを使って部品を製造するよう求められ応じたが、数年で同じメーカーは国内メーカーの部品を製造し、有利な融資と支援によってすぐにGamesaを追い越したと言われています。

他にもありますがここまでにします。この様な状態の組織と今回提携したわけです。

中国との関係は、特に強制労働、環境政策、人権の観点からESGにどのような影響を与えるのでしょうか?

ESGを謳う企業はネット・ゼロ目標(地球の気温上昇を、産業革命以前と比べ1.5℃以内に抑え、炭素排出量を2050年までにネットゼロにする事)を宣伝していますが、多くの企業は炭素排出量の多い企業に投資したり、直接または間接的にウイグル強制労働等からの恩恵を受けていたり、中国共産党と密接に関連したり、共謀したりして欺瞞に満ちています。

ESGを推進する為に世界最大の二酸化炭素排出量を誇る中国の脱炭素プロジェクトに依存し、環境や人権を無視できる中国での太陽光パネルの生産などを加速させることによって、更なる地球環境破壊を自ら推進しているようなものです。

とんでもなく間抜けですが、お気づきにならないのでしょうか。。。

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これは、特にエネルギーと金融の業界において顕著です。EV材料やソーラーパネルの精製・生産には、見てきたように依然として問題があります。

北京の支配を脱するには時間がかかるが、国際社会は中国の強制労働に関わる企業の生産ラインの深さを部分的に理解し始めたに過ぎず、絶え間ない中国依存からの努力が問われています。

あらゆるリスク(組織的な検閲、監視追跡、その他民主主義や人権に対する攻撃、知的財産・技術盗難)があるにも関わらず、世界最大の投資会社は依然として中国と癒着。中には中国の資産へのエクスポージャーを3倍に増やす計画を立てているところもあり、中国経済への大幅な投資還流を促す事は間違いなく、また、中国を拠点とする投資信託の発行を開始した企業もあるのです。

中国による人権も不法行為も環境破壊も分かっているのに、表面だけ綺麗な脱炭素という名目で誤魔化し、自らの利益を追求しているに過ぎません。

このような道徳的不平等が、本来のESGを破壊します。ESG投資が正当なものである為には、地政学的な懸念、民主主義、人権を取り入れる必要がありますね。

中国による地球環境破壊について、以前ホワイトハウス自体がこの様な声明を出しています。

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中国の環境破壊

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コチラはTrump政権下で出された声明で今でも残っています。

中国は何百万トンものプラスチックやゴミを海に捨て、他国の海を乱獲し、広大な珊瑚礁を破壊し、世界のどの国よりも有毒物質を大気中に放出しています。

ドナルド・J・トランプ
アメリカ合衆国大統領

中華人民共和国は世界最大の温室効果ガス排出国であり、最大の海洋ゴミの発生源であり、違法、無規制(IUU)漁業を行い、世界最大の野生動物と木材製品の密売の消費国である。

中国国民がその行動による最悪の環境影響を被っている一方で、北京は持続不可能な天然資源の搾取と、一帯一路構想による環境破壊を輸出する事によって、世界経済と世界の健康を脅かしているのです。 悲惨な事に、中国共産党は市民社会と報道の自由を抑圧し、自国民と世界中の人々に利益を齎すであろう変化を遅らせている。

国際的な環境改善においてリーダーシップを主張する中国は、言葉とは裏腹に二酸化炭素(CO2)排出量を増加させています。 2006年以来、世界最大の温室効果ガス排出国となっている。

中国の温室効果ガスの総排出量は、米国の2倍であり、世界の総排出量の3分の1近くを占めている。 北京の温室効果ガス総排出量は2005年から2019年の間に80%以上増加し 、米国の温室効果ガス総排出量は15%以上減少している。

2019年だけで、中国のエネルギー関連のCO2排出量は3%以上増加し、米国は2%減少した。 北京は、温室効果ガス排出量削減の責任を負わないようにする為に「発展途上国」の地位を主張していますが、中国の一人当たりのCO2排出量はすでに多くの高所得国の水準に達しています。

中国の排出量増加は、世界の多くの国々の排出量削減の歩みに逆行している。

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結論

日本が中国との脱炭素詐欺に加担するのは論外。またウイグルジェノサイドや知的財産盗難、軍民融合にまでに加担する事になるからです。