今まで中国に依存していた米国の製薬会社が中国のサプライヤーと決別を進めています

 

外国人企業の社員を中国政府が中国本土でむやみに拘束する等、地政学的な影響が大きい様です

Photo Volodymyr Hryshchenko

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中国での医薬品製造や原材料を他国に切り替えるのは薬価の上昇と販売開始の遅れに繋がりますが、それでも安全上の理由で移転を進めている様です。

中国のサプライチェーンから離脱しようとしている製薬会社には、今週中国現地法人の社長が中国政府に拘束されたと報道されているアストラゼネカのような大手製薬会社や、ニュージャージー州のアミカス・セラピューティクスのような中小バイオテクノロジー企業が含まれるそうです。 アミカス・セラピューティクスは、希少疾患治療薬の原料を供給する外国企業を探し中国から離れようとしています。

2022年末、食品医薬品局(FDA) ポンペ病と呼ばれる希少遺伝性疾患の新薬の審査を延期しました。FDAの検査官が、その薬が製造される予定だった中国の施設を訪問できなかった為です。米国政府が中国本土の製薬会社の危険性を認識し、監視を強化しているからです。

アミカス・セラピューティクス株価

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バイオ医薬品会社カイメラ・セラピューティクス社【KYMR】のネロ・マイノルフィCEOは中国国営チャイナ・デイリー紙に対し、「うちは一国または数カ国に依存するリスクを減らす為の選択をしている」と話しています。 マサチューセッツ州に本社を置く同社は、がんや免疫系の治療薬を開発しており、製造は中国企業に依存しているが、ヨーロッパ、インド、アメリカでの製造も増やしているそうです。

カイメラチャート⇩

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中国政府と日本や米国など西側諸国との関係の悪化、中国政府による中国国内の外国企業や中国の民間企業に対する強硬な取り締まり、外国人幹部の恣意的な拘束などが、サプライチェーンのシフトに繋がっています。

更に、最近整備されつつある米国のバイオセキュア法は、医薬品メーカーが中国のパートナーから離反する大きな要因となっている様子。

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ライフサイエンス振興財団によると、この法案が成立すれば、新薬開発やコスト面における米国製薬企業への影響は大きく、中国市場関係者によると、仮に中国にバイオ医薬品の製造委託をできなくなれば、製薬コストは2倍以上に膨らむとの事。そしてそのしわ寄せは患者に及びかねないと言われています。それでもやらねばなりませんが。

なお当然ながら、同法案は中国側にとっても大打撃となります。

今年7月、L.E.K.コンサルティング(1983年にロンドンで設立され、世界10ヶ国以上に20拠点を展開するグローバル戦略コンサルティングファーム)の調査によると、米国のライフサイエンス企業の間では、中国企業との取引に対する信頼が約30〜50%低下している事が判明しています。 調査対象となったライフサイエンス企業73社のうち、すでに26%が中国企業の排除を検討していると回答しました。

米国BIOSECURE法が導入された後、中国企業と提供したい米国製薬会社は減少する見込み⇩

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こうした動きに合わせてか、一部の日本の製薬会社も原薬製造を30年ぶりに国内回帰させ中国依存脱却を図っています。