在ロシア日本大使館が「福島原発処理水に問題は無い」としたロシア側の報告書の内容を確認し、NHKがこの件を報道しています。
8月30日付けで公開されたのは、ウラジオストックにあるロシアの国立研究機関、ロシア科学アカデミー極東支部太平洋海洋学研究所の報告書です。福島原発処理水の海への放出を受けて日本周辺の海水を調査した結果、海水に含まれる放射性物質の量は基準値を大幅に下回っていた事が判明、その結果を公表しました。
海水に含まれるトリチウムは平均で1リットルあたりおよそ0.12ベクレルで、ロシアの安全基準の7700ベクレルを大幅に下回り「懸念すべきレベルではない」とし、日本周辺の魚介類についても「何の疑いもなく食べられる。心配する根拠はいまのところない」と指摘したとNHKは報道しました。
本当なのでしょうか?少し前までロシアは狂ったように騒いでいましたから俄かに信じられない話です。
去年まではこんな事言ってたのに、、という事で、今回のロシア科学アカデミー極東支部自体の発表内容を確認してみましょう。
こちらがロシア科学アカデミー極東支部の8月30日の福島処理水レポートです。
福島処理水を恐れるべきでしょうか?答えはNo。福島処理水は安全で、魚介類も安全です。
福島処理水は危険かというと、答えはノー、いや、もっと慎重には、まだノーです。
しかし、魚介類は何の疑いもなく食べることができます。
太平洋海洋研究所の原子力海洋学研究室が2022年から2024年にかけて実施した、日本以東を含む極東海域の放射線生態学的状態の研究によれば、海水中のトリチウム含有量は脅威となるレベルではありません。
放射線安全基準が7700(ロシア)~10000(WHO)Bq/L(または64.2~83.3千TE)であるのに対し、福島処理水影響海域の状態は自然な状態に近く、0.12Bq/Lでしかありませんでした。
現在海洋で記録されている平均トリチウム含有量は、許容基準の数万分の1である。したがって、警戒する必要はない。
ロシア科学アカデミーの調査の結果、福島原発から排水が始まって以降のトリチウム含有量には変化がありませんでした。
ロシア科学アカデミーによる2022年12月~2023年9月にかけてのトリチウム残留量マップ。数値はトリチウム含有量。
2024年6月から7月にかけてのトリチウム残留量。数値はトリチウム含有量(トリチウム単位)
サハリン大学・セバストポリ大学・極東大学・サンクトペテルブルク大学もこの調査に同行し協力しているそうです。
これ以上の細かい内容は専門的な内容になりますのでここで細かくは書きませんが、興味ある方はリンクから読まれてください。
しっかりとした研究です。
興味深い指摘ポイントとしては
・現在、福島原発に蓄積されている使用済み水のトリチウム濃度は、公表されている限りでは約80万Bq/リットルである。これらは海に放出される前に1,000Bq/リットルに下がるように海水で希釈される。いったん海に流された「福島の水」は、さらに希釈される。放流地点でのトリチウムモニタリングに関する最近の報告によると、放流地点から200メートル離れた地点では、トリチウム濃度は10Bq/リットルという低濃度であった。
・中国の原発は福島原発と比較にならないレベルの量の原発処理水を排出している事も指摘。福島原発から放出される予定のトリチウムの量は年間22兆Bqである。一方、南シナ海と東シナ海沿岸に位置する中国の4つの原発は、年間400兆Bq以上のトリチウムを海洋環境に放出している。
NHKの報道内容は事実です。ロシア科学アカデミーは明確に福島処理水に問題ないと発表しています。
ロシアについては色々と問題がありますが、これについては素晴らしい発表です。
この件はロシア政府の科学およびビジネスのポータル「Atomic Energy 2.0」で発表されています。Atomic Energy 2.0はロシア連邦、CIS 諸国、ユーラシアの原子力産業において最大かつ最もアクセス数の多い独立系専門メディアであり、2008 年以来、多くの科学、産業、ビジネス、政府、教育、公共、環境関連の組織と提携しているメディアです。
今回の発表は、今後ロシア国内世論・ロシアと親しい周辺国に福島処理水が全く問題ないと認知してもらう為に機能すると思われます。中国政府と韓国左派、日本の社民党や共産、れいわ等には衝撃でしょうが、彼等は自分達が拡散したデマを認め、風評被害を世界に広めて申し訳ありませんでしたと日本の漁師、特に福島の人達に謝罪すべきです。