ベルギーのブリュッセルで開催された2日間のNATO外相会合で、林外相は中国が軍事的なプレゼンスを強めているインド太平洋地域において、NATO加盟国が関与を高める事を歓迎すると述べています。
また、ロシアのウクライナ侵攻によって悪化した不安定な世界安全保障環境の中で、大西洋横断同盟との日本の協力を強化する事を約束しました。
林外相は、日本の故・安倍元首相が広めた「自由で開かれたインド太平洋」の実現という目標は、日本だけでは達成できないと述べた。
日本が今年のG7議長国を務めるにあたり、国際法の尊重に基づく世界秩序を強化・維持する為の国際的な取り組みをリードしていきたいとも発言しています。
日本とNATOは、サイバー空間、宇宙、偽情報などの領域での協力を強化する「Individually Tailored Partnership Programme」の改訂に取り組んでいます。
NATO事務総長の林外相への挨拶
林大臣、NATO本部へようこそ。またお会いできて嬉しいです。私達はつい数週間前に東京でお会いしましたが、ここNATO本部で皆様をお迎えできる事を大変嬉しく、光栄に思います。
その為、私達は政治的対話、実務的な協力など、私達のパートナーシップに心から感謝していますし、私達が共に行う事を更に拡大するこの機会を歓迎します。
私達は、より危険で予測不可能な世界において、安全保障は地域的なものではなく、世界的なものである事をはっきりと理解しています。ヨーロッパで起こることはアジアやインド太平洋地域にとって重要であり、アジアやインド太平洋地域で起こることはヨーロッパにとって重要なのです。
また、欧州で起こった事はアジアでも起こりうるということも、ウクライナで起こっている戦争に見られるように、岸田首相も非常に明確に述べています。
何故なら、権威主義的な指導者プーチン大統領がウクライナで行っているように、軍事力を行使し、国際法に違反すれば、自分達の望むものが手に入るという教訓を引き出さないようにしなければならないからです。
ですから私は、日本政府がウクライナへの違法な侵攻を非難する明確なメッセージを発表し、NATOのウクライナ支援策を財政的に支援したこと、そしてもちろん、首相が最近キエフを訪問したことも歓迎しています。これらのことは、安全保障が相互にリンクしていることを示しています。
私達は現在、インド太平洋地域のパートナーである日本、韓国、ニュージーランド、オーストラリアとの協力を強化しています。私たちは、今日、あなたがここにいること、明日の会議に参加すること、そして、今年7月にヴィリニュスで開催されるNATOサミットに、日本を含むインド太平洋地域のパートナー国の首脳を招待したことを歓迎します。
また、NATOに専任の外交団を開設することを決定したことも、もちろん大いに歓迎します。
これらはすべて、私達が高く評価しているパートナーシップのさらなる強化に向けた道筋の重要な一歩です。
もう一度、心から歓迎いたします。