シリアのアサド政権崩壊、反体制派がダマスカス掌握 

アサド大統領が息子達とともに殺害されたとの報道も出ています

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Omar Ramadan

· Middle East,Daily News,【最新ニュース】

ここでは現在出ているシリアの情報について報告します。

・アサド大統領の自宅の様子をアル・アラビーヤが取材しています。

 

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アサド大統領が息子達とともに殺害された模様、ダマスカスを出た後に飛行機が墜落した可能性。

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シリアのアサド大統領を乗せたと思われる航空機が反体制派が首都を制圧した頃、ダマスカス空港を離陸しました。しかし、飛行中にレーダーから消失。Flightradar24は、ホムス近郊で消息を絶ったシリア航空機を追跡していました。

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未確認の報告によると、アサド大統領はこの飛行機に搭乗していた可能性があります。

フライトデータは、失踪前の急激な高度低下を示していました。

アサド大統領がダマスカスから脱出する際に搭乗したとされる飛行機が墜落または撃墜された可能性があるとの報道を受け、アサド大統領の運命をめぐって様々な憶測が飛び交っています。

オンライン・トラッカーFlightradar24.comのオープンソースデータによると、反体制派が首都の支配を主張した頃、シリア航空の航空機がダマスカス空港を離陸。航空機はイリューシンIl-76Tで、当初はシリアの沿岸地域に向かっていました。

しかし、ホムス市近郊でレーダーから消えるまでの数分間、突然コースを反転し、反対方向に飛行。

飛行データによれば、ジェット機は姿を消すまでの数分間で、高度3,650メートルから1,070メートルまで急降下しており、反体制派が支配するホムスを横切った際に狙われたのではないかという憶測を呼んでいます。

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搭乗者の身元は明らかにされていませんがシリア情報筋はロイター通信に、アサド大統領がこの事故で殺害された可能性は「非常に高い」と語っています。

「レーダーから消え、おそらくトランスポンダーのスイッチが切られたのだろうが、それよりも航空機が墜落した可能性の方が高いと思う」

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エジプト人ジャーナリストのハレド・マフムードは「墜落は意図的なものだ」とツイートし、その理由として急速に高度が落ちた事を挙げています。

「アル・アサドを乗せたと思われる航空機の3Dフライトレーダーデータは、墜落したことを示している。シリア航空のIL-76は突然高度を下げ、撃墜されたようだ」とXに投稿。

この飛行機はアサドの安全な避難場所とされている、ロシアのラタキアにある空軍基地に向かっていたとの見方もあります。ロシア軍によって管理されているこの基地は、長くアサド政権にとって重要な拠点として機能し、反体制派が占領していない数少ない都市のひとつです。

 

・ロシア国営タス通信は「アサドは生きていてモスクワに到着した」と報道

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クレムリン関係者がタス通信に語ったとされており、元シリア大統領アサドはモスクワに滞在し、ロシアに亡命していると報道がありました。

BBCはロシア飛行機が昨日シリアを離陸し、その後トランスポンダーの電源を切ってロシアに向かっていたがアサドを乗せていた可能性があると報道。

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ロシアは報道で情報操作を繰り返していますので、現時点ではアサドの生死は不明です。生きていればロシアでの姿が報道されるでしょう。

 

シリア国営テレビがバシャール・アル・アサド政権崩壊と「シリア大革命の勝利」を発表

12月8日日曜日、反体制派が日曜日朝にアサド打倒を発表した後、シリア国営テレビは「大シリア革命の勝利」というフレーズを放送し、国民と戦闘員に治安維持を呼び掛けました。

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・アサド政権のバックだったロシアはアサド政権崩壊で手痛いダメージを受ける事になります

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プーチンは四半世紀前、混乱したソビエト連邦後のロシアで権力の座に就くと、直ちにモスクワのグローバル・パワーとしての地位回復に着手しました。

15年の歳月を要したがロシアはシリア内戦への軍事介入をした事で、侮れない力を取り戻した証しとして国際舞台でその姿を誇示しました。

モスクワはそのイメージを武器に、西側諸国への対抗勢力として中東全域に影響力を拡大。

そして今、モスクワの重要な同盟国であったシリアのアサド政権の崩壊は、ロシアの大国への野心に深刻な打撃を与えました。

アサド政権の存在は、ロシアが大国であり、海外に影響力を行使できることを示す為に機能していましたので、プーチンにとって大きな痛手です。アサドの失脚は、ロシアにとって評判を落とすだけでなく、戦略的にも大きな後退となる可能性が高い。

シリアには、フメイミム空軍基地とタルトゥス海軍基地という、ロシアの2大軍事施設があります。タルトゥス海軍基地はロシア唯一の暖海海軍基地であり、モスクワに地中海へのアクセスを提供している基地です。つまりこれを失う事になります。

フメイミム空軍基地⇩

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タルトゥス海軍基地⇩

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ロシアはシリアの基地を利用して、地中海東部と中東全域に勢力を拡大してきました。

2015年のロシアのシリアへの軍事介入は、戦争の流れを変えました。反体制派の陣地に対するモスクワの壊滅的な空爆作戦は、シリア軍の領土回復とアサド政権の維持に貢献、さらにアサド政権は、ロシアをバックに民間人を激しく弾圧しました。

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ロシアによるシリア作戦は、ウクライナのクリミア半島への侵攻と、ウクライナ東部の分離主義勢力への支援の1年後に行われています。

モスクワはシリアとウクライナの両国に関与することで、自国を米国やNATO、西側諸国に対抗できる大国として印象付けると同時に、地中海からアフリカ、ラテンアメリカまで世界的な勢力を拡大しました。

2022年2月にロシアがウクライナに全面侵攻した後、シリアはモスクワにとってより重要な資産となりましたが、同時に2つの前線で軍事作戦を維持するという課題も突きつけられたと専門家は言います。

アサド政権の崩壊に伴い、シリアにおけるロシアの軍事資産の崩壊が予想される中、その課題はさらに困難に。

ロシアはすでに、ウクライナに奪われた南西部のクルスク地方の領土を取り戻すための大規模な反攻作戦に多額の資金を投入しており、北朝鮮軍からの援助に頼っているほどです。同時に、和平交渉の前にウクライナ東部の領土をできる限り奪おうとしています。

現在、シリア西部の地中海沿岸にあるロシアの軍事施設は、米国がテロ組織として指定しているハイアト・タハリールアル・シャーム(HTS率いる武装勢力とその同盟国に制圧される可能性があります。

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ロシアが2015年に初めてシリアに侵攻したときと比べ、現在ロシアはウクライナでの大規模な戦争に対処しなければならないだけでなく、サハラ以南のアフリカでも戦っています。そして、プリゴジン率いるワグネル・グループを持っていた10年前とは違って......。ロシアは今、同じようにシリアの状況に対処する同じレベルの戦力も能力も持っていません。

特にタルトゥス海軍基地を失うことは、「ロシアにとって極めて大きな損失 」となります。

タルトゥスはロシアにとって唯一の暖流港であり、海軍活動や戦力投射に利用できる重要基地ですが、これを失うとロシアは中東の中核から実質的に切り離されることになると予想されています。

モスクワは、12月8日にHTSに陥落したダマスカスを支援する為に地上軍を派遣出来ませんでした。ロシアは武装勢力が11月下旬にアサド軍に対する攻撃を開始して以来、何十回もの空爆を行っていますが、モスクワの限定的な介入は反政府勢力の前進をほぼ止める事はできませんでした。

ロシアはシリアでの失敗のために大きな代償を払うことになるだろう、と専門家は言う。

アサド政権の崩壊は、ラテンアメリカやアフリカなど他の地域の協力者たちを動揺させ、ロシアとの関係やロシアへの依存を考え直すようになるかもしれません。

ロシアの世界への影響力低下は中国にとってもダメージです。

 

・シリアのアサド政権が崩壊した重要な要因には、イスラエルとの戦争によるヒズボラ弱体化もありました。

ダマスカス陥落により、ヒズボラの飼い主であるイランは政治的、軍事的な「抵抗の軸」が崩壊しダメージを受けています。

アサド大統領の失脚により、テヘランからヒズボラへの武器、物資、人員の輸送ルートは事実上断たれます。すでに孤立しているヒズボラはさらに弱体化し、イスラエルの攻撃や侵入に対してより脆弱になるだろうと言われています。

現在イスラエルはシリア国境に緩衝地帯を設定し、ダマスカスの軍事施設などに空爆を繰り返しています。

イスラエルは日曜、シリア首都で過去にイランがミサイル開発に使用していたとされる治安施設と政府研究センターに対して3回の空爆を実施。
シリアが数十年にわたって保有してきた化学兵器開発センターも空爆した様です。