現在急成長中のSheinは中国国内では知名度はありませんが、欧米で有名人やインフルエンサーを活用して爆発的に成長してきました。
Sheinの特徴はビッグデータとAi組み合わせて企画を作り、それをタダみたな素材を使って凄まじいスピードで小ロットで製品化して西側諸国に販売している事です。
ビジネスモデルは素晴らしいのですが、とんでもない低価格の裏にはウイグル奴隷活用、毒物が衣類から検出される事例など闇を抱えています。
現在、ファストファッションで最も勢いがある世界的な企業は、中国の工場から米国やその他の西側諸国消費者に衣料品を直接配送するビジネスモデルを行っているオンライン小売業者Shein(希音)です。
Shein の知名度はここ数年で劇的に上昇しました。
中国のスパイアプリ TikTokを介した大物インフルエンサーによる口コミで成長し、特にZ 世代の間で人気が爆発しました。
2022年5 月の調査によると、同社が米国のファストファッション市場の28%を占めるに至っている事が判明しており、時価価額は H&MとZaraを合わせたよりも高いと報道されています。
Sheinが大人気の主な理由の 1 つは、非常にトレンディな服を尋常ではないスピードで迅速に生産し、安く販売できることです。
おまけに異様に安く、同社の欧米サイトをざっと見てみると、殆どの商品の価格が 20 ドル未満であることがわかります。多くは 10 ドル以下で購入できます。https://eur.shein.com/style/Winter-Collection-sc-00132595.html
そして、Sheinのフラッシュ セールとクーポン取引は、価格をさらに引き下げます。
しかしながら、この低価格実現にはビックデータとAIを活用したマーケティングにプラスして強制労働や劣悪な素材が欠かせないようです。
Sheinは様々な悪事を告発されていますが、その中でも最も悪質なのは、製品の製造方法だと思われます。
同ブランドは、中国全土に広がる数千のサプライヤーのネットワークを通じて衣料品を製造しており、中国製衣料品に使われている綿花の約80〜85%は新疆ウイグル自治区産です。
米国国務省や国連はウイグルで行われている強制労働やジェノサイドを糾弾しており、衣料品からソーラーパネル、ビニール床材、車のバッテリーまであらゆるものの製造に強制労働が用いられているという。
綿花の収穫に強制労働が用いられているという証拠は非常に強く、パタゴニアなどの企業は中国からの綿花の調達を完全に中止しています。
原材料は中国の倉庫に山のように積み上がった簿価ゼロ反物だという見解もありますが、希音(SHEIN)のサプライチェーンはほぼ中国国内にあるため、中国の綿花の85%を生産する新疆ウイグル自治区から綿花を調達することは間違いないだろうと中国メディアですら報道しています。
中国は綿花の主要輸出国であり、その85%は新疆ウイグル自治区で生産されている。 統計によると、2021年、新疆はなんと5129万トンの綿花を輸出し、輸出総額の89.5%を占め、再び過去最高の生産量を記録し、27年連続で中国の省市の綿花生産量が最高となりました。https://new.qq.com/omn/20220605/20220605A02Q9400.html
希音(SHEIN)について
2008年10月、南京市でITエンジニアの许仰天氏が設立。
南京希音電子商務(南京领添信息技术有限公司)として創業されています。
広州の衣料品市場から製品を調達しており、2021年頃から同社はデザインの盗用や労働者に対する人権侵害や製品の安全性や健康上の懸念など、いくつかの問題が取り沙汰されている。
中国国内向けのサイト運営をしていないため、中国国内での認知度はほとんど無い。
ケイティ・ペリーを始め、数多くのインフルエンサーを起用したSNSによる積極的な情報発信を行ったことでアメリカのZ世代に流行らせた。
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/Shein
従来のファッションブランドは本部で商品の企画と開発⇒貿易部門が原材料の仕入れ⇒海外工場において製造⇒出荷という工程が一般的となるが、Sheinでは全ての工程を中国国内(主に広州市番禺区)に構築し、出荷場所から5時間圏内に工場を集積させているため、企画から出荷まで最短3日、平均2週間という驚異的なリードタイムを創り出すことに成功している。
ZARAでは平均一月前後。
ウイグル人強制労働防止法ではSheinを取り締まれない可能性
米国では新疆ウイグル自治区で強制労働が横行していることから、企業に新疆ウイグル自治区からの調達先を移すよう促す取り組みが進められています。
ウイグル人強制労働防止法は2022年6月21日に施行され、輸入業者がその製品が強制労働で作られていないことを証明できない限り、新疆からの商品の輸入を公式に禁止しています。
しかし、Sheinの消費者直販モデルは、ウイグル強制労働防止法の施行をかわすことができる可能性が高いと報道されています。
実際、2021年1月以降、新疆ウイグル自治区産の綿花は米国への持ち込みが禁止されているが、複雑なサプライチェーンのおかげで、いまだに流入しているとFortuneは報じています。
「専門家は、中国のサプライヤーの膨大なネットワークを持つSheinはもちろん、どの小売業者もこの新しい法律を純粋に遵守できるかどうか疑っています。Sheinは、H&Mの1,519工場やNikeの533工場よりもはるかに大きな中国に拠点を置く6,000の工場網に依存しています。
Sheinはすでに、中国からの輸入品に対する「301条」関税など、他の米国の通商強制措置を、この消費者直販モデルによって回避することができた実績があります。
米国の法律では、800ドル以下の小包は関税が免除される「de minimis」ルール(「小さすぎて意味がない」という意味)があり、このルールの背景にある考え方は、観光客が海外旅行からお土産を持ち帰るような、少額の買い物のために関税に対処する手間を省くことです。
しかし、アマゾンのようなオンライン小売業者は、関税をかわすためにデミニマムを悪用し、デミニマスの出荷額は近年急増している。
2020年の米国のde minimis出荷額は670億ドルで、2012年の4050万ドルから増加している。ウォールストリート・ジャーナルによると、中国からの輸入は460億ドルを占めています。
de minimis規制は、出荷書類に最小限のデータしか記載しないため、送り主の身元を簡単に曖昧にすることができる状態ですが、これを活用しSheinは航空貨物で送る小包は、個人顧客や第三者の通関業者を『輸入者』とし、Shein自身ではなく、小包に最後に触れた倉庫や物流業者を『販売者』として記載することができます。
電子商取引プラットフォームが第三者に依存しているため、税関職員が売り手の「(本当の)身元に関する適切な情報」を入手することが難しくなっている。
こうした状況に対応するために、米国共和党議員が非市場経済国(中国)や米国通商代表部の優先監視リストに掲載された商品(中国)からのデミニマスの使用を禁止しする法案を提出しましたが進んでいないようです。
消費者だけにこのシステムの修復を期待するのは不可能で、この状態は何十年にもわたる米国の政策選択の拙さのおかげでSheinのような悪質なプレーヤーが成功するような形になっているとも指摘されています。
この様な状態を受けて、2001年に米国が主導して中国をWTO(世界貿易機関)に加盟させたおかげで生まれた中国との偏った貿易赤字は、2001年から2018年の間に370万人の雇用を失い、何万もの工場が閉鎖される事態を招いたと中国のWTO加盟のさせ方についての問題点も糾弾されています。
中国の企業はアメリカのメーカーが行っているような労働や環境に関する慣習を守っていないため、アメリカのメーカーや労働者はすでに不利な立場に置かれており、米国で衣服を作るにははるかに多くのコストがかかり、その結果、米国製の衣服は消費者にとってより高価なものとなっているのですと。
これは確かに日本でも言えますね。俗にいう対中依存による産業空洞化です。
そして今、Sheinや他の中国メーカーは最小限の関税の抜け穴を利用して、さらに市場を支配しようとしているのです。
問題があることは明らかで、それを解決するのは明らかに政策立案者の責任である。