米中半導体戦争とTSMCの役割

 

半導体は完全なる安全保障分野になり、ここでの覇権を失った側が滅ぶと言われておりますが、、

その鍵を握るTSMCについて

 

2022.8.3

· US News
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全世界のチップ供給過半数を握るTSMCに、アメリカはiPhoneからペンタゴンの兵器まで依存しており、この状態が危険視され改善が求められていますが、これは中国や日本、欧米もも同じ状態です。

台湾積体電路製造(TSMC)は世界の半導体ファウンドリー市場で53%強の市場シェアを持っており、2022年には世界の受託チップ製造市場におけるシェアを56%に拡大する見通しです。

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かつてはただの電子商品として見られていた半導体は、今や技術の覇権をめぐる世界的な競争において重要な国家安全保障の要素となっています。

この為にTSMCの先端半導体技術を巡って欧米は自国にTSMCの工場を誘致しようと活発に動いています。

特に米国での動きが目立ち、2020年11月、TSMCの取締役会は2024年までにアリゾナに120億ドルの工場を開設する計画を承認しました。これは、TSMCの中国との貿易関係に不安を抱いたトランプ政権と国防総省当局者をなだめる為だったと見なされていました。(このアリゾナTSMC5nm工場は2022年7月に上棟しました。新しいアリゾナ工場が完成すれば、Apple の 5nmチップが初めて米国内で製造される事になります)

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TSMCの先端チップ確保をめぐって衝突する事により、米中は、トランプ政権が中国の5Gを独占する野望を防ぐ為に行った経済戦争よりも遥かに破壊的な経済戦争を起こす可能性があります。

トランプ政権による中国への輸出規制は、Huaweiの5Gネットワ​​ーク世界展開計画を打ち砕き、かつて繁栄していたスマートフォンビジネスを衰退させ、5Gネットワークを中国共産党に支配される事態を防ぎました。


先端半導体へのアクセスを勝ち取った国はAI、量子コンピューター、「IoT」など、次の時代を定義するテクノロジーで決定的なアドバンテージを得る事ができます。これらは、ミサイルから自動運転車、サイバーセキュリティ、新薬の開発に至るまで、あらゆるものに影響を及ぼします。
「半導体は、21世紀のすべての「必勝」技術を支えています」と、元新アメリカ安全保障センターの中国と台湾問題の専門家であるアシュリー・フェンは述べています。

「米国と中国の両方にとって、半導体分野で優位に立つ事は、次世代の技術を獲得する為に必須です」と。

AIや量子コンピューターを少数民族の監視、弾圧の為や、他国へのスパイの為にフル活用する中国共産党に半導体先端技術が渡る事は日本人にとっても脅威が増すばかりです。この半導体先端技術獲得戦争を制する為に欠かせないパーツがTSMCの技術なのです。

https://www.yahoo.com/lifestyle/most-important-company-youve-never-093021004.html

この為に、先端技術をTSMCとSAMSUNGしか持たない今、米中どちらがTSMCを抑えるかで熾烈な争いが起きています。

中国国際経済交流研究センターの陈文玲チーフエコノミストは2022年5月30日、中国でのフォーラムで、中国が対ロシアのような欧米の「壊滅的制裁」を受ける事に備えて、産業チェーンとサプライチェーンの再構築を遂行する点で、台湾を奪還しなければならず、必ずそうしなければならないと述べています。 元々中国のものであるTSMCを中国の手に取り戻すと。

これに対して、米台ビジネス協議会の会長であるルパート・チェンバーズ氏は台湾の半導体産業が、欧米とパートナーシップを結ぶ自由民主主義の台湾の一部であり続ける事が、欧米の自由民主主義諸国にとって絶対に利益となると述べています。

逆に、中国の支配下に置かれたらと想像すると、それが世界にとってどれだけ大きな問題であるか直ぐに理解できますよね。

また、中国は中国製造2025の重点項目として2025年までにハイエンドチップを生産出来る様にし、ナンバーワン半導体メーカーになろうとして何千億ドルも投資していますが失敗し続けています。

それには理由があり、中国が半導体生産のリーダーになろうとする試みに失敗し続けているのは、TSMCのような人材が中国国内にいないからだとも指摘されています。

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TSMCはアメリカにとっても宝石の様な存在である為に、TSMCのお陰でかえって台湾が安全だと考えていると米国のチップ装置メーカー、パンリン・グループ(LAM Research Corp)のグローバル・ガバメント・アフェアーズ担当シニア・ディレクター、テイラー・ショラー氏は述べています。

TSMCの為に米国は台湾防衛に本気だという意見ですね。

テイラー・ショラー氏は、米国にとって半導体産業の重要性を真剣に受け止める事が絶対に必要だと考えており、TSMCは米国の宝であり、台湾の産業は米国が革新を続ける為に極めて重要な為にホワイトハウスとNSCは、台湾問題の重要性と政策立案者の重要性を示す為に、こうした対話に取り組んでいると話しています。

現在進行中のウクライナ戦争が、この問題の緊急性を高めており、商務省、国務省、エネルギー省、国防省もこうした対話に取り組んでいるとの事です。

兵器にはハイエンドな半導体が必要で、TSMCの半導体は現在の兵器システムにおいても大きなウェイトを占めています。

例えば、ロッキード・マーチン社が製造するジャベリンミサイルには200個以上の半導体が使われており、その中にはTSMC社が製造しているものもあると報告されており、 台湾の防衛力・攻撃力が低下した場合、米国の安全保障に深刻な影響を与える可能性があるのです。

また、米国政府はサプライチェーンの混乱が社会に不安定な影響を与える可能性がある分野として、エネルギー、運輸、金融サービスなど、台湾の半導体に大きく依存している通信分野などハイエンド半導体技術に特に依存する分野を多く挙げています。

報告書によると、米国の半導体産業は依然として世界市場の半分近くを占め、安定した成長を続けているが、現在では世界の半導体生産能力の12%を占めるに過ぎず、世界の半導体生産能力の殆どはアジアに集中しています。

これは主に、中国や台湾等アジアの政府がチップ生産に対するインセンティブを高め、研究投資を増やしている為だと言う。

米国の半導体産業への投資が過去20年間停滞しているのに対し、中国は半導体産業への投資を劇的に増やしており、2030年には世界最大のチップ生産国になるとの試算もあるそうです。

中国の産業政策は継続的に半導体に重点を置いており、国内企業に対して多くの税制優遇措置やその他のインセンティブを提供しています。

中国共産党は2025年までに自国生産が国内チップ需要の70%に達する様に多額の資金を自国企業に提供している為、経済的および安全保障上の理由から、米国がこの主要産業で主導的な役割を維持しなければならない事は明らかであると述べています。

中国は自国が制圧したい産業の企業に補助金を大量に入れて安売りし、競争力を高めて他国の企業をマーケットから駆逐します。

まともに民間だけでは対応出来ない為に、米国はこの中国のやり方に対抗する為に法案を出して産業育成を始動。

日本政府も自国半導体産業を戦略的に支援し対抗する必要があります。

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自国半導体技術が他国と比べ2世代遅れている中国が今恐れているのは、このような熾烈な世界情勢の中でアメリカや日本にTSMCの工場が作られることだ。 そうなると半導体技術で自国が遅れ、軍事技術的に必須の半導体部門で西側に遅れを取る可能性がある事です。

TSMCが米国や日本の熊本県に工場設立を始めた今、もしかしたら台湾の製造プロセスと日米のギャップが無くなるかもしれないと焦っているのです。
https://www.keiniu.com/military/cf7357211cfb.html


米国上院軍事委員会は去年「新興技術とその国家安全保障への影響」に関する公聴会を開催しました。

公聴会では米国はTSMCのチップ供給に大きく依存している現状が指摘され、Huida、Qualcomm、Supermicro、Appleなどの企業はTSMCのファウンドリに依存しており、米国市場のチップ需要の約65%がTSMCによって満たされている事が問題視されました。

シンクタンク「中国戦略グループ」は「非対称競争:中国の技術競争戦略」と題する報告書を提出し、次世代チップ(半導体チップやバイオチップを含む)技術は米国にとって非常に重要であると強調。

「中国の首を掴む」だけでなく、国家の安全と密接に関係している全体的なイノベーションのスピードを上げる必要があると米国上院軍事委員会は結論付けています。

 
バイデン政権、日・韓・台などと「半導体・バッテリー同盟」を発表

バイデン大統領は去年、重要部材のサプライチェーン(供給網)を見直す大統領令に署名しました。
これにより、中国に依存しているサプライチェーンから脱却する為に、日本と韓国・台湾などアジア各国との協力を通じて製品を調達できる体制を整えるのです。

日本経済新聞が入手した行政命令の草案によると、米政府は 半導体だけでなく電気自動車(EV)用バッテリーと、最近中国が輸出規制を準備しているとされるレアアースと各種医療品などを対象に、供給網を強化するという内容を講じています。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN24DIL0U1A220C2000000/ 


「TSMC」の脆弱性について、米国はTSMCがCCPによって管理されていないことを確認する必要があります。

アーカンソー州の共和党上院議員トム・コットンは、中国が台湾に目を向けているため、米国が台湾のチップに大きく依存する事は非常に危険であると主張。

「米国はTSMCに大きく依存しているが、中国に対してもTSMCは非常に脆弱である事を指摘したい。私達が話しているのは、台湾が中国から直接攻撃される可能性があるという事だ。

中国による台湾占領抑止はアメリカ人にとって戦略的かつ倫理的な問題であるだけでなく、CCPが世界で最も重要なチップメーカーであるTSMCを支配しないようにする必要がある為に重要です。」

コットンは、他の共和党および民主党の議員とともに、2020年7月に「2020年のアメリカ鋳造法(AFA)」を開始しました。この法案の目的は、米国の国内チップ産業の発展を促進する事。法案が承認された場合、米国はすべての州でチップ製造と防衛チップ製造に合計250億米ドルを投資する予定です。

米国議会は、チップ製造の継続的な減少が経済成長と国家安全保障を危険にさらす事に早い段階で気づいていました。これに先立ち、議会は「半導体製造法の為の効果的なインセンティブ措置の作成」(CHIPS for America Act)も提案しました。


米国は中国への電子チップの供給を断つことで、その技術的野心を打ち砕く
2021年4月3日


米国は、半導体の製造に使用される機械を支配しています。
中国はこのバリューチェーンのエンドユーザーに過ぎず、半導体を購入して設備に投入しています。
2030年までにデジタル技術で世界をリードするという野心を持つ中国は、米国、ヨーロッパ、台湾、韓国に絶対的に依存しているのです。これらの国々は、あらゆる電子機器の頭脳である半導体の設計と製造を事実上独占しています。

トランプはこれを理解し、中国への供給を遮断しました。バイデンもこの流れでタカ派的な政策を続けてきました。

米国企業が半導体設計(ファブレス製造)を支配しているのに対し、台湾はチップの設計から製造であるファウンドリの50%のシェアを持っています。

Intel、Apple、Samsungなどの企業は、チップの設計から最終製品の製造までの全プロセスを持っています。米国はまた、ファウンドリが半導体を製造する為に使用する機械を支配しています。中国はこのバリューチェーンのエンドユーザーに過ぎず、半導体を購入して設備に投入しています。

しかしチップの不足により、Huaweiはモバイル製造計画を縮小せざるを得なくなり、5Gビジネスにおいて弱体化していますね。

中国は独自の半導体を作ろうとして失敗しました。この分野への大規模な投資を発表しましたが、半導体製造の能力を開発する事は容易ではありません。それは完全にIP主導であり、これは中国が優位に立っていないところです。

TSMCは、米国に6つの新しい製造工場を開設する予定で、最初の工場はアリゾナで建設中です。Intelも同様の計画を持っています。

これは、最近の米中紛争を目撃しているチョークポイントであり、台湾がグローバルなテクノロジービジネスと地政学においてそのような特大の役割を果たしている理由を説明しています。
https://www.nationalheraldindia.com/international/us-starves-china-of-electronic-chips-scuttles-its-tech-ambitions 


世界各地の政府が半導体工場建設に補助金を出そうと動いている。

半導体不足で自動車業界や電子機器業界の生産が支障をきたし、重要な製品の供給を台湾だけに依存している状況が浮き彫りになっている為です。

米国も欧州連合(EU)も日本も、最先端技術の半導体生産工場に何百億ドルもの支出を検討している。現在は最先端の半導体の3分の2超が台湾で生産されている。しかしつい最近、米議会で米軍高官が台湾を中国が乗っ取ることが米軍の太平洋地域での最大の懸念だと証言、半導体供給網への不安が高まった。
一方、中国も西側の技術への依存を減らそうと半導体産業に多額の補助金を出している。

最先端の半導体を受託生産できる業者は世界に2社しかない。台湾積体電路製造(TSMC)と韓国のサムスン電子だ。この2社が米国で新工場を計画し、総額300億ドル以上にも及ぶ可能性のある米政府補助金の奪い合いに参入した。きっかけは、アジア以外でそうした半導体工場が強く求められていることだ。
世界の半導体「ビッグスリー」の残り1社である米インテルは23日、劇的な業容変更の青写真を描いて見せた。

調査会社VLSIリサーチのダン・ハッチソン最高経営責任者(CEO)はロイターに「今やあらゆる国が自分たち用の生産工場をつくりたがっている」と指摘。「世界的な相互接続の時代から、それぞれに鉛直サイロ状態の生産と供給の態勢を求める時代に変わりつつある」と話した。 

 

世界的なチップ製造大手TSMCは、同社が米国アリゾナ州に6つの5nmチップ工場を建設する為に約2,332億元を費やす事を確認する内部通知を発行しました。今年初めに開始する予定で、2024年に生産を開始します。
しかし、TSMCのLiu Deyin会長は、同社は米国に工場を建設するために莫大な金額を費やすが、同社は最先端の技術を保持すると述べた。現在、TSMCは5nmチップの量産を達成しており、来年には3nmチップの量産期間に入り、世界をリードします。アメリカのチップ工場の助けを借りて、同社はサムスンなどの競合他社を完全に凌駕し、世界最大のチップ製造の巨人としての地位を確保する事が期待されています。
TSMCの米国への工場建設への投資は、必然的に世界のチップ産業チェーンに影響を及ぼし、EU27か国、日本、中国、その他の国のサプライチェーンの注目を集めるでしょう。日本メディアの報道によると、以前日本政府はTSMCなどのチップメーカーや地元のチップ機器サプライヤーにチップ工場の建設を呼びかけたが、「丁寧に」拒否されました。
https://3g.163.com/dy/article/G42Q8EP10519EO06.html 

 

その後、熊本県でTSMCのチップ工場の建設が決定。

一部の方が、TSMCは台湾青幇の巣窟で日本に工場を置く事は危険だなどと騒いでいましたがトンチンカンな主張ですよね。半素人の戯言です。

TSMCの先端半導体は安全保障案件なのです。
変わる物はなく、それを制する事が今後の日本や米国の産業育成に必須であり、中国共産党の野望を挫く事に直結します。

日本政府はより一層米国と共にTSMCと連携し、その先端半導体技術を国内企業に吸収させ、中国を突き放し弱体化させるべきです。